メカニック日記

メカニックです。仕事ネタから感じた事思った事など気まぐれに更新していきます…

プロフィア…車検。

2017-01-22 09:57:08 | 日野
QKG-SS1Eプロフィア…




車検で入庫。
以前にもこのブログで少し触れた事があるんですが、SS系でリヤがエアサスのトラクタ…
いわゆる軽量サスペンションと呼ばれてるタイプの車軸…

中型、大型トラックの車検整備ではブレーキを点検するのにハブ、ドラム、タイヤを一体で取り外す事が殆どで、このSS系のプロフィアもフロントは従来通り一体で取り外します。
ベアリングの潤滑にはグリスが使われてます。





ところがリヤはDANA社製の車軸を採用しており、ハブベアリングの潤滑はグリスでは無くオイルを使用してます。
その為、従来の整備方法とは異なるんです …


まず、タイヤとハブとドラムは一体では外れません…
正確に言えば構造的には外れるんでしょうが、どのみち外さないとプレロードの調整などが出来ません…

タイヤを外せばドラム単体で取り外しが可能で…




当初この車軸はドラムだけ外れるので、お?整備するの楽になった⁉︎…と思ってたんですが、残念ながらそうでもなく…
正直、漏れなきゃ交換しなくてもイイのかな⁉︎…なんて考えてたオイルシールからは見事に漏れる。笑
それがまたグリスではなくオイルなので漏れるとタチが悪い…

このプロフィアも去年の初回車検時はハブシールは交換してなかったんですが、今回2回目の入庫では1ヶ所にハブオイル漏れが…
画像だと分かりづらいと思いますがライニングがオイルを吸ってベトベト…


ライニングがオイルやグリスを吸うと厄介で 、磨材に染み込んだ油分を完全に除去するのはほぼ不可能…
当然、ブレーキなので制動力にも影響が出てきます。

で、実は以前別の同型式の車両でもこのハブオイル漏れはありました。
その時は3回目の車検時でしたが…
それ以来、軽量サスのハブシールも車検毎には交換する事にしたんです。


シールとブレーキシューを交換する為にハブをバラしていきます…
まずはハブオイルを抜き取りつつ、アクスルシャフトの取り外し。


専用ボックスレンチ


アウターナットの取り外し…
高トルクで締まってる上、ナットが薄いので緩めにくいです。


更にアウターベアリングを取り外して…




ハブを抜き取ります…


で、シールのスリンガーはほとんどの確率でホーシングに残ります…笑




シールと残ったスリンガーを取り外し。




ベアリングを軽く洗浄&点検後、ベアリングにハブオイルを塗り、新しいハブシールを打ち込みます…


新品のハブシール。


専用のハブシールインストーラ…


セットして…


打ち込み…


後はオイルが漏れた1輪だけブレーキシューの交換。




取り外したブレーキシュー。


こちらはリビルトシュー


前は時間がある時は現場でライニングの張替えをしてましたが、最近はほとんどやらなくなっちゃいました…


で、ブレーキシューの組み付け。









ハブを組み付けていくんですが…
このプレロードの調整が非常にシビアなんです…笑

まずはシールを傷つけないようにハブを乗せてアウターベアリングを入れ馴染ませながらインナーナットを271Nmで締め付け…




その後インナーナットを1回転緩めて…
そこから今度は68Nmで再度締め付けた後、また1/4回転緩めます。


その時にロックワッシャーの位置を確認しつつ、ダイヤルゲージでハブのスラストのガタを測定…




この時点でガタを0.2〜0.3mmの間におさめておく必要があります…
後々の為にここは基準値に入るまで調整しといた方がいいです。

基準に入ったらアウターナットを475Nmで本締め。


再度スラストのガタを測定します。

最終的にこのガタが0.025〜0.127mmの間に入っていればオッケー。
先ほどのプレ調整はここでの再調整を無くす為なんです。
結果的に測定値は0.08mmで合格。

ここで本来ならハブの転動トルクを測定…って書いてあるんですが、2.0Nm以下が測定出来るトルクレンチなんて持っていないので…
ウチは抵抗や引っかかりも無く、軽く回ればオッケーという判断にしてます…


後はアクスルシャフトを入れて仮締め…




フィラーからハブオイルを1リッター注入。


シーリングしたプラグを58Nmで締め付け…





他の軸もハブシールを同様に交換、調整後にドラムを取り付けてパーキングブレーキを作動。
こうしないとアクスルシャフトの本締めが出来ません…
締め付けトルクは244Nm



フロントのハブは従来通りなので普通に組み付け




リヤもタイヤを取り付けて…


全てのタイヤをトルク締めして完了…
車検なので他にもオイルやエレメント関係も交換してますが、今回は車軸の整備だけ記事にしてます…笑

車両を降ろしてハブオイルで汚れたハブをスチームで洗浄して完了です。






昔はボルボトラックもハブにオイルを採用してるタイプがありましたが…
漏れると厄介なんですよね…

このDANA製アクスルも車検時にはハブシールの交換を強くオススメします…笑




コメント (15)

最近の作業…2

2017-01-18 01:55:52 | 整備
今年は年明けから車検が非常に多く、毎日車検をこなす日々が続いてます…


車検ばかりで大したネタも無いので最近の作業をサラッと…

まずはクオンの車検でアッパーホースから漏れがあり交換する事になったんですが…

ラジエーターがこんな状態…




クオンのラジエーターはココが弱いな〜

お客様に説明するもラジエーターを交換してる余裕は無いのでまた今度…だって。笑

まあこの程度なら漏れはしないだろう…という事でホースのみの交換。




それからEXD52ギガ…

車検では無いんですが、デフオイルが漏れる…との事で入庫。

見ると塩カルのせいでデフケースが朽ち果ててるので…
ココまでいくと本来ならホーシングASSYでの交換が望ましいんですが、あと半年で廃車との事なので今回はエポキシで対応。

腐食した部分を出来る限りキレイにして…


漏れてる箇所を特定して…


プライマー処理をしてエポキシでコーティング。
更にシャーシブラックを塗って…


デフオイルを注入して漏れが無いことを確認して完了。



お次は低床トレーラー。
全幅3.2mの50t積みのオートステアリング付きトレーラーです…


よく見るとオートステア機構が電気式…



このキングピンに付いてるのがアングルセンサーになっていて、ここの角度に合わせモーターで油圧を発生させトレーラー側のステアリングが自動で操舵されます。
リモコンで強制的にステアリングを切る事も可能です。
実はこの電気式のオートステアは初入庫で…

今までは機械式しか入庫が無かったんです。
機械式のオートステアだとキングピン部分にプログレッサーと呼ばれる大きな振り子みたいなのがありトラクターの旋回角度に合わせてプログレッサーが左右に回転する様になっており、そのプログレッサーに繋がった油圧シリンダーがリヤのステアリングに油圧を伝えてタイヤをステアする…といった物。
ただ、機械式は機構自体が大きくなり重量も重くなり強制駆動用のパワーユニットも必要になってくるので、それに比べこの電気式は見た目もスッキリしてスペース的にも余裕が出来ますね…



BPWではよく固着するABSセンサーも…

車検時にひと手間かけてセンサーを取り外し軽くグリスアップしておくだけで固着は防げます。




地味ですが、こういう整備がトラブルを未然に防ぎお客様の負担を減らす事にも繋がります。



お次はエルフの車検…
SKG-NKR85のエンジンは4JJ1…

フォワードなどの4HK1と同様に燃料フィルターの交換は非常に整備性が悪いです。

コレは車両下方から撮った画像…

いかにも作業しづらそうでしょ⁉︎
ほんともう少し考えた方がイイと思いますけど…

それとお客様には申し訳ないですが、手間がかかるという事は交換工賃も上がります…



内部の燃料を抜く時もなるべく周りを軽油で汚さない様に…




燃料フィルターとセジメンターのフィルターを交換。


燃料フィルターの新旧比較。
走行距離は年間5000kmの車でコレだけ汚れますからね…


燃料のエア抜き用ブリーダーはエンジン左側なのにプライミングポンプは車両の右側…


この設計もどうかと思います…笑




他にもベルト交換などなど…




4JJ1からシリンダーヘッドもアルミに変わりましたね…

軽くなるのには賛成ですが、歪みやすくならないかは心配です…笑

オイルエレメントも従来のカートリッジからフィルター交換タイプに。




そんな感じで最近は車検ばかりなのでブログにあげるネタがありません…笑


だから…という訳ではありませんが、整備とは全然関係ない話を。



PS4…今さらながら買っちゃいました。



バイオハザード7が発売されるということなので買わない訳にはいかないでしょう…笑

体験版をプレイした感じだと今までのバイオハザードとだいぶテイストは違うけど…
めちゃくちゃ怖い…

子供を寝かしつけた後しか出来ないゲームですね…笑
コメント (4)

プロフィア…ES不調。

2017-01-12 01:48:52 | 日野

去年の年末にESスタートが解除されない…との事で入庫した、BKG-FR1プロフィア。

ESスタートとは坂道発進補助装置の事でメーカーによってはEZGOやHSAなどと名称は変わりますが用途は同じで、坂道などでブレーキペダルを離しても制動力を保持して坂道発進を容易にする機構の事です。


年末に症状を確認した時はESスタートをONにした状態で発進しようとしても制動力が解除されず発進出来ない…といった状態。
調整スイッチを押しても変わらず…
かと思えば突然正常に解除するようになったりと症状がランダムに発生する状況でした。

で、トラブルシュートの結果ESスタートバルブの作動不良…もしくはソレノイドの不良という事で見積りを出してました。
ESスタートのメインスイッチをOFFにすれば制御は解除され、走行には支障が無いのでそのまま運行してもらい年明けに部品が入荷したのに合わせて入庫して頂きました…


作業はESスタートバルブのO/Hとソレノイドの交換。
早速ESスタートバルブを取り外し…


取り外したバルブ…


今回はお客様のご要望でASSY交換では無くオーバーホールで対応します。
ASSYで交換すれば早くは終わりますが値段が高い。
ちなみにASSYは数万円、リペアキットは数千円…
O/Hの工賃を加えてもASSYより安価に済みます。
日頃からASSY交換に慣れちゃうと、O/Hって聞くと時間がかかり効率が悪いように思えるかも知れませんが、実際にはバルブのO/H自体は30分程で終わります…



各部に異常が無いか点検しながら分解していきます。


リペアキット…


再使用部品はキレイに洗浄。




マグネットバルブは新品に交換します。


エアホースのコネクタも取り付けて…




後は車両に取り付けて完成。



で、作動テストの前にクラッチの調整とESスタートの初期設定を…
整備書にはESスタートバルブの交換時は初期設定は特に指定されていませんが経験上、やっておいた方がいいです。

最近は作業サポートで初期設定に対応した診断機もあるとか無いとか聞きますが…
今回は専用のダイアグモニターで行います。


慣れるとこっちの方が断然早いんですよね…笑

ハーネスを運転席足元にあるコネクターに接続…




ダイアグモニターをESスタートのタグが付いたコネクタに接続。




今回はESスタート解除位置の初期設定を。
ダイアグモニターを接続してエンジンを始動…
ESスタートの調整スイッチを"FAST"側に3秒以上押し続けます。


するとダイアグモニターのブザー音とランプの点滅が始まります…



その状態で、ギヤを3速に入れてクラッチをゆっくり繋いでいきエンジン回転が下がり始めた辺りでもう一度"FAST"ボタンを1回押します…
するとダイアグモニターのブザーが1回鳴った後止まります…
この位置が解除の初期設定位置となります。

後はダイアグモニターを取り外して試運転と調整スイッチがちゃんと作動するかなどを確認して完了です…

コメント

2017年…

2017-01-05 23:16:25 | その他
新年明けましておめでとうございます。


本日が2017年の仕事始め…
誰もが思う事だと思いますが…


仕事行きたくねぇ…とボヤきながら出勤しました…
まあ、そんな事言ってても行かなきゃなりませんからね〜(T_T)

自称スロースターターなので、体が慣れるまでボチボチ頑張ります…笑
去年やり切れずに残ってる仕事もあるし…


今年の抱負は…
自分が目指す目標の為、更に努力をして前に進もうと思います。
気持ちで負けたら成功はありませんから…
高いモチベーションを持って頑張るしかありません…
前進あるのみ…ですね。



それからこの場を借りて、年末にコメントやメッセージをして頂いた方々にお礼を…

まず、個別に返信出来ず申し訳ありません…

お気遣いや激励など感謝と同時に身に余る思いで大変恐縮しております。

本当にありがとうございます。

本年も皆様にとって良い年になりますよう祈念いたしております。




それでは2017年もよろしくお願い致しますm(_ _)m

コメント (4)