メカニック日記

メカニックです。仕事ネタから感じた事思った事など気まぐれに更新していきます…

エンジンスワップ… 2。

2017-09-30 22:48:08 | 製作
頼んでいた材料や部品が少しづつ揃い始めたのでここ数日間のパワーユニットのエンジン換装作業を…


まずは載せる予定の新エンジンはもともと載ってたエンジンと比べ各部のレイアウトやサイズも違い、所定の位置に合わせるとスペースに収まりきらずはみ出てしまいます…



このままだと外板パネルが付かないのでアングルを使い若干ワイド化させます。


位置合わせ…


外板パネルの取り付け用の穴を開け…
タップは手間がかかる為、裏にナットを溶接。







仮付けして位置関係を確認。


収まりました。




パネルを付けるとこんな感じ…


問題無ければアングルも本溶接。


このエンジンだとこの間口は狭く、このままではチョークやスロットルレバーが隠れてしまうので操作し易いように間口を広げます…


元のヤンマーエンジンはセル付きだったんですが、新エンジンはリコイルスターターのタイプ…
どうせならセル付きが良かったな…笑

広げた分、裏にはフラットバーで補強を…







後はここに開閉式の扉を作る予定ですがそれは後ほど…


お次はマフラー。


もとのヤンマーとはマフラー排気口の向きが180度逆なのでパイプで延長させます。




マフラーは厚み1mmのステンレスパイプを使用。
それに色々な角度のエルボを使いレイアウトを考えながら製作していきます…
パイプやエルボは配管設備用の物なんですけどね…笑
通常のマフラー用パイプだと振動からすぐ割れちゃうんですよ…
なので耐久性を重視して配管用パイプを使用します。


干渉しないよう、且つ、なるべくコンパクトに取り回していきます。




全て仮付けで位置を確認しながら…


おおかた決まったらマフラーを取り外して本溶接。


再度エンジンに取り付けて位置の確認。





で、金属加工会社さんに頼んでいたブロックも届きました。
6面加工で精度はバッチリ。




早速、エンジンに付けてブロックの取り付け位置を決めていきます…


高さや回転軸のセンターは完璧。


ブロックを仮付けしてエンジンを一旦降ろして…




本溶接を行います…
ビードは3層で仕上げ。








これでエンジンの搭載位置は決まったのでエンジンを載せてマフラーの続きを…
目測で大体の出口位置にマフラーの向きを決めてありましたが、まずまずのところですね…笑


若干の修正で済みそうです。
マフラーを一本物で製作すると今後取り外す時に困るので途中にスリップジョイントを設けて切り離しが出来る様にしておきます。


出来合いのフランジにパイプを溶接して途中で脱着可能な造りに…


この辺はもう出来合いの物を上手く活用していくに限ります…笑
なんといっても楽だし早いですからね〜



更にパネル外に出た後も邪魔にならないようにレイアウト。




仮付けして位置に問題が無ければ、取り外して本溶接。




マフラーは完成。






マフラーのレイアウトも決まったので、ここからエンジンを1度降ろして錆止めを吹きます…




パネルにも…


中の錆止めが乾いたら再度エンジンを搭載。
延長したマフラーパイプが燃料タンク横を通るので耐熱バンテージを…
遮熱板を作ろうかとも考えたんですが時間がないので…笑






で、搭載。



更に開閉式の扉を製作。
材料は余っていたアルミの縞板で作る事に…
その他の小物部品はホームセンターで調達。
丁番やパンチングシートを…





縞板をサイズに切り出し取手や丁番の取り付け。







パネルに合わせ位置関係の微調整をしたら1度取り付け。




更に開閉ロックも…




このままだとファンが隠れてしまうので外気を導入出来る様にパネルに送風口を作ります。
位置を確認しながらプラズマでカット…




ここに買ってきたパンチングシートを貼り付け…


取り付けるとこんな感じ…




そのままだとエンジンの振動で扉がバタつきビビリ音が出てしまうので防振ゴムも…



後は上塗り塗装を行い…エンジンの換装とそれに伴う必要な作業は全て完了です。





ここまでで作業は一旦ストップ。



後は燃料を入れてエンジン始動…
そして最後の難関⁉︎
現車に載せてトルク負けしないかのテスト…



ここまできたらあとはHONDAエンジンを信じるしかありません…笑
コメント (2)

ダイヤフラム交換。

2017-09-28 20:54:44 | トレーラー
東急の3軸トレーラー…


運行終了後にトレーラーを停めるとどこからともなく『シュ〜』と音がする…と言う事で入庫。

現車を確認すると2軸目の左側のマキシチャンバーからエアが漏れてました…
ただ、漏れはサービス側のダイヤフラムからの漏れなのでお客様と相談の結果今回はASSYではなくダイヤフラムのみの交換で対応する事に…

マキシチャンバーASSYだと高いですから…笑

今回はサービス側からの漏れですが、ピギーバック側のダイヤフラムから漏れた場合は基本的にASSY交換しか選択肢は無くなります…(^_^;)

漏れてるのは1箇所だけですが交換履歴も無いことから今後の事を考えてサービス側のダイヤフラムは全数交換する事になりました。

1軸目は普通のサービスチャンバー、2、3軸はマキシチャンバー。

まずは1軸目から作業する事に…


取り外したダイヤフラムはかなり危険な状態でした…
こんな亀裂が…


普通のサービスチャンバーのダイヤフラムは在庫として何種類か常備してます。


当たり面をペーパーでキレイに磨きダイヤフラムのセット…




フタを被せ、更にクランプで挟みこみ…


このクランプもバネ鋼で出来ており外側に開こうとするので…
バイスプライヤーやシャコ万で圧縮します…


こうしないとボルトが短い為にナットがかからないんです…
ま、これもロングボルトに換えちゃえば特に問題無いんでしょうけど…笑

馴染ませながら締め付けてOK…


ちなみにこのクランプにもタイプによって前後の向きがあるんですが…
逆に取り付けられているケースを見かけます。



マキシチャンバーもサービス側の分解…




マキシチャンバーのダイヤフラムは純正品にて交換します…
サイズは同じでも社外品は使わないで‼︎とトレーラーメーカーの方に言われた事があります…
材質や強度に関係するみたいですけど。
クランプボルトも新品に交換…






全て交換し終わったら…
ブレーキ調整。





エア漏れの確認をして作業も完了です…







それから最近あった大事件。

走ってたらいきなり冷却水量の警告灯が点いたので見て欲しい…という事で持ち込まれたギガ。

現車が入庫して早速確認するとエンジン下部はベタベタ…
どうやら本当に漏れてるようで確認する為にキャビンを上げると…





コレですよ。


ラジエーターのアッパーホースがすっぽ抜け。

ホースにボンド塗って組み付けた為に圧に耐えられず抜けたんでしょう。

いるんですよ…ホースにボンド塗る人が。



まさかウチじゃないよな…と、履歴を調べてみると…








まさかのウチでした…
半年前にラジエーター交換の履歴が…

メカニック I 氏の作業でした。




もう本当いい加減にして欲しいです…

彼、2回目ですよこのパターン…

学習能力無いの?


何でホースにボンドを塗るのかまるで理解出来ません…


しかも新品に塗るなんて何考えてるんでしょう…


もう情けないというか…
恥ずかしいというか
腹立たしいというか…


これはミスとかっていうレベルの話じゃないですよ。
1度それでエンジン壊しかけてる訳で、その事を本人も分かってるのにまた塗るんですから…


改善する気は無いんでしょう…



困ったもんです…




コメント (8)

エンジンスワップ…

2017-09-26 08:32:42 | 製作
エンジンスワップと言っても…


車のエンジンではありません。
パワーユニットのエンジンです…


今回は特殊トレーラー用のパワーユニットエンジンが焼き付いた為、同型のエンジンに交換するつもりだったんですが、メーカーに問い合わせるとまさかの製廃…

という事でメーカーの担当者さんにスペックの似た代替えエンジンを選定してもらい、そのエンジンに載せ替える…という方法をとる事にしました。

もともと搭載されていたのはヤンマーの単発ディーゼルエンジン。


恐らく圧縮が抜けちゃってます…
オーバーホールも可能ですが、載せ替えた方が早いので…

というより納期が決まっててその日までに完成させなければならないので載せ替えしか方法がありません…
タイムリミットは10月4日…

間に合うのか…⁉︎

エンジンはもう来てますが、作業的には諸問題が色々とあり金属加工会社さんに製作してもらわないといけない部品も出てくるし、材料を頼んでウチで加工する部品も多々あります…


パワーユニットは次に使う予定日が決まっているので頑張ったけど間に合いませんでした…は通用しないので何とかするしかありません…

とりあえず搭載する新しいエンジンの位置関係を確認しつつ採寸をして作ってもらう部品のサイズを測る事に…

今現在載っているのは仮のエンジン…



実は事の始まりは2ヶ月程前にお客様から『パワーユニットのエンジンが壊れた‼︎何とかしてくれ‼︎』と電話があり、現場で応急対応をしてたんです…
このロビンエンジンはウチの出張サービスカーに積んであったエアコンプレッサーのエンジンなんです…笑

現場で壊れた為、とにかく動くように…という事で色々と考えた結果、現地でゲタかましてウチのサービスカーに載ってたロビンエンジンを何とか付くよう形にしただけの応急処置でした。




カップリングのフランジ内径はヤンマーと全く同じでした…


なのでアウトプットシャフトの外径は恐らく規格で決まってるんでしょうね…

ウチの大事なロビンエンジンを降ろして…笑


現場の廃材で何とか高さを合わせる為に作ったゲタ…


酸素で溶接を切り離し…





で、新しく搭載するエンジンは…

『the power of dream』のHONDAエンジンです。笑




メーカーの方が選定してくれたエンジンなんですが…
まさかHONDAだとは…
てっきりヤンマーの現行型のエンジンが来ると思ってたんですが…

元はヤンマーディーゼルなのがホンダのガソリンエンジンに代わるので…

トルクとかは大丈夫なのかな…

と言うのも実は現場で載せたロビンエンジン(ガソリン)は非力だった為に操作ボタンを連続で押し続けると油圧に負けてエンジンがストールしちゃってたんです…
なので操作ボタンを長押ししないように使ってもらってました…


メーカーの方に問い合わせるとその辺も考えて選定してます‼︎との事なので…
きっと大丈夫なんでしょう…笑
(実は凄く不安…)←失礼
だってこのホンダエンジン、ヤンマーエンジンに比べるとメッチャ軽いんですよねー( ´_ゝ`)


早速、新エンジンを仮置きして色々と改造する箇所を確認。




フランジはドンピシャ。
やっぱり規格なんですね…


高さにはこれだけのズレが…


測ると39.5mm程かさ上げが必要です。
エンジンの取付けボルト穴も新規で開ける必要があるので採寸だけして後は金属加工会社で6面加工のブロックを製作して貰います…
手書きの図面を渡して…笑


マフラーの排気口も向きが逆で作り直す必要がありそうなので…
そちらはステンレスパイプで作る予定…



とりあえず材料を注文…




納期に追われながら…
しばらくはこの作業が続きそうです…笑

コメント (2)

最近の作業…9

2017-09-21 22:37:27 | 整備
最近は車検が多くてヒマもネタも無かったのでブログをサボり気味でした…笑

おまけにここ最近は朝晩の寒い事…
見事に喉をやられて風邪を引きました。


仕事の方は今週と来週は少し落ち着いて10月からまた車検の大量入庫が続きます。


最近の仕事を…

まずは9月前半に車検をしたタイタンなんですが…

フロントアッパーアームとロアアームのボールジョイントブーツに亀裂があった為に本当は車検整備時に交換したかったんですが、お客様の都合上どうしても日にちが伸ばせなかったので、とりあえず車検だけ通して後日ブーツ交換で入庫してもらう段取りにしてあり…

今回再入庫しました。


因みにブーツが破れてたら車検には通りません…

問題のブーツはこんな感じ…


経年劣化で亀裂が入ってます。


ブーツを交換する為に各部を取り外していきます…
今回は上下アームとボールジョイントとの取り付けがボルトなのでナックルスピンドルASSYで取り外してから、ボールジョイントを切り離しブーツの交換をすることに。
その方が作業性がイイです…

まずはタイロッドエンドの切り離し…




ボールジョイントリムーバーが使えるところはさほど苦労する事もありません…

キャリパーは車両側に吊っておき、ボルトを取り外してスピンドルASSYを外します。






ASSYだとめちゃくちゃ重いので注意が必要です…
ここからスピンドルをバイスに固定してボールジョイントを取り外します。




アッパーアーム側はリムーバーが入りますが…




ロアアーム側は形状上リムーバーが使用出来ません…


そこでこのブログにも度々登場する自作SST…
リムーバーが使用出来ない形状のボールジョイントなどの取り外しに便利です…


簡単に作れる割に非常に優秀なSSTです…笑

セットして…


アッパーボールジョイント取り付け穴から叩き棒で叩いて抜き取ります…


ネジ山にもノーダメージで外れます。




ボールジョイント単体にした所でブーツの交換…
古いグリスを綺麗に拭き取り…


新しいグリスを詰めて…


新品のブーツを取り付けていきます…


イコライザーのブッシュがサイズ的にドンピシャ…笑




アッパーボールジョイントは完成。

同じくロアボールジョイントブーツも…
ロア側はアッパー側と違いモリブデングリスを使用してるようなので…
モリブデングリスを。


こちらも適当なアタッチメントを介してブーツの取り付け…




上下とも交換して…


左右共にスピンドルASSYに取り付け。




後は車両に取り付けて完成…




足廻りをバラしているのでサイドスリップも調整して完了です…
因みに車検時のサイドスリップはOUTに0.7だったんですが、今回修理後に測定したらOUTに2.9でした。

意外とズレるモノなので最終的なサイドスリップの確認&調整はやっぱり必要ですね…


お次はお客様から溶接して欲しいとの事で持ち込まれたアイナットとボルト…


どちらともステンレスで、このアイナットとボルトを溶接してアイボルトにして欲しいようなんですが…
市販でありそうな組合せだけど無かったのかな⁉︎

それともこのサイズが大事なのかな…

とりあえず依頼通りに作業。
センターを合わせて…


溶接。


そんな重たい物を吊り上げる訳では無いとの事なのでビードも一層で仕上げ。





お次は以前エア漏れで見積りを出していたQPG-SH1Eプロフィア
承認もおりて作業は別の者が行ったんですが…
取り外したトラクター側ABSモジュレーターにトレーラー用のABSモジュレーターのリペアキットが使えないのか⁉︎…が気になってたのでバラして検証してみる事に…


同じWABCO製で見た目もVCS-2にそっくりなんですよね…
以前からリペアキットに互換性が無いのか気になっていました。

分解すると…




ピストンの仕様が若干違い、VCS-2には無いこんなモノが…


ピストンシールは色こそ違いますがサイズ、形は全く同じ…
左の緑色のシールがもともと付いてたシールで右がリペアキットのシール。


スリーブやOリングも同じ。漏れの原因はこのスリーブが劣化する事で漏れる事が多いので、ここが使えるという事はオーバーホールも可能かもしれません…


ウチでもVCS-2のオーバーホールはある程度実績がありますが…
トラクター側ABSモジュレーターにも問題無い事を確認する為にも作業後の検証が必要なので、自社のトラクターヘッドが同じタイプのABSモジュレーターなので今度時間がある時に試してみる事に…
これが上手くいけば症状がエア漏れなら11万もするモジュレーターを交換しなくてもオーバーホールで修理が可能となります。


コメント (4)

エルグランド…オーバーヒート。完

2017-09-09 22:48:51 | 日産
またまた前回の続きです。


朝からエンジンASSYを車載する為の細かい準備を…

エンジンを載せてからでは交換が困難なヒーターホース類を先に交換。



ハーネスやホースなどが挟まれないようにタイラップで固定したり…と。
フォークリフトで慎重に位置を合わせながらドッキング…



載りました。





外した物などを取り付けて…




こうやってみると本当に狭いスペースに収まってるんだよなぁ…笑



その後ファンを取り付けようとすると…



あ…


割れてる…


完全にノーマークでした…
急いで注文。

近くの日産部品に在庫があるとの事で一安心…



程なくして部品も入りました。



リヤヒーター付き車両なのでしっかりとエア抜きを行い…



エンジン始動の前に診断機でコネクタ類の差し忘れなどが無いか確認…


更にエンジン各部にルブリケーティングする為に燃料カット制御。


クランキングをしてオイルを行き渡らせたらようやくエンジン始動です。




データで水温を確認しながらサーモスタットが開くまで暖機運転…




サーモも開き…


その後86℃辺りで落ち着きました…
いい感じ。


水温計の針も見慣れた位置にあり一安心…


スロットルの全閉位置の学習やTAS学習などもついでに行い…
取り外していたバンパーなども取り付けて…



各データに不具合が無いか確認しながら試運転に出かけます…





試運転から戻りオイル漏れや水漏れなどの確認とクロスメンバーなどの取り付けボルトの増し締め確認などをしたらアンダーカバーやエンジンカバーを付けて完了です。



後はサイドスリップの調整&確認が済んだら…



ワックス掛けや車内清掃。
キレイになりました…
これでお客様にも気持ちよく乗って帰って頂けるでしょう。



これにて全ての作業が完了です。

コメント (8)

エルグランド…オーバーヒート。3

2017-09-07 12:54:01 | 日産
エルグランドの続きです…


加工に出してたシリンダーヘッドが戻ってきたので作業を再開。

綺麗になりました…




左右共0.05mm研磨して水圧も問題なし。





まずはバルブのラッピングから。



エキゾースト側のバルブシートフェースの状態もあまりよろしくありませんが…
今回は交換やシートカットまではしないので、ラッピングで出来る限り修正します。


燃焼室内のカーボンが排気工程でバルブフェースに挟まれる事でこういう状況が起きます…


エキゾーストバルブ側はバルブコンパウンドも中目、細目と段階を踏んでラッピング。







ラッピングが済んだらバルブを組んでいきます。




左右共バルブを組んだら…



ヘッドの取り付け。


左バンクも…




ヘッドを組み付けたらブロックとの前端面のギャップの測定。


基準値は14.1mm〜14.9mmとなっており両バンク共、基準値内でした。


基準値から外れる場合はシリンダーヘッドを取り付け直す…って整備書には書いてありますが、取り付け直したところで実際に数字が変わるものでもありません…
どちらかというと製造時の精度の問題ですね…
なので測定はあくまでも基準値に入っているかどうかの確認です。

この辺りの面精度が基準値外だとギヤケース取り付け時に歪みが出てオイル漏れなどのトラブルに繋がります。





ヘッドが乗ったらカムシャフトの取り付け。




で、この手のエンジンはチェーンを組み付ける前の状態でバルブクリアランスを測定。
チェーンなどを組み付けちゃうとクリアランスが基準値外だった場合悲惨ですからね…笑

また分解前の数字はあくまでも分解前の数字。
各部をバラしてるので分解前に測定した数字が組み付け時には変わる事もあります…
なので組み付け段階で測定&調整するのがベストです。

バルブとピストンが当たらないように上手くカムシャフトとクランクシャフトを回しながら測定…笑




バルブクリアランスの基準値はINが0.26mm〜0.34mmでEXは0.29mm〜0.37mm。
今回は測定の結果多少バラつきこそあるものの全て基準値内の数値だった為このまま組み付けます。
実際にはクリアランスは全て揃ってた方が良いに決まってます。
個人的にはキッチリ合わせたいですが、拘りだしたらキリがありませんしね…笑
基準値に収まっているのでO.Kという事で…


バルブリフターも再利用可能な事が分かったのでどんどん組んでいきます。
ボンドを塗りインナーケースの取り付け。


ウォーターポンプは新品に交換。





タイミングチェーンをかけて…


この日はタイミングチェーンケースを取り付けたところで終了…



翌朝からVTCカバー類を…



フロントケースが着いたらエンジンをひっくり返しオイルパンの取り付け準備を…


各部品を取り付けた後の面精度の確認。




0.04mmで問題なし。

ストレーナを付けて…


アッパーオイルパンの取り付け。


ロアオイルパンも…





またまたひっくり返してヘッドカバー類を…




スパークプラグも新品に交換します。


新旧比較。
白金でも電極は摩耗するので10万キロ毎の交換を…



フロントセクションのプーリー関係も付けて…



エキマニやら…


インマニにインジェクター…





更にコレクタータンクも…


こういう劣化したバキュームホースも2次エアの吸い込みトラブルになるので…


ついでに交換。
トラブルの芽は事前に対処するに越したことありません…


ここまででエンジン単体の作業は終了。

専用のスリンガーを取り付けて吊る準備をしておきます…






ここからエンジンとミッションをドッキングして更にクロスメンバーにセットしていきます。






クロスメンバーに乗せる前にドライブプレートやセルモータの取り付けも…



クロスメンバーに…


慎重にセット…





合体するとデカイなぁ…


ここから更に残りの補機類を取り付けていきます。
取り外す時にナメたエキゾーストパイプのスタッドも交換して…


触媒の取り付け。


ウォーターパイプ、パワステポンプ、各種ハーネスを接続したら残すは車載です。






が、今日はもう暗いので車載は明日にします…
コメント (6)

エルグランド…オーバーヒート。2

2017-09-04 20:19:31 | 日産
前回の記事に書いたオーバーヒートしたNE51エルグランド…


見積りを出してお客様と話したところ『なるべく早く直して欲しい…』との事。

色々と予定があり車を使いたいようなので早速作業を開始。

まずは車両からエンジンASSYを降ろす段取りから…



今回のエルグランドもそうですが、ミニバン系に限らず最近の乗用車のエンジン脱着はクロスメンバーごと車両下方に降ろす方式が多いです…

通常ならこのE51エルグランドはエンジン脱着にフロントバンパーなどを外す必要は無いんですが今回はウチの設備的な事情で外してます…(^_^;)

車両側に残る部分の配線やホース類を切り離し、パワートレインのユニットASSYを車両から降ろします…
一見大変そうに思えますが、これも外す物とポイントさえ分かっていれば特に苦労する事も無く降りてきます…

ウチにはエンジンリフターは無いのでフォークリフトで降ろせるようにツメに挿せるアタッチメントが作ってあります。

で、降りました。
ゴミの塊じゃないですよ…


クロスメンバー、エンジン、ミッションにこの車両は4WDなのでトランスファーとフロントデフがごっそり降りてくるのでボリューム感はあります。




エンジンルームはすっからかん…




ここからシリンダーヘッドを外す為にエンジンとミッションを分離させエンジン単体での作業に入ります…




エンジンはスタンドにセット。



そして今回から外した部品を置く棚を導入…
この手のエンジンは取り外す物が多いですからね…


しかもカバー付き…‼︎
これは外した洗浄後の部品などにホコリやゴミが着かないのでイイですねー笑


補機類を取り外していきます…


コレクタータンクに…


インジェクターやインマニとエキマニも外して…


ベアエンジンとなり…


ここからヘッドカバーやタイミングチェーンケース、更にはタイミングチェーンなどの取り外し。


V型エンジンは外すものが多いです…




オイル管理はお世辞にもイイとは言えない状況ですね…
車は正直です…
エンジン内部のスラッジを見れば一目瞭然。

フロントのタイミングチェーンケースの取り外し…






タイミングチェーンに…


VTCにカム駆動用のチェーンも。



ここからエンジンを逆さにしてアッパーオイルパンの取り外し。


うーん汚い…


オイルはちゃんと指定サイクルで換えましょう。
あとガソリンスタンドなんかでたまに勧められるオイルフラッシング…
あたかも定期的にフラッシングする事が理想…みたいな事を謳ってますが、キチンとオイル管理をしてれば本来必要ありませんし、スラッジの量によってはエンジンに悪影響も与えますのでむやみなフラッシングにはご注意を。

インナー側のタイミングチェーンケースも取り外してようやくシリンダーヘッドが外れます…




ピストンもカーボンで真っ黒け…


今回はオーバーヒートという事でヘッドの平面研磨と水圧テストをエンジン屋さんにお願いするのでバルブ関係の取り外しを…






歪みは測定するも特に問題はありませんでした。




ヘッドガスケットにはそれっぽい跡が薄っすらと…




画像だと全然分かりませんね…笑


と、その日はココまで。


このカバー良いですね…笑


翌朝エンジン屋さんにヘッドを取りに来てもらい、ヘッドを加工に出してる間にその他の作業を…



作業といっても本日は洗浄DAYです…笑

エンジン各部のカバーに付着した液体ガスケットやスラッジの洗浄をひたすら行います…

エンジン作業の何が苦労するってこの洗浄作業が一番大変です…



この溝に入り込んだボンド…


地道にほじくり返し、ワイヤーブラシでゴシゴシ。
ホント気が遠くなるような作業です…笑

とは言え、これをキッチリやっておかないと組み上がったエンジンに不安が残りますからね…










取り付けボルトに付着したボンドも一本一本キレイにします…


チェーンやVTCも…
ビフォアー


アフター


バルブやスプリングも…




カーボンがこびり付いたピストンも…


スコッチブライトで磨きます…






ブロック上面もオイルストーンで磨き歪みを点検…






歪みはありませんでしたが、2番と6番のシリンダー上部に軽度ではありますが若干のキズが…
ヘッドガスケットの変色部分と位置的に合致するので恐らくこの辺りから抜けたのかな…



クランクシャフトのリヤシールもオイル滲みが出ていたので交換。
このエンジンのリヤシールはリテーナーと一体構造の為リテーナーASSYでの交換。




謎の小窓のガスケットも交換…




ここまででとりあえず作業は一旦ストップです…

あとはシリンダーヘッドが加工から帰って来たら作業再開。

養生をしておきます…






コメント (2)

エルグランド…オーバーヒート⁉︎

2017-09-01 07:21:01 | 日産
お客様から気付いたら水温計がH ラインまで上がってた…という事で入庫したNE51エルグランド。


エンジンルームを覗くとラジエーターのアッパータンクのカシメ部からと、左バンク脇のウォーターパイプを繋ぐホース接続部からクーラントが漏れており…

この状態で水温がオーバーヒート気味ってヤバくない?なんて思いながらも、とりあえず現行の水漏れを修理しないと確認も出来ないのでお客様の了承を得てまずは水漏れを修理する事に。

ラジエーターとホースを交換します。

エンジンはVQ35DE。

このタイプのミニバンは快適性や居住性を優先させてる為、整備性はお世辞にも良いとは言えません…

まあ乗る側を最優先してる作りなので仕方ないんですが…笑

ラジエーターを外す為にアレコレ取り外し…



ラジエーターの取り外し。



左バンク脇に通されたウォーターパイプの接続部も…



随分と奥の方なので非常にやり難い…


エキマニ上部なので熱の影響もあるのかな…

なんとかパイプを取り外して…




ホースの交換。



水漏れ修理後のオーバーヒート判定を正しくする為にサーモスタットも交換。




ラジエーターも…





で、この車はエア抜き工程がややこしいんですが、しっかり行いエンジン始動。
水温を確認しながら暖機…



しばらくして確認すると水温計の針が通常よりもちょっと高め…⁉︎


データを見ていると水温がジワジワ上がり106℃…


サーモスタットはとっくに開いてる筈なのに水温は安定せず上がり続けるので、これはちょっとヤバいでしょ…
ファンは電制式では無くカップリング式。

嫌な予感しかしませんが、吹き返しを点検すると…








アウト…(;´д`)




お客様の話では水温計がHライン付近まで上がってた…という話なので恐らくヘッドガスケットが抜けてる可能性が高いでしょう…

確認しただけでも水温は114℃まで上がり…
それ以上は怖くなりやめました。
その時の水温計の針は5目盛辺りだったのでお客様の話と照らし合わせると水温は更に上がってた可能性は高いですね…


冷却水が漏れてそのまま放置…
結果オーバーヒートしてヘッドガスケット損傷…という結論に。


修理するにはヘッドガスケットの交換が必要ですが…

この手のミニバン系はエンジン車載状態でのヘッド作業は不可能でエンジンを降ろす必要があります…

とりあえず見積りを作りお客様と相談ですね…




コメント