メカニック日記

メカニックです。仕事ネタから感じた事思った事など気まぐれに更新していきます…

オーバーヒート その3

2015-09-12 22:38:30 | 整備
やっと3台目…

最後のオーバーヒート車両。
いすゞエルフNPR81 エンジンは4HL1

この車はアッパーホースが破裂してオーバーヒートしたパターン…
アッパーホースの真ん中あたりからカッターナイフで切ったかの様な裂けよう…

よーく中を覗くと答えが分かりました。

裂けたホースの中はオイルでドロドロ…


冷却系統にオイルが混入してるみたいです。

ホースというホースは見事に全てブヨブヨになってました。

オイルクーラーかな~⁉︎なんて考えてたらフロントから『お客がクラッチも滑ってるからそれも直しておいて…って言われた』との伝言が…


正直、『ラッキー』って思い迷わずエンジン下ろす事にしました。

なぜかこの型式のエルフとは縁が深いのか今まで10基ほどエンジンを下ろしてるので、慣れてるせいか2時間ほどで下ろせちゃうんです…

しかも下ろしちゃえば言うまでもなく整備性も抜群に良くなるし車両はリフトで引っ張り出せるからピットも空くのでいい事だらけ。


で、さっさと下ろします。

まずミッションを下ろして、エンジンを下ろしにかかっている時に事件が…



自分も悪いんですが下ろしたミッションをミッションジャッキに乗せたまま車両の横に適当に置いていたんです…
すると自分が作業してるとなりのピットへ別のメカニックが運転する大型トラックがバックで入ってきたんです。

入ってきてる事は知ってましたが、てっきり誘導者がいると思い込み自分の作業を続けてた

その時…

『バキバキ』っという物凄い音が…


何⁇何⁇って感じで振り返ると…





ミッションが引かれてました…
急いでバックしてた車を止めて状況を確認すると…


『うそやーん』って



レリーズの取り付けが割れてました。さらに
ミッションジャッキもバラバラに…


仕事が増えました…

当然、100%こっちが悪いので修理します…


不幸中の幸いなのかミッション自体はレリーズの取り付け以外は無事でした。
なのでクラッチハウジングのみ交換で…と思ってたらよく見るとこのミッション、クラッチハウジングがミッションのフロントケースも兼ねるタイプ…


2度目の『うそやーん』が出ました…


とりあえずエンジンやりながら空いた時間にミッションをやる事に。




さすがにエンジン下りてると全てにおいてやり易い…
ハイペースでバラしていきます…



サーモスタットのパッキンもブヨブヨ…








ヘッド外して歪み点検すると酷いところで0.15mmほどの歪みが…
こちらは外注さんに頼みましょう…



ブロックは大丈夫そうです。

で、部品待ちの間にクラッチハウジングを…






新品ハウジングにオイルシールやブッシュを打ち込み…
ベアリングのリテーナーとレースは再利用するので移植。





どんどん組み付け




いきなり夜になっちゃいましたが、完成。


続いてエンジンも洗浄しながら組んでいきます。










だいぶハショりましたが完成。。




この画像に写ってるミッションジャッキは部品商に無理言って2日で仕入れてもらった新品のミッションジャッキ…笑

無事車両にもドッキングし冷却系統を循環洗浄して完了。

さすがに時間に追われながらの3台連続は気疲れが半端ないです…




しばらくは平和が続きますように…












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オーバーヒート その2

2015-09-12 20:21:13 | 整備
オーバーヒート…2台目です。


こちらもファイターでPA-FK71ですが、エンジンは4M50です。

この車はラジエーターのロアタンクが割れてオーバーヒートしたパターン…

まずラジエーターを直さないと吹き返しも見れないので交換します。

交換後エンジンかけて点検すると…やっぱりダメでした…


で、早速ヘッドを降ろし各部を点検…


ヘッドの歪みはほとんど無く良好だったんですが、シリンダーライナーにそこそこのガリキズが…

写真撮り忘れちゃったんですが、『何じゃこりゃぁ…』っていうくらいのキズ。


結局、腰上はオーバーホールする事に…


時間も無いのでどんどんバラしていきます。




自作ピストンスタンド…


結構便利なんです…笑




ピストンにダメージは無さそうなので再利用。

なのでライナーとリングとメタル関係を交換。

ヘッドは水圧も合格して戻ってきたのでステムシール、インジェクタースリーブを交換。バルブシートやガイドは問題無しで再利用。

大量の部品を仕分けながら…洗浄した部品を組み上げていきます。




記事にすると早いですね…笑




バルブクリアランスもシビアに調整。
ここがキッチリ出来れば組みあがったエンジンの音は劇的に良くなりますよね。

オーバーヒートとはいえ、いい機会だと思います。

量産車のエンジンなんてラインで組まれたエンジンなので細かいところまで調整されていませんし、各部の締め付けもオーバートルクが多いです。
それを今回は腰上だけですが調整しながら組めるんです。もちろんトルク管理もキッチリやる事で手組みのエンジンができる訳です…

変わり者と思われるかもしれませんが、こうやって各部をキッチリ調整やひと手間かけて組む事でエンジンが喜んでる様に感じるんですよね


中には素直じゃないエンジンもいますが…笑


昨今メカニックという職業はある意味『パーツチェンジニア』と思われがちで…

それは時代の流れもあるんでしょうし、否定するつもりは全くありませんが、自分はあくまで修理の出来るメカニックを目指していきたいと思います。

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