雅工房 作品集

長編小説を中心に、中短編小説・コラムなどを発表しています。

七十五歳など洟垂れ小僧 ・ 小さな小さな物語 ( 1781 )

2024-06-29 08:17:08 | 小さな小さな物語 第三十部

米大統領選挙の前哨戦として大きな注目を浴びる討論会の様子が、紹介されていました。
バイデン大統領とトランプ前大統領によるもので、四年前と同じ顔合わせでした。
その内容は全米に放映され、視聴者は六千万人とも七千万人だとも、あるいはそれ以上だという調査もあるようで、時には、無党派層の票を大きく動かせることがあるようです。
今回の場合も、史上最悪の討論会と酷評された前回の反省に立って、発言者の相手のマイクを切るなど様々な工夫がなされていたようです。
それにしても、九十分に及ぶ激しい討論を、メモが禁止され、スタッフからのアドバイスも禁じられている中だけに、公的な政策の良し悪し以上に、発言力、表情、声の調子、仕草などが、むしろ大きなポイントとして注目されています。
従って、服装やメーキャップなども工夫されているでしょうし、演壇の右左のどちらに立つかでもテレビ映りに差が出るそうで、今回もコイントスによって決めたようです。

この討論会は、日本時間の昨日のお昼頃に終りましたが、その直後から、各陣営や多くの評論家たちがその点数付を行っているようです。
当然、経済問題やウクライナ情勢や国境管理などでの主張の正当性や論破力が評価されることになるのでしょうが、それ以上に各人の一挙手一投足に注目度が高いように思われます。さらには、両人ともに相手を「史上最悪の大統領だ」と罵り合う場面がありましたが、その様子を見て、評論家はともかく、有権者の方々はどういう判定を下すのでしょうか。
そして、今回もっとも注目された視点の一つは、両者の健康問題、年齢問題だったように感じました。

米国は、わが国と違って、様々な職業や社会的立場について、年齢による制限は少ないと伝えられています。
しかし、一国の首長であり、それも米国大統領ともなれば、望む望まぬに関わらず、自国ばかりでなく世界中に少なからぬ影響力をもたらします。そう考えますと、八十一歳のバイデン大統領と七十八歳のトランプ前大統領のどちらが選ばれるとしても、これからの四年間に年齢からくる健康面の不安は完全無視することなど出来ないのではないでしょうか。
米国も含めた報道においても、この点は再三問題視されているようです。米国は様々な地位などに年齢による制限し少ないということと、心神の能力のうち加齢により低下する部分があることは確かだと思うのです。

一方で、わが国においては、多くの職業や、公的・私的双方の社会的地位などに年齢制限がなされている部分が数多く見られます。
少子高齢化社会などという言葉が誕生して何年になるのか知りませんが、少なくとも、この十年間だけを見ても、何か改善された部分があるのでしょうか。
「わが町は人口が増えている」と大見得を切っている首長もおりますが、そのほとんどは、他の地域からの流入による増加であって、人口問題には何の役にも立っていないはずですか、それさえも理解されていないようです。東京都の出生率が0.99になったと、非難めいた声がありましたが、人口動向と合わせて考える必要がありそうです。
ただ、わが国の人口が減少し続けているのは厳然たる事実ですから、小手先でない対策が待たれます。この問題は改めて考えたいと思いますが、米大統領選挙の討論会を見ていて思いましたことは、両者の今後の四年間が心配ではありますが、それ以上に、あの年齢で、これからの四年間を、あの米国を引っ張っていくとの気概を持っている人がおり、その人を熱く支援する多くの人がいることを学ぶべきだと思いました。
わが国では、七十五歳から後期高齢者だそうですが、彼ら二人に言わせれば、「七十五歳など洟垂れ小僧だ」なのでしょうね。


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