『ビバリウム』(原題:Vivarium)
監督:ロルカン・フィネガン
出演:ジェシー・アイゼンバーグ,イモージェン・プーツ,ジョナサン・アリス,
セナン・ジェニングス,アイナ・ハードウィック他
ダンナが緊急入院して手術、3日間入院することに。
その間は私もおとなしく家にいるつもりでしたが、
術後の経過も順調とのこと、コロナ禍で面会も禁止だし、
映画の1本ぐらい観に行ってもええんちゃうかと。
一応、病院にいるダンナに「映画を観てきます」とメールしてから、
TOHOシネマズ西宮へ。
ハリウッド映画とは一味も二味も違うなと思ったら、
ベルギー/デンマーク/アイルランド作品。
監督はアイルランドの新鋭ロルカン・フィネガン。
とっても変です。私は気に入ったけど、人には鑑賞を勧めません(笑)。
いずれ結婚、そしてマイホームを手に入れることを夢見て、
ふらりと入った不動産屋で、ある物件を紹介される。
連れて行かれたのは郊外の“ヨンダー”という住宅地。
広大な敷地には何百軒、もしかすると何千軒もの同じ家が並んでいる。
自分たちの希望する家とはかけ離れていて、見るだけで帰るつもりが、
気づけば不動産屋の社員マックスは姿を消していた。
トムとジェマがヨンダーから出ようとすると、なぜか出られない。
何度車を走らせても、入ってきたはずの入口は見当たらず、
案内された9番の家の前へと戻ってきてしまう。
やがて車はガス欠になり、日も暮れて、致し方なく9番で眠る。
すると翌朝、家の前にダンボールに入った食糧が置かれていた。
その翌朝にはなんとダンボールの中に赤ん坊が入っていて……。
この赤ん坊は男児なのですが、ものすごいスピードで成長します。
98日目には小学生ぐらいの背丈。しかもオッサン声。
トムやジェマの話していたことを再現したり、とにかく不気味。
トム役にはジェシー・アイゼンバーグ、ジェマ役にはイモージェン・プーツ。
あとは謎の怖すぎる少年がいるだけだし、
ほぼ全編ヨンダーの中でのことだし、予算はあまりかかっていないかも。
それでこんなヘンテコで面白い(でも人には薦めにくい)作品を撮るのは凄い。
狭いところに閉じ込められるのは怖いと思っていましたが、
いくら広くてもそこから出られないところへ閉じ込められたときの恐怖。
いったい何者なのかわからない男児にママパパと呼ばれ、
その男児からずっと注視されている。気持ち悪いことこのうえなし。
原題の“vivarium”は、自然の生息状態を真似てつくった動植物飼養場のことなのだそうです。
ネタバレになりますが、ここで飼養されているのはミュータント。
冒頭にジェマが小学校の児童にカッコウの托卵の話をするシーンがあり、
つまりはミュータントから人間が托卵されたのが最後にわかる。
最後はトムとジェマが無事脱出するというエンディングでもなく、
とても後味の悪い絶妙のシーンでおしまい。
明るい気分で帰りたい人は観ないでください(笑)。
年に何十本か以上の映画を観る人にはお薦めしたい。