メカニック日記

メカニックです。仕事ネタから感じた事思った事など気まぐれに更新していきます…

トルク管理の重要性…

2015-09-16 09:47:10 | 整備
ある日お客様の運送会社の運転手さんから運行前点検時に右フロントのホイールナットの打音点検にて音が鈍いから見て欲しいと依頼があり、点検してみると…

確かに鈍い音がします…


トルクレンチで確認してみると…ちゃんと締まってます…


ですが…気持ち悪いのでタイヤを外してみます。


ホイールナットを大型インパクトで緩めようとしますが全然緩みません…レベル4でなんとか緩んだんですが、なんと先ほど音が鈍かった箇所のハブボルトが折れてました…




とりあえずこのまま乗るのは危険なのでハブボルトを全数交換します。


で、原因を調べるため折れた箇所のホイールを点検したら気になる所があったのでレッドチェックにて見てみます。


すると…



割れてました…

原因はおそらくホイールナットの締めすぎでしょう…
実はこの車両、当工場で6月に車検をしています。で、当然車検なのでホイールナットを全数トルクセッターにて締め直しています。


が、しかし…


その後タイヤ屋にてフロント2本を交換している事が判明。
出張作業にてタイヤを交換してもらったらしいです…

その時に締め過ぎたのかどうかは今となっては分かりません。
タイヤ屋はトルクレンチで締めたと言っているみたいですが…

こっちも素人じゃありません…
大型インパクトでの緩み方を見れば締め過ぎは明らかです…
大型インパクトでガンガンに締めてヨシ…みたいな感じでしょう…


まあ今回は運転手さんの意味のある運行前点検のおかげで発覚したので良かったですが…


ホイールに限らずエンジンでも足廻りでもそうなんですが、トルク指定がある箇所はトルクレンチで締める…

これは当たり前の事だと思います。

しかし残念ながらトルクの重要性を理解してる人って少ないです…

トルクレンチしかり…


当工場も会社所有のトルクレンチがあるんですが、主に小さいサイズのトルクレンチは皆さん使い方が雑です…他の共同レンチ類が入ってる棚に箱にも入れず放かってあるんです…

会社の工具となるとそんなもんですかね…

使った後に適当に床に置きっぱなしなんて事はしょっちゅう…
校正もしばらく行っていませんし…

トルクレンチを使って締めた事で満足してる様な…
その締められたボルトやナットが実際にどんなトルクで締められたかは気にならないみたいです


当然そんなトルクレンチ、信用出来るはずもなく…なので自分はマイトルクレンチを買って使ってます。
校正も自腹で1年に一回行います。


自分で買った物は大事に使いますよね…

それと同じぐらい共同工具も大事に使ってくれるといいんだけどな…






無理か…











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オーバーヒート その3

2015-09-12 22:38:30 | 整備
やっと3台目…

最後のオーバーヒート車両。
いすゞエルフNPR81 エンジンは4HL1

この車はアッパーホースが破裂してオーバーヒートしたパターン…
アッパーホースの真ん中あたりからカッターナイフで切ったかの様な裂けよう…

よーく中を覗くと答えが分かりました。

裂けたホースの中はオイルでドロドロ…


冷却系統にオイルが混入してるみたいです。

ホースというホースは見事に全てブヨブヨになってました。

オイルクーラーかな~⁉︎なんて考えてたらフロントから『お客がクラッチも滑ってるからそれも直しておいて…って言われた』との伝言が…


正直、『ラッキー』って思い迷わずエンジン下ろす事にしました。

なぜかこの型式のエルフとは縁が深いのか今まで10基ほどエンジンを下ろしてるので、慣れてるせいか2時間ほどで下ろせちゃうんです…

しかも下ろしちゃえば言うまでもなく整備性も抜群に良くなるし車両はリフトで引っ張り出せるからピットも空くのでいい事だらけ。


で、さっさと下ろします。

まずミッションを下ろして、エンジンを下ろしにかかっている時に事件が…



自分も悪いんですが下ろしたミッションをミッションジャッキに乗せたまま車両の横に適当に置いていたんです…
すると自分が作業してるとなりのピットへ別のメカニックが運転する大型トラックがバックで入ってきたんです。

入ってきてる事は知ってましたが、てっきり誘導者がいると思い込み自分の作業を続けてた

その時…

『バキバキ』っという物凄い音が…


何⁇何⁇って感じで振り返ると…





ミッションが引かれてました…
急いでバックしてた車を止めて状況を確認すると…


『うそやーん』って



レリーズの取り付けが割れてました。さらに
ミッションジャッキもバラバラに…


仕事が増えました…

当然、100%こっちが悪いので修理します…


不幸中の幸いなのかミッション自体はレリーズの取り付け以外は無事でした。
なのでクラッチハウジングのみ交換で…と思ってたらよく見るとこのミッション、クラッチハウジングがミッションのフロントケースも兼ねるタイプ…


2度目の『うそやーん』が出ました…


とりあえずエンジンやりながら空いた時間にミッションをやる事に。




さすがにエンジン下りてると全てにおいてやり易い…
ハイペースでバラしていきます…



サーモスタットのパッキンもブヨブヨ…








ヘッド外して歪み点検すると酷いところで0.15mmほどの歪みが…
こちらは外注さんに頼みましょう…



ブロックは大丈夫そうです。

で、部品待ちの間にクラッチハウジングを…






新品ハウジングにオイルシールやブッシュを打ち込み…
ベアリングのリテーナーとレースは再利用するので移植。





どんどん組み付け




いきなり夜になっちゃいましたが、完成。


続いてエンジンも洗浄しながら組んでいきます。










だいぶハショりましたが完成。。




この画像に写ってるミッションジャッキは部品商に無理言って2日で仕入れてもらった新品のミッションジャッキ…笑

無事車両にもドッキングし冷却系統を循環洗浄して完了。

さすがに時間に追われながらの3台連続は気疲れが半端ないです…




しばらくは平和が続きますように…












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オーバーヒート その2

2015-09-12 20:21:13 | 整備
オーバーヒート…2台目です。


こちらもファイターでPA-FK71ですが、エンジンは4M50です。

この車はラジエーターのロアタンクが割れてオーバーヒートしたパターン…

まずラジエーターを直さないと吹き返しも見れないので交換します。

交換後エンジンかけて点検すると…やっぱりダメでした…


で、早速ヘッドを降ろし各部を点検…


ヘッドの歪みはほとんど無く良好だったんですが、シリンダーライナーにそこそこのガリキズが…

写真撮り忘れちゃったんですが、『何じゃこりゃぁ…』っていうくらいのキズ。


結局、腰上はオーバーホールする事に…


時間も無いのでどんどんバラしていきます。




自作ピストンスタンド…


結構便利なんです…笑




ピストンにダメージは無さそうなので再利用。

なのでライナーとリングとメタル関係を交換。

ヘッドは水圧も合格して戻ってきたのでステムシール、インジェクタースリーブを交換。バルブシートやガイドは問題無しで再利用。

大量の部品を仕分けながら…洗浄した部品を組み上げていきます。




記事にすると早いですね…笑




バルブクリアランスもシビアに調整。
ここがキッチリ出来れば組みあがったエンジンの音は劇的に良くなりますよね。

オーバーヒートとはいえ、いい機会だと思います。

量産車のエンジンなんてラインで組まれたエンジンなので細かいところまで調整されていませんし、各部の締め付けもオーバートルクが多いです。
それを今回は腰上だけですが調整しながら組めるんです。もちろんトルク管理もキッチリやる事で手組みのエンジンができる訳です…

変わり者と思われるかもしれませんが、こうやって各部をキッチリ調整やひと手間かけて組む事でエンジンが喜んでる様に感じるんですよね


中には素直じゃないエンジンもいますが…笑


昨今メカニックという職業はある意味『パーツチェンジニア』と思われがちで…

それは時代の流れもあるんでしょうし、否定するつもりは全くありませんが、自分はあくまで修理の出来るメカニックを目指していきたいと思います。

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オーバーヒート…その1

2015-09-11 21:49:58 | 整備
先日入庫したオーバーヒートしたファイターSKG-FK71…23年式で新しいと思ったら、もう3年も経つんですね…


ちょっと前に書いたロアホースが付いて無かった車両です。

とりあえずロアホースを注文して吹き返しなど点検したんですが、言うまでもありません…

ボコボコ吹き返してます…


やっぱり…


お客様にとりあえずバラさないと正確な見積もりは出せませんと言うと、『新しい車だし使いたいから早く直して…』と。

早速バラして各部を点検していくんですが


途中気になった事…この新しい6M60はカムシャフトがフルフローティングになってるんですね…前の6M60はメタルだったような気がしますが、違ったかな…⁉︎

まあでもトラックのエンジンなんで出来れば交換可能なメタルにしてほしいのが本音です。

そんな事を考えてるそばから、カムシャフトのハウジングにキズが…
カムシャフト自体にも軽いキズが



微妙に爪で引っかかるけど、修正でなんとかなればと思い軽く修正かけた後、オイルクリアランスの測定。

基準値としては0.075~0.12mmで限度が0.25mm…

なんですが、測ってみると0.05mm…

焼き付く1歩手前でした。


カムシャフトも曲がりを点検したいんですが、当工場…恥かしい話、信用できる定盤が有りません…

…ので工場内で1番信用出来るブロック上で…




結果…振れが0.07mmなので0.035mmの曲がり。

曲がりの基準値が0.02で限度が0.04mmなので
数字上は合格…


しかしハウジングが基準値外で不合格…


整備書によるとカムシャフト、ハウジング、キャップは精密製造品の為、必ず同時交換して下さい…と


そんな高回転まで回すわけじゃないし、トラックのエンジンでフルフローティングにするメリットってどのくらいあるんだろ…








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ギガどツボ…

2015-09-09 21:56:11 | 整備



…まさに『やっちまったなぁ』状態です…


先日、投稿させていただいた『いすゞ商法』の中のギガの作業の続きなんですが、トラブルシューティングの結果ECU不良と判断して納期未定と言われながらも発注して約10日後の本日部品が入ってきました。


早速作業を進めました。

とりあえず元のECUを外す前にインジェクターのIDやMAF補正値、Q調補正値などをスキャンツールを使い読み出し保存しておきます…

で、元のECUを外し新しいECUを取り付けます。

ここから先ほど読み出した各データを新ECUに書き込んでいきます。

きちんと書き込めたか確認します。




とりあえず良さそうなので早速エンジンをかけてみます…

問題無くかかりアイドリングも調子良さそう…

しばらくアイドリングさせた後、試運転に行こうと車に乗り込み発進…した瞬間メーターにエンジンチェックランプが点灯…


心の中で本気の『ウソや~ん』が出ました…


とりあえずピットに逆戻り。
診断機を繋いで故障コードを見るとやっぱり

と出ます。

実を言うと前回のトラブルシュートの時にもECU不良が原因っていう確信は持てなかったんです…でもフローチャートに沿って調べていってもECUに辿り着くのでそうなんだろうと自分を納得させてましたが…

ECUを換えてアイドリング状態でも問題無かったので安心してたんですが、ここに来ての再点灯。

ふりだしに戻った感じでテンションダウン…
がしかし本日納車なのでそうも言ってられません。

再度トラブルシューティング…

もう一回調べます。

故障コードはやっぱりインジェクター電圧系なので電源系統の配線を調べるも断線やショートもありません…ヘッドカバーも再度外してインジェクター回路も徹底的に調べるも問題無し。

またこの気持ち悪い感じ…

ただ今回はECUは新品なので前回とは違います。
なんせ確信が持てなかったので…見積もりの段階でインジェクターハーネスも入れておいたので換えてみます。


さらにECU~インジェクター間の2本ある電源も引き直し。

これでいいでしょ。って感じでエンジン始動‼︎

チェックランプも点かず…治った…と思ったのも束の間…

また点きました。

やはり同じコード。

マジかよ…

配線も調べた時には確かに問題無かったんですがここまでくると全て疑わしくなるので、とにかく地道に潰していきます。
今度はインジェクターからECUまでの配線を引き直していきます。

1.2.3番とも引き直します。


これでダメなら知らん…ぐらいの勢いでエンジンかけると、なんとチェックランプも点かずいい感じ… 試運転してもランプは点かず…

今度こそ治った⁉︎…みたい。

が、ここまでくると原因を突き止めないと安心出来ないので、今引き直した3本線を1本ずつ元に戻し確認すると…
1番にて症状が再発するので…

おそらくですが、原因は1番のインジェクターからECUにに戻る配線がシールド線に擦れてショートしてさらにそのシールド線のボディーアースにショートしてたみたい⁉︎…それしか考えられないよね…


でも何であれだけ調べたのに分からなかったんだろう…

謎です…

ただ一つ言えることはまだまだ修行が足りません…





















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2度ある事は3度ある⁉︎

2015-09-08 22:26:16 | 整備
この仕事だけに限らない事かもしれませんが、何故か同じ修理が続く事ありませんか?


レンタカー会社のお客様から『車を貸してるお客からブザーが鳴り止まない!って言われたから現場まで見に行ってくれない⁇』との依頼で
出張で見に行く事に…

でメーターのマルチインフォメーションを見ると冷却水量異常の文字が…

サブタンクを見ると空っぽ…

キャビンを上げてラジエーターキャップを外してみても空っぽ…

あらら…


どっかから漏れてるのかな?なんて思いながら下廻りを覗いて見ると…あれ⁇


本来あるはずのロアホースがありません…

そりゃ水入ってないはずだよな…と思い、使っていた方にいつ気ずきました?って聞いたら

『ずっとブザー鳴ってたけど仕事しなきゃいかんから普通に使ってたよ…』と


おいおいマジかよ…


おそらく駄目だろうと思い、レッカー手配をしました。


で、会社に帰ると今度は別のお客様から『走ってたら水温計が振り切っちゃった…』と電話が…

こちらも見に行くとラジエーターのロアタンクが破損して水漏れ…

何かが当たった痕がありました。
こちらもレッカー手配。

そして…


その日仕事を終えて着替えて帰ろうとした時にまた別のお客様から電話が『オーバーヒートしたんだけど、どうしたらいい?』と…


『とりあえずレッカー手配します…』

運ばれて来た車を確認するとアッパーホースがハジけてました…。


その日だけでオーバーヒート入庫が3台も…




続く時は続きますね…


作業的には3台とももう終わってるんで、タイミングがあればまた載せたいと思います…。

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似てない⁉︎

2015-09-07 23:39:30 | 整備
レクサスLFA…



トヨタが誇るスーパースポーツカー。

4.8リッターV10エンジンは音もカッコいいです。


半年ぐらい前にトヨタ博物館に行った時に初めて間近で見ました…





カーボンブレーキ


とにかくカッコ良かったんですが、真正面から撮った写真…


この写真を撮るまで気にもしなかったんですが…














なんか似てない⁉︎







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GD1 フィット 修理

2015-09-06 23:02:20 | 整備
ホンダ 平成19年式GD1フィット…

お客様の運送会社のドライバーさんの自家用車なんですが『走行時や加速時にカクっと失速するような感じで気持ち悪いから見て欲しい』との依頼を受けました。

症状を聞いた時ある程度予想は出来てました。

実はこの状態は初期型のフィットには結構メジャーなトラブルなんです。

試運転して症状を確認して間違いないなと…


結論から言うとイグニッションコイルのリークが原因なんですが、このエンジンはツインプラグ方式で1気筒に2つプラグが付いてます。4気筒なので合計8本。コイルも8個付いてます。


まず比較的ダメになりやすいエキゾースト側のコイルを調べます。

すると3番のコイルにリーク痕を発見…

写真だと分かりにくいかもしれませんが…


で、こんな事もあろうかと以前別の車で交換して取っておいたコイルを付けて試運転して見ると…バッチリ治りました。
お客様に説明すると、『とりあえず悪い所のみの交換でお願いします』と…

まあ8本も付いてたんじゃ無理もないですよね…1本7000円ほど…部品だけで56000円ですから…

ホンダは当時ツインプラグは画期的と言っていましたが…



理想と現実は違いますね…








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安全の値段

2015-09-05 20:30:35 | 整備
先日ある個人のお客様から『息子の車が某大手カー用品量販店で車検を受けたばっかりなんだけど、ブレーキ踏むとキーキー音が鳴るから見て欲しい』
との依頼がありました。

とりあえずブレーキ関係を点検するとブレーキパッドが…


ちなみに車検を受けて1週間ですよ⁉︎

残量を測ってみると2.2ミリ程…
車検に通るか通らないかで言えば通ります。


が、次の車検時である2年後までもつか、もたないかで言えば…絶対にもちません。

何故なら、この車平均すると年間約2万キロ走行しています。

その条件でこのブレーキの残量を車検に通すのはいかがなものか…

しかもお客に説明も無く、さらに記録簿のブレーキ残量欄には5ミリの文字が…

信じられませんよね…


車検費用を抑える為なのかどうかは分かりませんが…自分に言わせてもらえばこれは詐欺です。

でも実際こういう事はよくあるんです。


ほとんどの方は知らずに乗ってる訳で…


でも少なからず出す側にも責任があるんです。

安さを追求するあまりこんなずさんな整備になってしまい…結果修理に高額費用が必要になるんです。
お金を払うだけで直る程度ならまだしも、ブレーキが効かずに事故を起こして相手を傷付けたりでもしたら…

人生が変わっちゃいますよ。


今の方々は車検をなるべく安く安くと言いますが、安い安全なんてありません。
安いという事はそれなりの整備という事です。

皆さんも点検・整備はちゃんとした整備業者を選んで下さい。



新品との比較。













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バンセーリング。

2015-09-04 22:08:48 | 整備
バンセーリング。

知ってる方も多いと思いますが、スナップオンが展開している販売方法。

実によく出来た販売方法だと思います。

フランチャイズを受けた方々がそれぞれ決まったテリトリー内で整備工場などを巡回して商品を販売するんですが、当工場には毎週金曜日に来ます。

で2週間ごとにキャンペーン用のチラシを持ってきてくれるんですが、何故かいつもタイムリーに欲しい物が載ってます…


しかも在庫も持ってたりするんですよね…


欲しかった物が手元にあってしかも定価より安かったら…

買っちゃいますよね…


まあ必要だから欲しかった訳で当然役にも立ってるんで全然問題無いんですが、そうやってちょいちょい買ってると段々と工具が増えてきて工具箱に入りきらなくなってくるんです。


そこにきてのこのチラシ…






考えてる自分が恐いです。

















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