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今回のチューター・重田さんは、80歳を超えられて読書会のメンバーの中では唯一の戦争体験者です。
その重田さんが選ばれたテキストが 「日本海軍400時間の証言〜軍令部・参謀たちが語った敗戦」。
第2次世界大戦開戦へ海軍が果たした役割と責任。特攻は誰が考えたのか? 戦争裁判に際しては海軍関係者の擁護や裁判対策に組織をあげて取り組んだ・・・などの重いテーマです。
私に強く残っている文章は下記です。
1)日本海軍によって処刑された捕虜の甥がシドニー郊外で見つかったという連絡を受けて行ったインタビューより
「ここオーストラリアでは、第二次世界大戦時、日本軍がアジア各地で多くの戦争犯罪を起こしたことは皆よく知っています。歴史の浅いこの国では、あの戦争は大事件でしたからよく勉強するのです。もちろん戦争は善悪だけで語れるほど単純なものではないと認識しています。しかし犯してしまった悪いことは素直に認め、謝罪する姿勢がなければ、悲劇的な歴史はまた繰り返されるもではないかと心配してしまいます。
日本では戦争というと、ヒロシマ・ナガサキの事ばかりを学ぶと聞いたことがあります。それは確かに大変不幸な悲劇でしたが、一方で加害者としての歴史もしっかり知るべきです。親日的と言われる豪州でも、戦争時代の日本の行いから、日本を絶対許せない、日本人と話もしたくないと思っている人間が少なからずいることを知っておいて下さい。両者の溝は時間が解決するのではありません。罪を認め、悔い改める姿勢があって初めて、お互いの気持ちの雪解けにつながるのではないでしょうか」
2)第5章/戦争裁判 第二の戦争
番組ディレクターの思い.P364
「終戦の時、人は平和になって空襲がない空の青さに感動したと聞いたことがある。生きていける、ただそのことに喜びを抱いたのでないか。悲惨な敗戦を経て、生きることの渇望からスタートしたはずの戦後日本は、六十年がたって、ともすれば生きていることの意義を見失い、自分の命すら大事にできない、大事にされていないと感じる社会になってしまったのではないか。今の社会の閉塞感はどこから来るのか、海軍幹部の告白に耳を傾け、そのことを考えたい」
3)番組の恩師・笹本征男氏の言葉.P472
「本当に大切なことは記録に残らないし、残さない。残された記録や資料には残した人間の意図が必ずある。残っている資料だけに捉われてはだめだ」
明治維新から、日清戦争・日露戦争・日中戦争・第二次世界大戦を経て敗戦までが約八十年。その後、戦争のない日本社会が七十年。
平和や命の大切さは、他人任せや他人を批判するのみではなくて、「自分はどうするの? どう関わっていくの? 」と、深く感じ入ったテキストです。