『ライフ・イットセルフ 未来に続く物語』(原題:Life Itself)
監督:ダン・フォーゲルマン
出演:オスカー・アイザック,オリヴィア・ワイルド,マンディ・パティンキン,オリヴィア・クック,
ライア・コスタ,セルヒオ・ペリス=メンチェータ,アネット・ベニング,アントニオ・バンデラス他
TOHOシネマズ西宮にて、無理やりつくった時間で1本だけ。
予告編を観たとき、輪廻の話なのかなと思っていました。
そうではありませんでしたが、「人生そのもの」の話はちょっぴり哲学的。
その部分についてはちゃんとは理解できなかったけれど、
理解できてもなんとなく言わんとすることは伝わってきます。
おおまかに分けて3つの話。
時代が少しずれているところとかぶっているところがあります。
どこから話してもネタバレになってしまうから、
ご覧になる予定の方はここから先を読まずに劇場へどうぞ。
ニューヨーク。大学時代に知り合ったウィルとアビー。
アビーにぞっこんだったウィルが想いを打ち明けて実らせ、結婚に至る。
ところが、あと3週間で女の子が生まれるというときに、
アビーは道路の真ん中でバスにぶつかって死亡する。
最愛の妻を喪ったウィルは精神を病み、
アビーのお腹の中にいた赤ん坊は無事に生まれていた。
名前は母親アビーが切望していたとおり“ディラン”と名付けられ、
祖父アーウィンが引き取って育てる。
しかし父親ウィルは一度もディランに会いにくることなく死んでしまった。
アーウィンの愛情を痛いほど感じて感謝はしているが、
生まれたときから不幸だらけの身の上だから、とても素直になれない。
ニューヨークから遠く離れたスペイン・アンダルシア。
大地主サチオーネのオリーブ畑で働くハビエルは、
その実直さを見込まれ、作業長として住居を与えられる。
それを機会に恋人イザベルと結婚、ほどなくして息子ロドリゴが生まれる。
初めての家族旅行でニューヨークを訪れるのだが……。
3つの話がどう繋がるのか、見当もつきませんでした。
アビーが事故死したことがわかるのも、1つめの話が終わる頃になってからです。
そして、お腹の中の赤ちゃんが生きていたことがわかったときもビックリ。
役者が皆とてもいいんです。
特によかったのは、ディラン役のオリヴィア・クック。
自分の誕生日が母親の命日。
父親は母親の死から立ち直れないまま自ら命を絶ったなんて、
これはもう不幸以外の何物でもない。
そりゃグレもするでしょう、髪の毛を真っ赤っかに染めてヘソ出して。
でもそんな見た目であっても祖父に感謝していることはわかる。
息子夫婦が孫を遺して逝ってしまって、頑張る爺ちゃんの姿には涙が出ます。
また、サチオーネ役のアントニオ・バンデラスもめちゃくちゃイイ。
オッサンどころかジジイになったなぁバンデラスと感慨深い。
彼がイザベルとロドリゴに無償の愛を注ぎ(金持ちだからできることなんですが(笑))、
ひそかにハビエルに手紙を書き続けていたことがわかるシーンにも涙。
サミュエル・L・ジャクソンが「信頼できない語り手」として登場しています。
随所にユニークな点も見られ、深刻な話の中に笑いも。
ボブ・ディラン好きの人には特にお薦めしますが、
ディランよう知らんという私みたいな人も「なんかよかった」と思える作品なのでは。