Dying Message

僕が最期に伝えたかったこと……

中山金杯コラム

2008-01-05 01:00:21 | 競馬
 今年の競馬のスタートを飾る中山金杯。私はある出走馬に注目している。

 その馬はフサイチホウオーである。これまで、彼は何かと父ジャングルポケットの現役時代と比べられることが多かった。これはローテーションにも表れており、デビュー戦には父が高いパフォーマンスを見せた東京の芝1800mが選ばれた。

 この目論見はずばり的中。新馬戦を快勝すると、返す刀で同舞台の東京スポーツ杯2歳Sも、のちの2歳チャンプらを抑え完勝。さらにラジオNIKKEI杯をはさみ挑んだ共同通信杯で父子同一重賞制覇を飾ると、陣営からはトライアルをスキップしての皐月賞挑戦が発表された。これまた父と全く同じ臨戦過程である。

 だからというわけでもなかろうが、この頃になると、フサイチサホウオーをジャンポケのコピーと見る者さえいた。事実、父が敗れた皐月賞では、パーフェクトな戦績であったにも関わらず2番人気に甘んじたが、なんのなんの、1番枠から出遅れ追い込み届かず3着というレースぶりまで父と同じ。もはや、親子二代のダービー制覇は約束されたと言っても過言ではなかった。

 しかし勝利の女神は気まぐれだった。単勝1番人気に推され、迎えた日本ダービー。フサイチホウオーはパドックからきついイレ込みが目立ち、レースでも終始かかり気味に自滅した。道中でヴィクトリーに擦られた不利は考慮しても、あまりにふがいない内容で、騎手も調教師もファンも、この敗戦に首を捻った。評論家も明確な敗因は見出だせなかった。

 いささか独善的な見解ではあるが、私にはこの敗戦、父の後を追うことへの精一杯のレジスタンスのように思えた。フサイチホウオー自身、父と比べられることにうんざりしていたのではないか。少なくとも私の目にはそう映った。

 もちろん、血統は競馬予想の重要なファクターである。中でも父はその馬の適性に直結する。しかし、例えばサンデーサイレンスの産駒で、ケンタッキーダービーやブリーダーズカップ出走を前提にされた馬がいたか。ブライアンズタイム産駒で、フロリダダービーを目標にした馬がいただろうか。父内国産馬の隆盛は喜ばしいことだが、父を応援した者の思い入れが、時に鎖となってその子供を縛ることがある。競馬ファンもマスコミも、もう少し冷静なジャッジが求められるのではないだろうか。

 心機一転の2008年。今年は誰の道でもない、フサイチホウオー自身の道を歩めばいい。父が不得手とした中山こそ、彼の再出発の舞台にはふさわしいだろう。馬券はハンデ戦らしく手広く流す。

◎フサイチホウオー
○サイレントプライド
▲メイショウレガーロ
△エアシェイディ
△アサカディフィート
△シルクネクサス
△ヒラボクロイヤル


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