雅工房 作品集

長編小説を中心に、中短編小説・コラムなどを発表しています。

きらきらしきもの

2014-04-30 11:00:24 | 『枕草子』 清少納言さまからの贈り物
          枕草子 第二百七十六段  きらきらしきもの

きらきらしきもの。
大将、御前駆(ミサキ)遂(オ)ひたる。
孔雀経の御読経、御修法(ミズホフ)。
五大尊のも。
御斎会。

蔵人の式部丞の、白馬(アオウマ)の日、大庭練りたる。その日、靫負の佐の、摺衣破らする。
尊星王の御修法。
季の御読経。
熾盛光の御読経。


威儀正しく堂々としているもの。
近衛大将が、行幸の御前駆を勤める堂々たる御姿。
孔雀経の御読経、御修法。(三月と九月に、宮中真言院において行われた)
五大尊の御修法も。(不動、降三世、軍茶利、大威徳、金剛夜叉の各明王を同時に祭る修法)
御斎会。(正月八日から十四日まで大極殿で行われる国家鎮護の法会)

蔵人の式部丞が、白馬の日、紫宸殿の大庭を練り歩く姿。(七日節会の叙位の儀の後、叙人を引率した)
その日、靫負の佐(ユゲヒノスケ・検非違使の衛門尉で六位の蔵人を兼ねた殿上の判官)が、舎人などの制度に反する衣服を破らせている勇ましい姿。
尊星王の御修法。(北斗七星を神格化した妙見菩薩を祭る修法)
季の御読経。(春秋二回、二月と八月に紫宸殿に百僧を講じて大般若経を転読する法会)
熾盛光(シジャウクワウ・熾盛光大威徳消災吉祥陀羅尼のこと)の御読経。



「きらきらしきもの」とは、威厳に満ちた堂々としたものを指すようです。
列記されているものは、いずれも難しく内容をうまく説明できませんが、仏教関係の行事が多いようです。
少納言さまの時代の一端が窺えます。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 神のいたう鳴るをりに | トップ | 常に文おこする人の »

コメントを投稿

『枕草子』 清少納言さまからの贈り物」カテゴリの最新記事