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『今宵、フィッツジェラルド劇場で』

2007年07月18日 | 映画(か行)
『今宵、フィッツジェラルド劇場で』(原題:A Prairie Home Companion)
監督:ロバート・アルトマン
出演:メリル・ストリープ,リリー・トムリン,ギャリソン・キーラー,
   ケヴィン・クライン,リンジー・ローハン他

昨年11月に他界したアルトマン監督の遺作。
無冠の帝王である彼の群像劇は逸品。
人は皆、どこかで繋がっている。
それを、ときには皮肉っぽく、ときには温かく、
常にユーモアを織り交ぜながら見せてくれる監督でした。
同監督の作品および群像劇については、こちらこちらをご参考までに。

人気ラジオ番組「プレイリー・ホーム・コンパニオン」。
ミネソタ州のフィッツジェラルド劇場で、
30年間、毎週土曜に公開生放送がおこなわれてきたが、
今夜、最終回を迎えようとしている。
ある大企業によって、ラジオ局が買収されたためだ。

しかし、楽屋入りする出演者たちの顔に涙はない。
思い出話に花を咲かせるカントリー歌手のジョンソン姉妹。
姉のロンダ、妹のヨランダと共に、ヨランダの娘ローラもやって来る。
母と同じく歌手を目指すローラは作詞に没頭。

下ネタ満載のカウボーイソングを歌い続け、
いつ聴衆からクレームが来るかと
ディレクターをハラハラさせてきたのが
男性デュオのダスティ&レフティ。
今日も「どうせ最後さ」と下ネタをあれこれ用意。

ベテラン歌手のチャックは、年老いて声もろくに出ないが、
長年サンドイッチの売り子を務めてきたエヴリンと、
出番後に過ごす時間を心待ちにしている。

司会者ギャリソンの名台詞で放送がスタート。
今宵が最後の放送であることを聴衆に言い出せないまま
番組を進行するギャリソン。

保安官のガイは、なんとかこの番組を続けたいと願う。
そんな折り、劇場に現れたのは白いコートの謎めいた美女。
彼女が天使だと信じたガイは、
番組を救ってくれるのではと望みを託すのだが……。

番組も実在なら、司会者も本物。
ギャリソン本人の原案による作品です。

胸を打つ台詞がいっぱい。
エヴリンと抱き合うことを夢見ながら
楽屋で息を引き取ったチャック。
悲嘆に暮れる仲間の耳元で、謎の美女はこう言います。
「老人の死は悲劇じゃない」。

ヨランダの人生訓も最高。
物事が上手く行かなくても絶望してはいけない。
上手く行かないということは、
まだ自分を活かしきれていないということ。
だったら、まだ可能性がある。
人生に無駄はない。きっと道は開ける。

そう、人生は素晴らしい。

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