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『セフレの品格(プライド) 初恋』

2023年08月06日 | 映画(さ行)
『セフレの品格 初恋』
監督:城定秀夫
出演:行平あい佳,青柳翔,片山萌美,新納慎也,川瀬陽太,こころ,田中美奈子他
 
TOHOシネマズなんば別館で『アイスクリームフィーバー』を観てから、
インバウンドだらけの道具屋筋を抜けてなんばパークスシネマへ戻りました。
 
原作は湊よりこのレディースコミックなのだそうです。
タイトルがタイトルだから、観に行きづらいですよね。
なんでこんな作品をシネコンで上映しているのか知らんけど、
それはいまやすっかりメジャー級になった城定秀夫監督だからなのでしょうか。
 
上映開始ギリギリに入場してギョッ。
まばらな客は中年のオッサンひとり客ばかりじゃあないか。ちょっと引く。
女性はほとんどいなくて、たぶん私を含めて3人。
R18+かと思ったら、これでR15+か。ウブな高校生男子が観たら鼻血出しそう(笑)。
いまどきそんなウブな子はいませんか。
 
バツ2で高校生の娘を育てるシングルマザー・森村抄子(行平あい佳)は同窓会に出席。
酒を飲み過ぎて酔っぱらっていたところ、北田一樹(青柳翔)に誘われてホテルへ。
情事の後、次はいつ会えるか尋ねると、一樹にそのつもりはないと言う。
自身バツ1の一樹は、結婚はもちろんのこと恋愛すらもうするつもりがなく、
抄子もそうだろうと思って誘っただけだと。今後もセフレとしか考えないと言う。
 
一樹は抄子の初恋の相手。初恋の人とセフレになるだなんてあり得ない。
気分を害してそのまま一樹と別れるが、彼のことが頭から離れずに困る。
翌日、陰部に違和感があり、ちょうど連絡を寄越してきた一樹に
「この遊び人! 病気をうつされた」と返信すると、産婦人科医の一樹は抄子を迎えに来て自ら診察。
そのまま再び怪しい雰囲気になるも抄子が拒むと、一樹はどうでもよさげな態度を取る。
 
その後、親友の新堂華江(片山萌美)も一樹のセフレであることを知り、
ショックを隠しきれない抄子に近づいてきたのが職場の上司・葉山(新納慎也)。
パートから正社員への登用をちらつかせる葉山と一度寝てみたものの、
どうしても一樹のことが忘れられない抄子はセフレの関係を受け入れることにして……。
 
ピンク映画出身の監督の中には、メジャー級になると、ピンクなんて知りませんよという感じの人もいます。
でも城定監督や今泉力哉監督からは常にピンク映画への愛着と敬意を感じます。
 
産婦人科医という設定には、まるでAV(アダルトビデオ)やんと笑いましたが、
そんなところもありつつ、脚本はちゃんとしているので面白い。
高校生の娘との関係もきちんと描かれていて、えらく良い子な娘にも救われます。
 
ご覧になる人はそうそういないと思いますので、これもネタバレしましょう。
 
一樹がもう恋愛したくない理由がなかなか壮絶で、これもAVばりながら悲惨。
院長である一樹の父親(川瀬陽太)と一樹の妻がデキていて、
自分の子どもだと思って可愛がっていた息子が実は父親と妻との間にできた子だったという。
そりゃもう人間不信に陥りますよね。(^^;
 
華江が一樹とセフレになったのは、乳癌を患って乳房を摘出した華江が滅入っていたところ、
一樹が相談相手となったのがきっかけでした。
華江から3Pしようと誘われて絶句する抄子だけど(しません(笑))、
実は華江は忘れてしまった自分の乳房を抄子の胸を見て思い出したかっただけとか、ちょっと切ない。
 
抄子に結婚しようと言い募る上司が怖い。
結婚こそゴールで、結婚することが幸せだと思っている彼に、
一樹とセフレの関係にあって、幸せかどうかはわからないけど少なくとも不幸ではないと断言する抄子。
そうだよ、幸せかどうかは他人が決めることじゃない。
 
一樹の母親役は田中美奈子でした。若かりし頃の彼女を知る者としてはこれも衝撃的。
抄子が露天の一杯飲み屋で会う不倫カップル役には伊藤克信と寺島まゆみ。
寺島まゆみはかつてロマンポルノで活躍した女優なのだそうで、さすがにその時代を私は知りませんが、
抄子役の行平あい佳の実母なんですね。びっくり~。
 
客層も含めていろいろと楽しかった1本でした。一昨日から続編公開中です。

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