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『バンクシーを盗んだ男』

2018年08月18日 | 映画(は行)
『バンクシーを盗んだ男』(原題:The Man Who Stole Banksy)
監督:マルコ・プロセルピオ
ナレーション:イギー・ポップ

この日の朝、ダンナがタイから帰国しました。
晩は毎土曜日の習慣、帰国日といえども普通に外食の予定なので、
それまで昼寝するであろうダンナを家に残し、私は映画に行くのでした。

暑いけれども地下道を通ってシネ・リーブル梅田へ。
阪急梅田駅から梅田スカイビルまでたどり着くのって、10分じゃキツイですよね。
だいたいいつも15分と見積もっています。
寒いときはさっさと歩けても、この炎天下では足取り重くて堪えるのよ。

前日に観た『オーシャンズ8』にもバンクシーがチラリと出てきて嬉しかった。
『イグジット・スルー・ザ・ギフトショップ』(2010)以来、虜です。

ご存じない方のためにちょこっと説明しますと、
バンクシーは正体不明のグラフィティアーティスト。
グラフィティアートというとただの落書きと見られる向きも多いですが、
彼の作品の場合は数千万円、時には1億円という価格で取引されるのですから、
落書きの域なんて遙かに超えています。

その活動地域はロンドンを中心として世界中。
誰にも見られないようにどこかにこっそり現れては作品を残す。
所詮落書きと、ただちに消されてしまうこともあります。

『バンクシー・ダズ・ニューヨーク』(2014)では1カ月毎日、
ニューヨークのどこかの路上に作品を発表し、
自分がいち早くそれを見つけようとする人びとでエライ騒ぎになりました。

戦場まで出かけていくこともあり、命を張った落書きと言えます。
しかも作品の完成度はめちゃくちゃ高く、上品。
やっぱり落書きの域を超えている。

そんなバンクシーが、今回はパレスチナ・ヨルダン西岸地区ベツレヘムへ。
パレスチナとイスラエルを分断する巨大な壁に絵を描きました。
ロバと兵士が描かれたその絵を見た一部の人が、
パレスチナの住民をロバだと茶化していると非難。

壁の持ち主である地元の大金持ち、マイケル・カナワッティが、
タクシー運転手のワリド・“ザ・ビースト”をはじめとする数名に、
壁から絵を切り取ることを命じます。
海外に持ち出し、売上金は教会の改修に寄付するとかなんとか。
ワリドたちにも報酬を払うからなんてことも言って。

壁から絵を切り取れるものなんですね。
ウォータージェットカッターとかいうものでギュイーンと切り取っていました。
鼻高々に話していたワリドですが、報酬なんて一銭も貰えず。
まんまとマイケルだけが儲ける話に乗ってしまったわけで。

上映終了後に映画評論家ミルクマン斉藤氏のトークイベント。
客が20名ほどしかいなかったので静かなものでしたが、
そろそろバンクシーの正体が明らかになりつつあるという話など、
今後も活動が楽しみになるトークでした。

バンクシーがヨルダンで昨年開業したという「世界一眺めの悪いホテル」、
ものすごく気になります。

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