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『コーポ・ア・コーポ』

2023年11月23日 | 映画(か行)
『コーポ・ア・コーポ』
監督:仁同正明
出演:馬場ふみか,東出昌大,倉悠貴,笹野高史,前田旺志郎,北村優衣,藤原しおり,片岡礼子,
   大谷麻衣,山本浩司,白川和子,岩松了,芦那すみれ,中村更紗,広山詞葉,マッコイ斉藤他
 
TOHOシネマズ西宮にて、2本ハシゴの2本目。
 
原作は岩浪れんじの同名漫画。
芥川賞受賞作家西村賢太がファンだったらしく、第1巻の刊行時に帯文を寄せたとのこと。
西村さん、まだ50代前半だったのに、昨年お亡くなりになっちゃいましたねぇ。
 
イオンシネマ茨木で何度も予告編を目にして面白そうだと思っていました。
茨木で観られたら体力的にも楽だったのに、仕事帰りの時間には上映なし。
致し方なく西宮まで行ったというわけです。
仁同正明監督の作品を観るのは私は初めて。さて、どうでしょう。
 
大阪の昭和レトロを醸し出している安アパート“コーポ・ア・コーポ”。
冒頭直後、住人のひとり・山口が自室で首を吊って自殺するシーン。
取り立てて慌てるでもなく、山口が残していった数々の電化製品を物色するのは以下の面々。
 
実家を飛び出して、家族の誰にも居所を知らせないままのフリーター・辰巳ユリ(馬場ふみか)。
どんなときもスーツ姿でビシッと決めて女を騙す貢がせ男・中条紘(東出昌大)。
女にモテるがすぐにキレる日雇い労働者・石田鉄平(倉悠貴)。
自分のタバコと誰かのタバコをすぐに交換したがるおばちゃん・恵美子(藤原しおり)。
大家が家賃の取り立てに来るとそれをみんなに知らせて回るおっちゃん・宮地友三(笹野高史)。
 
先日観た『正欲』のような、登場人物ひとりずつを取り上げてゆく章仕立て。
 
みんなワケありで、これでいいと思いながら暮らしているわけではありません。
かといってなんとかしなくちゃという焦燥感は見えず、ゆるくてイイ。
 
タバコを交換したがるおばちゃんだけは私には本作に必要だったとは思えず、
おそらく原作ではインパクトの強い立ち位置なのではないでしょうかね。
映画になったら浮きまくりで、彼女が出てくるたびに少々シラけてしまうはめに。
この役を演じる藤原しおりって、どこかで見たことがあると思ったらブルゾンちえみだったのですね。
 
ユリの居所を見つけて会いに来る弟役に前田旺志郎。母親役には片岡礼子
この母親が序盤でユリのことを罵倒するのですが、終盤のシーンがめちゃくちゃよかった。
なんとなく母親に会いたくなって母親が勤めるスナックに向かったユリ。
客の見送りに出てきた母親はやっぱり冷ややかだけど、
仕事が終わるまで向こうの朝5時まで開いている喫茶店で待っていろとユリに言う。
ところがその喫茶店が臨時休業していて、それに気づいたときの母親の慌てぶり。
慌ててユリを探し回る姿に、声をかけないまま、でもニヤリと笑って立ち去るユリ。
今年観た映画の中でトップ10入りするぐらい好きなシーンでした。
 
アパートの一室でひそかにいかがわしい商売をする友三。
そこで働くこれも曰く付きの「踊り子さん」役、大谷麻衣もとても素敵でした。
 
何がよかったとか、よくわからない。でも好きでした。
だけどこれ、ロケ地は大阪じゃないみたい。こんなに大阪のふりしといて、いったいどこ!?

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