メカニック日記

メカニックです。仕事ネタから感じた事思った事など気まぐれに更新していきます…

最近の作業…33

2020-04-30 12:28:00 | 整備
今のところコロナの影響はほとんどなく忙しくさせて頂いてますが、インバウンドに頼りきっていた会社はコロナの影響を直で受けて非常に深刻な状況になってますね…
まあそれは仕方ないとして…

それより深刻なのは外出自粛の動きが強まってインバウンドに頼っていたわけではない街の様々な業種にも影響が出ている事…
これはマスコミが過剰に不安を煽ってる事が大きいと思います…
マスコミが煽って国民が不安を抱き、世論と支持率を考えた政権が後手後手で対策に乗り出す…といった構図にしか見えません。

感染予防対策は必要ですが何でもかんでも自粛ムードを強めすぎると経済的なダメージの方が深刻になりかねません…
終息した後に不景気をズルズルと引きずらない為にもある程度の経済活動継続は必要なんですけどねぇ…

まあこれ以上言うと止まらなくなるのでやめておきます…笑




最近の作業…

まずはプロフィア …
当初はDPF洗浄の依頼で入庫した車両でしたが洗浄のためにバラすと時すでに遅し…




フィルター後部が劣化して抜けています…
コレは再生制御が必要以上に繰り返された結果です。
アッシュは金属なので強制再生でどれだけ温度を上げようが燃焼は不可能です。
差圧が改善されないからといって何度も強制再生をするケースをよく聞きますが、基本的には再生温度がキチンと上がり、再生が終了したのに差圧が大して改善されていない場合は煤ではなくアッシュが堆積していると思った方がいいです。

短期間に何度も再生をする事によって今回のようにフィルターにダメージを与えてしまっては元も子もありませんからね…

現状アッシュに関しては物理的に取り除く以外に除去する方法はありません。



このようにフィルターが抜けてしまうと交換の選択肢しか無くなります…




別の車両でDPFとSCR交換のプロフィア …
ごっそり降ろして…





ごっそり交換…


あとは車両に取り付けてデータを確認して完了。







クオンのエア漏れ修理…
ABSモジュレータからの漏れですが、UDさんはASSYの十数万円の部品しか設定がありません…
モジュレータのメーカーであるWABCOさんからはリペアキットの設定があるのに間にUDさんが入ると何故かリペアキットの設定がなくなるんですよ…

不思議ですよねぇ…





ま、結局WABCOさんのリペアキットを使ってオーバーホールするんですけどね…
オイルが回ってゴテゴテに…
そりゃ劣化するわな…


もっと言うと某メーカーさんを介して買うWABCOさんのリペアキットから更にキット内容が良いのでウチはそちらを使っています…




他にもA/Tソレノイド交換のバス…
オイルパン外して…



シフトソレノイド単品での設定があるだけでも非常にありがたいですね…




ソレノイドの交換…







ストレーナは掃除だけしてガスケットのみ交換…


取り付けて規定トルクで締め付け…



あとはオイルパンを組んでATFを入れて完了。
あートルコン太郎が欲しい…笑


車検のタンクトレーラー
特に内容無いです…




連番で別のタンクトレーラー
こちらも車検。



こちらはシューの交換と…



リターンスプリングの折れたマキシチャンバーの交換。




組み付ける前の段階でスプリングを圧縮…
専用のコネクタを作ってあるので接続してエアを繋ぐだけ。
手で圧縮するより圧倒的に早いし楽です。





他にもお世話になっている方のレクサスLS600hにコーティングの施工…
もちろんこれは当社ではなくプロの業者さんにやってもらったんですが流石プロという仕上がり…


今流行り?のガラスとセラミックのハイブリッドコーティングというものを施工して頂きました。

いや、この輝きはスゴイっす。
満足度は非常に高いと思います…


一段と存在感が増しました。




他にもヘッドガスケットからオイル漏れのJ08エンジンのレンジャー。


ヘッド降ろしてガスケットを点検すると見事に圧縮抜けした跡がありました…


赤マルの部分、圧縮が抜けてOリングを変形させてます。




ヘッドガスケット交換して組み付け…
ブロック、ヘッド共に歪みは問題なし。









他にもエア漏れ修理のSSプロフィア …
トレコンからの漏れです…





リペアキットによるオーバーホールで対応。




漏れる原因は案の定スリーブの劣化…
先ほどのクオンのモジュレータと同じです。


交換…




ピストンも新品に…


このリリーフ?は再使用…
っていうかここもキットにしてくれればいいのに。


専用グリスを指定の箇所に…





ピストンも組み付けて…



カバーを取り付けて規定トルクで締め付け。





交換した部品…



もちろんエア漏れはきっちり止まりました。



4月もあっという間に終わりもう5月…


早くコロナも終息すると良いですね…









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レンジャー…ミッションO/H。

2020-04-14 20:17:00 | 日野
ミッションから異音がするという事でオーバーホール依頼を受けたFDレンジャー…

事前情報では最近他県の整備工場でクラッチをオーバーホールをしたらしく、その時にインプットシャフトのガタが大きいので早めに修理をしたほうがいい…という指摘を受けていたそうです。

実際に引取時に発進から2速、3速、4速あたりまでガラガラと大きな音がしており5速6速になると異音は消える…といった感じ。

とりあえずミッションを降ろして、原因を探りつつ必要部品の洗い出しをする事に…

まずはミッションオイルを抜いてみると…







画像だと分かりにくいと思いますが鉄粉が大量に出ております…
ドレンのマグネットにはこんな感じ…



ミッション降ろしてインプットシャフトを確認すると聞いていた通りガタガタ…



ミッションを立てて分解の準備に入ります…



リヤケースからはオイルが漏れているようですが…



よく見ると一度修理をした形跡がありました。




通常、リヤケースはシートガスケットでシールされているんですが、ボンドが塗られているのでどこかで一度ケースを外しているということ…




ただ、修理の形跡はあるもののやたらとオイリーなのでキレイに掃除してよーく調べてみると…

コレ…



分かります?


ここにクラックが…



当り面まで達しているので恐らくダメでしょう…
オイル漏れの原因も恐らくこのせいでしょう。


で、更に分解…



メインケースを取り外して…





ギヤ類や見える範囲のシンクロは問題なさそうだけど、やたらと鉄粉が多い…


ベアリングを抜き取りメイン、カウンターシャフトの取り外し…





で、メインシャフトとカウンターシャフトを抜いたら異音の原因が判明…



メインシャフトの先端部がゴリゴリに削れてる…


当然、そこに入るニードルも…



インプットシャフト側のオイルノズルも折れちゃってます…





更に5-6速のシンクロハブも破損。(そりゃあ、こんだけガタがあれば折れるよな…)





折れた破片…



インプットシャフトも抜き取り…



クラッチハウジングは洗浄…




大量の鉄粉…



鉄粉が多いのでオイルポンプも点検する為に分解すると、案の定キズだらけでした。




爪で引っかかるキズがこれだけ入っているのでポンプも交換ですね…


あらかた部品の洗い出しも完了…
交換する部品としてはメインシャフト、インプットシャフト、5-6速のシンクロユニット、フロントカバー(オイルポンプ)、各ベアリングにクラックの入ったリヤカバーといった感じ…


プレスで各ギヤ類を抜き取っていきます…














全てのギヤを抜いてメインシャフト単体に…



新品のメインシャフト…



比較…


新品…



削れたシャフト…



インプットシャフトも交換します…







右が新品のインプットシャフト…



ベアリングやリテーナを組み付けていきます…
新品のベアリングを圧入してスナップリングの選定…
1番しっくりくるサイズを選択。





更にリテーナを圧入…というか焼き嵌め。
バーナーでイイ温度まで熱します。
こういう時にサーモグラフィが役に立つ…
全体的に温まっているかが視覚的に判断できます。



で、取り付け…



100℃くらいまで温めればスコンと入ります。






次にメインシャフトに各ギヤ類を取り付けていきます…









ハブを圧入…
これも軽く温めておけば楽に入ります…










5-6速の折れたシンクロハブは当然、ナイザー、リング、コーンも交換します。











6速側のシンクロが落ちないように脱落防止をして、メインシャフトの組み付けも完了…





インプットシャフトにニードルを入れて…





新品のニードルとリテーナ





クラッチハウジングに圧入…





フロントカバーの取り付け…





インプットシャフトの取り付けが終わったらメインシャフトの組み付け…












当り面をキレイにして…



ハウジングの取り付け…



ベアリング類を入れて…



リヤケースは新品…









フランジのオイルシールも交換して…



ロックナットも締め付けてカシメて…



ミッションを立てての作業は完了…



ホイストとガッチャで横向きにします。
ところで何でチェーンブロックのこと『ガッチャ』って言うんでしょうね…笑







シフトコントロール系統を組み付けて…


クラッチハウジング内のロッドやフォーク類も組み付けて…


各部にグリスアップしたら…



ミッションオイルを入れます。



これでミッションのO/H作業は完了。





車載して…


エンジンを始動してギヤを入れ、しばらく回して再度オイルの量を確認したら…
後は試運転をして異音が消えた事を確認して完了。



余ったメンドラはクラッチ交換時のアライナーツールとして生まれ変わって頂きました。
カットして…



ナットを溶接…



車種専用のクラッチアライナーの完成…
















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最近の作業…32

2020-04-03 08:28:00 | 整備
久しぶりの更新です…

最近は写真は撮りためていたんですが、記事を書こうと思うほど気持ちに余裕はありませんでした…

もうとっくに終わってる作業ばかりになりますが…
まずは前回の続きのJ05のヘッドO/H…
加工に出していたヘッドはやはり歪んでおりました…


結果的に0.06mm研磨して歪みゼロ…

基本的にJ型エンジンは整備書ではバックラッシュの関係から研磨禁止となっていますが、削れない事はありません…
実際には研磨量0.1mm位までならバックラッシュも基準値に収まります…
仮にそれ以上歪みがあってもギヤ側残しで斜めに削って歪みとバックラッシュを基準値に収める事も不可能ではありません。
まあそのあたりはエンジン屋さんの加工精度次第…というところではあります。
削りすぎるとバックラッシュ云々ではなくオーバーレブさせた時に4番のバルブとピストンが当たっちゃう可能性が出てくるので注意が必要ですけどね…


戻ってきたヘッドにステムシールの交換にラッピングやバルブ関係の組み付け…







キレイなヘッドは気持ちがいいですね…

ヘッドのアッセンブリーが終われば後は車載してどんどん組み付けていきます。







ドッキングしてボルトの締め付け…
J05はヘッドボルトの長さに種類があるので締め付けトルク、角度共に長さ毎の基準があります。

締め付けたらカムアイドルギヤのバックラッシュ測定。


無事に基準値に収まっておりました…

そこからどんどん組み付け。


メタルは交換…


カムシャフトの洗浄&点検。










冷却水を入れてオイルを回したらエンジン始動…
下の画像にも写っているファンネルは最近使っている物で非常に使いやすくて気に入ってます…




前の会社で使っていたファンネルは黄色で透明性がなかったので水面を確認するには上から覗き込まないと分からなかったんですが、このライルのファンネルは半透明で遠くからでも水面と気泡の確認が簡単に出来ます。
細かい事なんですけどね…
非常に使い勝手がいいです。

無事に吹き返しも無くなり修理完了。


で、このJ05が終わる前にエンジン不調で入庫したJ07エンジンのレンジャー…
調べるとインジェクター不良で交換の予定だったんですが…

実際にインジェクターを交換する為に取り外そうとするも1番のインジェクターだけが何をやっても抜けず…
とにかく固着が酷く全く抜ける気配というか手応えすらないんです…
こんなケースは初めてで色々な所に聞いてみるも稀にインジェクター抜き取り時にノズルチューブが一緒に抜けてくる事はあるものの皆口を揃えて抜けなかった事はない…と。

インジェクターが抜けないなんてそんなアホな…って思うでしょ⁉︎

いや、マジで抜けなかったんですよ!

ウチでは通常インジェクターを抜く時はステンレスの針金を輪っかにしてインジェクターに引っかけた上でスライドハンマーで抜き取るんですが…


たまに固いやつでも輪っかは1重で十分抜けるのに今回は1重はあっけなく切れて…
それなら2重という事で試すもやっぱり切れ…

最終的に3重で、更にスライドハンマーを天井クレーンで引っ張りテンションを掛けながらスラハンでチャレンジするも…



抜けない…

結果的にスラハンに取り付けていたアイボルトが変形するほど…




とにかく固くて抜けないので…

諦めてシリンダーヘッドを降ろす事にしました(;´д`)

当初はインジェクター交換の1日で終わると思っていた修理が予想外のヘッドO/H作業に変わり…
J05が出て行ったと思ったら今度はJ07をバラす事に…

とにかくヘッドを降ろさないと次に進まないので急いで降ろす段取り…



ただバラしていく段階でNGな部分がちょいちょい出てくる…
下の画像はEGRクーラを取り外した直後のエキマニ内部…
完全に水回ってますよね…


1番のインジェクターは抜けないのでそのままバラしてエンジン屋さんで抜いてもらう事に…









ゴソゴソしてヘッドを降ろして…



バルブ関係を取り外して加工に出します…



で、エンジン屋さんには『最悪、インジェクターは潰してもいいけどヘッドだけはなんとか無事に…』とお願いして…


数日後無事にヘッドが戻ってきました。

まずインジェクターは無事に抜けたようですが、案の定インジェクターとノズルチューブが一緒に抜けてきたようで、インジェクターとチューブのカーボン固着が酷かったとの事…
更に水圧テストは1番3番のノズルチューブとエキマニスタッドから漏れがあったようで…
それを聞いて結果的にヘッド降ろして良かったな…と。
仮に固着していたインジェクターが抜けたとしてインジェクターだけの交換で修理を完了していたら遅かれ早かれ必ず再入庫していたことでしょう…

これが問題の抜けなかったインジェクター…


インジェクターとチューブを分離させるのに相当な力がかかった事を物語っています…



インジェクターボディは腐食しておりました…
これは燃焼ガスによる腐食なのかな…
ここまで酷いのは初めて見ました。







エキマニスタッドも漏れがあるために全数交換…





抜いて…



エキマニから水漏れ⁇と思うかもしれませんが、J型エンジンはエキマニのスタッド穴がシリンダーヘッドのウォータージャケットと貫通してるんです…





新品のスタッドボルトを取り付け…
当然、シール剤付きスタッドボルトです。



更にバルブも組み付け…







あとはエキマニ、インマニ、アイドルギヤを取り付けて…



ブロック側を綺麗にして…





ガスケットを乗せたら…


ドッキング…



こちらもバックラッシュの測定…


バックラッシュは0.17mm…



カムシャフトフレームを組み付けて…



あとはどんどん組み付けていくだけ…

















あと、バラす段階で発見した詰まった燃料添加弁は交換…
これエキパイ途中にある添加弁の接続部なんですが…


完全にススで詰まってます…


こんな状態ではDPFの再生も上手くいっていなかったでしょうね…

ハウジングは掃除して…



添加インジェクターは新品に交換…






全てを組み付けたらエンジン始動…





お客様には大変お待たせしてしまいましたが、無事に修理も完了して納車。


更にエンジンオイル漏れのプロフィア…

リヤのクランクシールとエアコンプレッサーの取り付け部から漏れており…

リヤクランクシールとコンプレッサーOリングの交換…



夜な夜なミッション降ろして



クランクシールの交換…



パイロットベアリングも交換して…






新品のクラッチを組み付けてミッション側は完了…







クランクシールの交換が済んだら次はコンプレッサー…
コンプレッサーを外してOリングの交換。










こちらもなんだかんだで終了。


それから最近取引を始めた板金屋さんからの依頼で入庫したタクシー…

どうやらコンプレッサーが回らずエアコンが効かないのでコンプレッサーを交換してほしいとのご依頼。

とりあえず簡易的にマグネットクラッチを点検すると、まず電気が来ていない…

ヒューズも切れてない…

ガスも入ってる…

リレーも問題なし…


これはコンプレッサーを交換して改善される気がしないので…

他の仕事に追われ診断している時間もないので、電気屋さんにお願いする事に…


で、電気屋さんが調べた結果…

どうやらオートドアハンドル部に付いているスイッチが悪さをしてるようで…

初め聞いた時はなんのこっちゃ⁉︎と思ったんですがモノを確認してみると…



どうやらこのオートドアはエンジンの負圧を利用して開閉しているようで後部ドア開閉時にエンジンがストールするのを防ぐためにコンプレッサーの電源を一時的に遮断するスイッチが付いているようです…

昔、小型をやってる時にタクシーはよく触りましたがその時のオートドアってロッド式でしたからね…
最近のタクシーは負圧を利用してるんですねぇ…

知らんかった…


で、そのオートドアのノブのロッドがバカになりスイッチを押す為のカムがズレていたためスイッチが押せずにコンプレッサーに電気が行かなかったようです…





ただねぇ…

これは設計が悪いと思うけど…

本来なら回っちゃいけないロッドがクルクル回っちゃうわけですよ…
もちろん使い方が関係するんだろうけど、登録から2〜3年で走行8万キロで壊れちゃうんだから。

おまけに通常はここだけ部品が出ないようで、それはさすがにヒドイじゃないか…という事で部品商さんが交渉してくれて単品で取れる事になりましたが…

納期が1ヶ月だって…


さすがにそんなに停めておけないようで、なんとかエアコンが使える状態にしてくれないか…という事になり…



なんとかこのノブがクルクル回らないように色々と考えたんですが…



結果的にこのノブを固定するのではなく、スイッチ側のカムがズレないようにガイドを付ける事にしました…

加工したプレートを溶接。





たったこれだけの事なんですが、試行錯誤の末に辿り着きました。




で、無事にコンプレッサーも回るようになりとりあえず応急修理は完了…

部品が入ったきたら交換する予定ですけどね。





気付いたら3月も終わってましたが…
認証を取得し本格的に営業を開始してからはや5ヶ月…
これから夏に向けて仕事の量は格段に増えていきます…
そろそろメカニックの増員を本気で考えなくてはならない時期になってきました。

現在ホームページを作成する準備も進めておりリクルート情報も載せたいと思っているんですが…
整備業界の人手不足をなんとかする為に色々とアイデアが必要な時代です。


この整備業界を若者が目指してくれる魅力ある業界にする為にはどうしていくべきか?…という事も今後は考えていかなきゃなりませんよね…


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