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かーちゃんはつらいよ

施設入所した19歳そうちゃん(自閉症、最重度知的障害、強度行動障害、てんかん)のかーちゃんが書く雑記。

ニュースを見て

2016年07月27日 23時27分13秒 | みゆみゆとの生活
夏の日常。

ぶどうを食べたがるそうちゃんの手を引いて、夕方、スーパーに行く。
おにぎりせんべいも買いたいとゴネるそうちゃんを説得して、ぶどうだけを買う。
家に帰り、ぶどうを食べる。

手も、口の周りもベタベタにして、
それはそれはおいしそうに食べるんだ、そうちゃんは。
「手とお口拭いて」とタオルを渡すと、
ニッコリ笑ってゴシゴシと、全然違うところを拭く。
思わず笑ってしまった私は、
幸せだなぁと思う。

この子の人生に生きる価値がないなんて。
誰が言えるのだろう。


その昔、高齢者や子どもが、貧しさのために捨てられた時代がありました。
重い知的障害や精神障害を持つ子は、座敷廊と呼ばれるところに閉じ込められ、教育を受けることができませんでした。

「この子達にも教育を。」
親達が運動をして、就学猶予制度はなくなり、全ての子が6歳の春に義務教育を受けることができるようになりました。

障害のある子も成長し、親は歳をとります。
親亡き後を心配し、障害者のための入所施設が建てられました。
親の住む地域から遠く離れたところに。

可愛がられるんだよ。
おいしいもの、食べさせてもらうんだよ。
また迎えに来るからね。
会話のできぬ我が子を、どんな思いで預けたことでしょう。

ニュースでマイクを向けられた親御さんは、子どもさんが被害に遭い、集中治療室にいると言われていました。
「どんなお子さんでしたか?」
その問いに、
「かわいいですよ。話はできませんが、甘えるんです。」
一番始めに出てきた、かわいいという言葉。
この言葉を聞いて、胸が張り裂けそうになりました。
テレビを前に、つらくて、泣いてしまいました。

二度とこんなことが起こらないようにするにはどうすればいいのだろう。
グルグルと、小市民のみゆははは考える。

地域へ。
障害者も高齢者も、住み慣れた地域で過ごせるように。
福祉は変わろうとしています。
一方、セキュリティの強化だけでは対応できない、現状もあります。
施設内虐待もしかり、です。

経済的生産能力だけで生きる価値を測るとするなら、障害者だけでなく、子どもも高齢者も、生きる価値がないことになります。
健常者だけが偉い。他は税金を食いつぶすだけだから排除すればいい。
それは、福祉の真逆をいく危険な考え方です。

全ての人が、幸福を追求してその人らしく生きていい。
自立とは、経済的自立だけを指すものじゃない。

憲法にも保障される生きる権利を、今こそ見直して。
差別のない世の中は、「健常者」と呼ばれる人にとっても生きやすい社会であると、声を大にして言いたい。

親も、住民も、支援者も、心の手をつないで、この苦しい気持ちを共有しましょう。
怖がっている子どもたちを安心させてあげられる、強い心の絆を持ちましょう。

犠牲者の方々のご冥福を、心より、お祈りいたします。