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かーちゃんはつらいよ

施設入所した19歳そうちゃん(自閉症、最重度知的障害、強度行動障害、てんかん)のかーちゃんが書く雑記。

そうちゃんのこと

2010年09月09日 20時39分46秒 | みゆみゆとの生活
昼間は相変わらず暑いですが、朝晩の風に、秋を感じます。
子どもたちが折り重なってソファの上で寝てしまったので、一人、パソコンに向かってます。
この時間にこういうことは珍しいので、ちょっと嬉しい

今日は少し、そうちゃんのことを書いてみようと思います。
(ブログという公共の場で、どこまで書いてよいものか迷うところですが。)

我が家のそうちゃんは、こんな子です。

・いつもニコニコ笑っていて、とても人が好き。お友達の名前もすぐに覚えます。特に若い女の人が好きで、ちょっかいをかけたり、いたずらをします。
・走るのがとても早くて、やりたいことや興味のあるものがあると、飛んで行ってしまいます。たとえば朝、ご飯を食べて着替えると、すぐに保育園に行きたくなって、お母さんが「ちょっと待ってて」と言うのも聞かずに勝手に玄関を開けて飛び出し、一人で保育園まで行ってしまいます。
・歌が大好きで、いつも歌っています。替え歌にするのも得意です。新しい歌でも、リズムがいいとあっという間に覚えてしまいます。
・年中さんになってから、言葉が急に増えたけど、こちらの言うことに、いつも答えてくれるわけではなく、会話にはなりにくいです。
・保育園では、みんなと一緒に行動したり椅子にじっとしていることが難しく、一人先生がついてくれて、過ごしています。
・一度行った場所はよく覚えていて、同じものを食べたり同じもので遊んだりすると安心します。前に来た時と状況が違ったり思ったことができないと、気持が不安定になって急に走りだしたり、食べ物や知っているビデオの名前を言い続けたりします。

小さいころから愛嬌たっぷりの、とてもパワフルなそうちゃん。
このそうちゃんの個性あふれる特徴を、障害名で言うと、「知的障害を伴う自閉症」となります。

「自閉症」がよくわからない方もいるかと思うので、少し説明をしたいと思います。
自閉症とは、ごく簡単に言うと、「こだわり(想像力の障害)」「言葉の遅れ(コミュニケーションの遅れ)」「社会性(相互交流)の障害」の3つが、3歳以前から見られる場合に、診断されます。
育て方などの後天的な環境でなるものではなく、いわゆる「殻に閉じこもる病気」でもありません。
原因は不明ですが、何らかの脳の機能障害と言われています。
自閉症の中にも、知的障害を伴うものと伴わないものがありますが、そうちゃんの場合は知的にも遅れがあります。
よくある症状に、「同じ物を一列に並べ続けることに没頭する」「言われたことをオウム返しする(「何歳?」「なんさい?」)」「手のひらを自分の方に向けてバイバイする(逆手バイバイ)」「多動でどんどん走って行ってしまい制止が効かない」「親の手首をつかんで物を取ろうとする(クレーン現象)」「つま先立ちで歩く(感覚過敏)」「いつもの道順でないとパニックになる」・・・などがあります。そうちゃんは全部やりました^^
ただし、このうちどれかがあったからと言って即障害というわけでは、もちろんありません。

そうちゃんが診断を受けたのは、2歳のころです。
言葉が遅いこと、動きが激しすぎること、物を投げる・自分の頭を打ち付ける・夜寝ない…など、様々な症状があり、少しでもこの子のためになることをしてあげられるなら、と、専門医を受診しました。
仕事上、私に多少なりとも知識があり、「普通の子とは違う」と思っていたので、受診まではそれほど迷いませんでした。

それから、言語療法・母子通園(療育)・音楽療法・行動療法など、仕事をしながら、できる範囲で、そうちゃんと一緒に、いろいろなところへ通いはじめました。
なんとかこの子を伸ばしてやりたい一心で、必死の毎日でした。

わが子の障害を認め、向き合っていく作業はとても辛いものです。
思うように成長していかないそうちゃん。パニックを起こして激しく泣き続けるそうちゃん。ニコニコ笑いながら「叱られることしかしない」そうちゃん。
どうやって育てていけばいいのか分からず、私は何度も何度も泣いてしまいました。

目の前にいる、人が大好きなニコニコそうちゃんと、「自閉症」という言葉の響きはあまりにかけ離れているように思えて。
「自閉症」であるという(行動上の)証拠はうなるほどあるのだけど、いつか伸びて普通の子になるのではないかと、心のどこかで思ってしまうのです。

ある本に、障害児の親の持つ「目が覚めたら普通の子かも」といういわば幻想は、きっとずっと抱えていくもので、抱えていって味わい尽くしていいのだと、書いてありました。
吉田友子先生と言う方の本です。とても救われる思いでした。

一時期、私は仕事をやめて、そうちゃんの療育・訓練に専念するべきじゃないかと本気で考えたことがありました。
でも、結局そうしなかった。
私が仕事を続けることが、家族全体のバランスとしてギリギリのところで均衡が取れる、と考えたからです。

家族だけで抱え込むことはやめ、なるべくあちこちにお願いすることに決めました。
今、そうちゃんは、たくさんの人に育ててもらってます。
まずは一番長い時間を過ごす、保育園。理解ある園長のもと、園全体で、そうちゃんをあたたかく見守ってくれています。
そのほか、土曜日や平日夕方預かって療育的な関わりをしてくれる「児童デイサービス」、
休みの日にヘルパーさんが電車でお散歩に連れて行ってくれる「行動援護」、
そうちゃんがお腹にいたころからお世話になっている「子育てサポーターさん」、
あと、「個別療育」「個別指導(ABA)」など…
近所の人や私の貴重な友人知人、変則的な休みにも理解してくれる職場の方々も含めれば、本当に数えきれないくらいの方々に支えられて、なんとか生活ができています。

マニュアルのない育児です。
「どうやって育てていいかわからない」の毎日。
比べても仕方ないのに他の子と比べてしまって、落ち込むことも多々あります。
そんな時、「そうちゃんっていつもいい笑顔だね」「今日そうちゃんがお友達にはじめて『あそぼ』って言えたよ」などと声を掛けてもらえた時に、どんなに嬉しいか。
あるいは、「お母さん、大変だね。」という共感や、「園ではこんなことしたらうまくいきましたよ。どうすればいいか、一緒に考えましょう」という言葉。
手を差し伸べてもらえる、味方になってもらえる人がいることで、気持がとても軽くなります。

このブログで、「ある一つの育児」「元気のいい男の子の話」として、そうちゃんのこと(やみゆみゆのこと)を書くのは、私にとって貴重な「肯定の場」でした。
なるべく楽しかったこと、面白いと思ったことを中心に書くことで、前向きになれたのです。

でもここのところ、一般の4歳児との差が広がってきて、障害のことを伏せて書くには無理が出てきてるなーと感じ始めました。
思い切って一旦公表して、そのうえで、やっぱり「楽しいそうちゃん」の話を自由に書きたいな、と。

そんなわけで、かなり重い話題となってしまいました。
この長い文章を読んでくださった方、ありがとう。
これまでと変わらず、「かーちゃんはつらいよ」は「2人の子育てをしながら働くかーちゃんのつぶやき」です。
日本一(たぶん)体力のある4歳児そうちゃんと、夢見る本の虫みゆみゆの、事件簿(!)を、更新していく予定
今後も応援いただけると、ありがたいです。
よろしくお願いいたします

6 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

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不思議。 (響美)
2010-09-10 01:04:00
きっと、ホントは重い内容のカミングアウトのはずなのに、
さらりと読めて、読んだ後も「どんより」しないのは、なぜ?

そうちゃんといえばいつも笑顔を思い描くからかな。
みゆははさんもいつも笑顔だからかな。

みゆははさんの笑顔の陰には
きっとその何百倍もの涙が隠れてるはずだと思うんだけど
人をシリアスな気持ちに巻き込まないという不思議な魅力を持っていらっしゃるので
自然とみゆははさんの周りに人が集まって
それがそのままそうちゃんの支援へと自然な形で繋がっているんだと思います。

わたしはみゆははさんが大好きだし、みゆみゆちゃんも、そうちゃんも大好き
みゆははさんのことは、尊敬もしています。憧れ、と言ってもいいかな。
子育てに対して、まじめすぎるぐらいまじめなところもあって、てきとーに抜くところは抜いてて。

ホントは思い切った告白だったのかもしれず、失礼な言い方になってたらごめんなさい。でも、そうちゃんの障害のことは、言っても言わなくても私にとってはやっぱり「楽しいそうちゃん」なので、
「さっちゃんはね、さちこっていうんだほんとはね~♪」
ぐらいの軽いカミングアウトのようで、こういう伝え方ができるみゆははさんは、やっぱり尊敬です。

ブログ更新、楽しみにしてますよ~
返信する
ありがとうございます^^ (みゆはは)
2010-09-10 20:43:43
いえいえ、とんでもないです
もったいないお言葉ありがとうございます。

私と家族を支えてくれている、大事な方の一人に、応援コメントいただけて、とっても嬉しいです
いつも、みゆみゆのいいところ探して褒めてくださっていることが、私にとっても大きな自信になっています。

♪さっちゃんはね~
ですか
すごく的確な表現かも。
障害名って、周囲の人と共通認識を持つためのガイダンスのようなものに過ぎず、その子(人)そのものを表すものではないですもんね。
どうしても、障害名を先に伝えると「自閉症の○○ちゃん」「ダウン症の○○ちゃん」となってしまい、その子自身を見てもらえないような気がして…。
その点、1歳で入園したせいもあり、「そうちゃん」として周囲に受け入れてもらえていることは、本当に幸せなことだと感じています。
かなり突拍子もないことやっても、「あ、そうちゃんか」と笑ってもらえる環境。素晴らしいです

「人が好きで、音楽が好きで、あいさつのできる子。辛抱強くやりとおせる子。」
障害があってもなくても、うちの育児目標も、特に変わりません。

母としては未熟で、子と一緒に成長中。
「鈍感力」を磨くのは、ちょっと弊害が多そうなので、持ち前の「忘却力」を磨いて、その日その日を一生懸命こなしていこうと思っています。
忘却力、ありすぎ!という声も聞こえそうですが

良いこと想像しても、悪いパターン考えても、未来は同じようにやってくる。
それなら良い想像しよう!
と、常々思っています。

今後とも、よろしくお願いします
道に迷った時は、相談に乗ってくださいね!
返信する
さすがです!! (junko)
2010-09-27 21:46:02
ご無沙汰してます!
一気に読んでしまいました。
同じく「知的障害を伴う自閉症」
の子供を持つ私には、こんなに分かりやすく自分の子供に関しての記述ができる事に脱帽です。
何冊も自閉症に関する本を読んだはずなのに、いろんな講演も聴いたはずなのに、他人に説明しようとすると、何一つうまい言葉が出てきやしない。
普段どうでも良いことは、いくらでもおしゃべりできるのに・・・。
これは私がなっき~の障害を認めたくないからなのか・・・とも思ってしまう。
他の人の手前、なるべくさらっと、軽くカミングアウト、決して涙など見せず、むしろジョークにしちゃうくらい。
でもホントはやっぱり、普通?というか一般的に成長してる子を羨ましく思ってたりする。
でも、もし神様がなっき~を他の子と取替えてくれるって言ったって、絶対手放すことはない!とも思ってる。

ゆっくりでも成長してくれることを喜べる自分と、できないことを嘆いてしまう自分。
どうして!?という気持ちと、がんばれ!という気持ち・・・
なんていうか、とっても複雑なんだよね。

ホントもう一度、みゆははに会いたくなってしまいました
返信する
母の気持ち (みゆはは)
2010-09-28 20:17:56
junkoさん!コメントありがとう
ほんとに褒めていただけるような文章だったのか、自信はないのですが・・・
一人でも自閉症の理解者が増えてくれれば、と思い、基礎的なところから書きました。

あと、等身大の親の思いも
わが子は無条件にかわいい
でも、やっぱり他の子と比べたりして落ち込むことは、多々あります。
わが子に向けられる奇異の目に、深く傷ついて涙したり・・・。

夫には、「周りの目を気にしすぎ」と言われます。彼は「しょうがないよ、そうちゃんは障害なんだから」と割り切れるみたいなんだけど。
私は、そう簡単には割り切れない;

イライラしたり、泣いたり、ちょっとしたことでもめちゃくちゃ喜んだり。
人を羨んだり、人のせいにしたり、激しく自己嫌悪になったり。
家族とけんかしたり、いつのまにか仲直りしたり。
人の優しさにほろりとしたり。

そうちゃんのおかげで、とっても感情の振れ幅が大きくなりました。
(年齢的なこともあるかもしれんけど;)

今は、日々気持が揺れて、毎日が必死のまま過ぎて行ってるけど。

この、神様から預かった子が、みんなにシアワセを運んでくれたと、心から思える日が来るまで・・・

一緒に、頑張っていきましょう

ほんとに、一度会いたいね
お邪魔しちゃおうかな?
返信する
いつも言葉が染みてきます (かこ)
2016-09-07 15:59:54
そうちゃんママの考え方や言葉の表現が本当にいつも染みてきます。ちょうど吉田友子先生の講座を聞いたとき、先生の言葉で、泣いてしまいました。で、わたしの好きな?(笑)そうちゃんママも吉田先生の本を読んでいたんだーと勝手に親近感わいてます。
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吉田先生 (みゆはは)
2016-09-07 18:33:36
かこさん、コメントありがとうございます

ただただかーちゃんの日常を書いているブログですが、読んでいただけて嬉しいです。
吉田友子先生の講座を聞きに行かれたのですね。いいですねー。
私も一度行ってみたいです☆
吉田先生の著書は、やさしさがあふれていてしかもわかりやすく、大好きです
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