メカニック日記

メカニックです。仕事ネタから感じた事思った事など気まぐれに更新していきます…

プロフィア…オイル漏れ修理。完

2018-02-06 23:00:00 | 日野
またまた前回の続きです…


全ての補機類の組み付けも終わり…





冷却水の注入を…
従来のプロフィアは冷却水のプレッシャータンクが助手席側後部でしたが、エアループのプロフィアになってからラジエター上部になりヘッダータンクという名称になりました…


で、コレも位置的に注水するのが地味に大変なんですが…
この手のプロフィアになってからはフロントバンパーグリル内に冷却水の給水コネクタがあり専用の給水ソケットを繋げてポンプで圧送する事で給水とエア抜き時の時間短縮が可能になりました。

コレが車両側給水用コネクタ…
この先がラジエターのロアホース接続部に繋がってます。


こちらが純正工具の専用ソケット…


後は市販品のポンプとホースにバルブ付き2wayジョイントを組み合わせた給水キット…


コレを使用する事でジョッキで注水するより圧倒的に効率が上がります…
このE13Cのカタログ上の全冷却水量は約55リットル…
仮に55リットル全量を6リットル入るジョッキで注水するとなると、LLC原液を入れて水道水で割ってエンジンルームに登って注水…この同じ作業を約10回繰り返す事になります…

それに比べてこの方法は先に30%に薄めたLLCを作ってポンプで圧送するので作業的にメカニックの負担も減るし注水時間も短縮出来るしエア抜きの時間も短縮出来ます…

使用するLLCは純正です…


ソケットを繋げて…


あらかじめ30%に調整した濃度のLLCを注水…


画像だと見えないかもしれませんが、流量を調整出来るバルブを付けてあるのであまり勢いよすぎない程度に注水します。

で、ヘッダータンク側まで水位が上がってこれば注水完了。


実質、注水時間は数分で終わります。


その後エンジン始動…
サーモスタットが開くまで暖機させます…


しばらくエンジンも回したのでエンジンオイルとエレメントの交換…



雪がチラつく中、試運転に出かけます…


試運転から戻り各部の漏れや締め付けの最終確認…






無事にオイル漏れも止まりました。
後は翌日冷間時の冷却水量の確認をして全ての作業が完了です…



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プロフィア…オイル漏れ修理。その2

2018-02-04 18:25:21 | 日野

プロフィアの続きです…


加工に出してたシリンダーヘッドが戻って来ました。


今回はオーバーヒートした訳ではありませんでしたが歪んでました。

しかも0.08mmも…
歪みの基準値は0.05mm以下なのでオーバーしてます…

やっぱりヘッドを外したら測定も含めた研磨は必要ですね…笑
ノズルチューブもあまりイイ状態ではなかったので交換してもらいました。



バルブのラッピングを行い…




バルブを組んでいきます…








カムアイドルギヤは仮組み…




ヘッド下面もしくはブロック上面を研磨するとタイミングギヤのバックラッシュが変わってしまいますが、このE13Cはアイドルギヤで調整が可能なので測定するまでは仮組みです。
バックラッシュが調整可能ならついでにヘッドガスケットも厚み違いを数種類出してくれればいいのに…と思いますけどね(^_^;)

画像のカムアイドルギヤのセンターシャフトのノックピンを抜いてセンター位置をオフセットさせる事で調整します。


経験上0.05mm以下の研磨量なら基準値を外れる事はまず無いと思いますが…
今回は0.08mm研磨してるので要確認です。

マニホールドも組み付けて…




ヘッドを載せる下準備を…
スタッドを抜いたエキマニとターボ側のネジ山は載せる前に必ず修正しときましょう…


ブロックもオイルストーンで掃除して…


新品のヘッドガスケットをセット…




慎重にドッキング。


ヘッドボルトを2人がかりでヘロヘロになりながら締め付けたら…
ガスケットを入れ、抜いたスタッドを先に入れておきます。


ターボ内に異物が入り込むと嫌なので締め付けも。


ヘッドの締め付けも終わったのでカムアイドルギヤのバックラッシュ測定…




ヘッド側アイドルギヤとブロック側アイドルギヤのバックラッシュ基準値は0.038〜0.356mmとなっており測定の結果0.315mmなので合格。

という事でギヤの調整は必要なさそうです。
0.1mm研磨してたらダメだったかも知れませんね…


インジェクターの取り付けや…


カムシャフトも…
メタルは新品に交換です。






インジェクションパイプも…






その日はそこまで。

翌日から更に続きを…
ロッカーシャフトを載せて…


規定のトルクで締めた後、指定の角度で塑性域締め付け…


で、バルブクリアランスの調整…
INが0.28mmで…


EXが0.49mm…


調整が終わったらジェイクブレーキの取り付け…




スレーブラッシュの調整…
クリアランスは1.3mm。


で、ヘッドカバーの取り付け。






更に周りの補機類も…
燃料フィルターケースや…


EGRなど…




サーモスタットは勿論新品に…


と、明日は土曜日なので車検のお手伝い…

一旦作業はストップです。
続きは来週から…






話変わりますが最近使ってる液体パッキン


まずは今まで使ってた液体パッキン…
使用するメーカーはスリーボンドやピットワーク、ドライブジョイなど様々ですが形は全て同じチューブタイプ。


それにこのようなシボリ用のノブを付けてガスケットを押し出して塗布していましたが…




シボリ加減と手を送るスピードの調整が意外と難しかったり、使い始めは良くてもフタを開けて時間が経つと押し出すのに力が必要だったりと苦労する事もしばしば…

他にもコーキングガンのようなカートリッジタイプもありますが一度に大量に塗布する場合は有効ですが普段使いにはデカ過ぎるし小物には使い難い…
そんな理由で殆どの方がチューブタイプを使用してると思うんですが…

最近使って大ヒットしたのがコレ↓



ロックタイトの液体パッキンなんですが…
最大の特徴はケースの中が二層構造になってて片側に液体パッキン、もう片方に高圧ガス(HFC134a)が封入されており付属のレバーを握るとガスの圧力で液体パッキンが押し出されてくるんです…

コレがまたすごい楽に液体パッキンを塗布出来るんです…
レバーの握り具合で吐出量も調整できるので片手でも均一に塗布する事が可能です。

内容量は260gで、金額的にも標準的なチューブタイプの100gを2本買うより安いです。

こんな感じで適当にレイアウトを決めて試してみると…


片手で楽にしかもキレイに塗布出来ます…
チューブタイプは両手じゃないとキレイに塗布出来ませんからね。



コレを営業さんからやらせて貰った時に即決でした…笑



決してロックタイトの回し者ではありませんが、これはおススメです…笑









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プロフィア…オイル漏れ修理。

2018-01-30 22:54:42 | 日野
以前の記事にも少し書いたオイル漏れ修理で入庫したQKG-SH1Eプロフィア…

調べた結果シリンダーブロックとヘッドの間からオイルが漏れており…
ヘッドガスケット不良と判定、修理にはヘッドガスケットの交換が必要になります。


が、このE13Cエンジンのヘッドガスケットには一部保証延長が出ており調べたところ該当する事が判明。
普段お世話になっているディーラーさんに作業も含めた対応をお願いしたところ二言返事で『忙しいから無理〜!クレーム処理するから作業は○○さんトコでお願い…』という事で交換部品と工賃の一部をメーカー負担で作業は当社で行う事に…

大型車両の重整備はとにかく場所を取るのと、長いこと居座るので段取りが重要で…
他の仕事の予定を上手く合わせながらようやく今週から作業開始です。


早速ヘッドを降ろす為に補機類の取り外し…



前にも少し触れましたが、このE13Cはターボチャージャーを外さなくてもスタッドボルトを先に抜けばヘッドが降りるので時短と交換部品点数の削減が可能です…

とりあえず、邪魔な物を取り外し…








矢印のスタッドボルトを外します。
マニホールドとターボが4本のナットで取り付けられてます…



スタッドを酸素で炙り…


普段は滅多に活躍しないトルクスメガネレンチ…笑


狭苦しい奥の2本にもこの10°オフセットなら絶妙なクリアランスで入ります。




スタッドを抜き取り…


手前と奥でサイズが違いますがE10とE12のメガネなら一本で事足ります。


更にブロックとマニホールドを繋ぐステーのボルト2本も取り外し…




これでエキゾースト側の補機類の取り外しは完了…


次はインテーク側の補機類…
EGRクーラーやらインテークスロットル周辺を…





更にヘッドカバーを外しジェイクブレーキ、コモンレール、ロッカー&カムシャフトやインジェクターを取り外し…


オイル管理が悪いのは一目瞭然…


アレコレと外して…




ヘッドを降ろします…




ここからマニホールドやバルブ関係を取り外してヘッドをエンジン屋さんに加工に出します…

今回はオーバーヒートではありませんが…
ウチはヘッドを外したら平面研磨や水圧テストは出来る限り実施します…
もちろんお客様と相談の上ですが、なるべく実施する方向でお願いしてます。

バルブシールは問答無用で交換ですが…

バルブの取り外しもバルブスプリングが強力なので1シリンダー毎に取り外します…
こうしないとスプリングの力に負けてシャフトが曲がっちゃうんですよね…笑
スプリングの圧縮にも電ラチェが大活躍…






24本取り外したらステムシールも外してエンジン屋さんに出します。





ヘッドが戻ってくるまで細かい作業や各部品の掃除ですが…

オイル管理が悪いので苦労しそうです…


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レンジャー…エンジン不調。2

2017-10-17 08:00:48 | 日野


PB-FC7Jレンジャーがエンジン不調で入庫。
エンジンはJ07E…



ドライバーさんに症状を聞くとどうやらアイドリングが安定しない…との事。

とりあえず症状を確認する為エンジンを始動。

エンジンをしばらくアイドリングさせておくとハンチングし始めました…
動画1

その時のデータは…

動画2

動画3
動画2では実コモンレール圧が安定していないのが分かると思います。
更に動画3では表示項目を増やしインジェクターの補正値も表示していますが燃圧が10MPa台から40MPa台まで乱高下しており、それに連動してメイン噴射量も安定しておりません…
更に補正も常に入るような状態。

グラフで見るとこんな感じ…
アイドリング状態なのにポンプの制御電流や実コモンレール圧が波打ってます。
また目標圧に対して実燃圧が大きくズレてます。



基本的に燃圧が安定しない場合の原因はSCVが濃厚で、J型エンジンなどでは特に多いトラブルです。
SCV不良の場合、サプライポンプ系の故障コードが入る事もありますが、何も入らない事も…
ちなみに今回のケースも故障コードは無し。


で、早速SCVを交換する事に。

このタイプのSCVは在庫として常に常備してるのでドライバーさんが待ってる間に修理出来ます。



エンジンタイプによっては何もバラさなくても可能なタイプもありますが、今回は少々バラす必要があります。

このエンジンのSCVはフューエルエレメントケース真下にあり、ケースかインテークダクトのどちらかを外さないと取り外せません…

インテークを外すとなると作業上冷却水も出てしまうのでエレメントケースの方が得策ですね…
また、作業的にフューエルエレメントも交換するので尚更です。

まずはケース内の燃料を抜きつつケースの取り外し…




SCVがお目見え…



ゴミや埃の侵入は極力避ける必要があります…
取り外す前に周りをパーツクリーナ&エアブローで掃除してから取り外します。




さっさと新品を組み付けていきます。




SCVとはSuction Control Valveの略なんですがサクション…という名前からも分かるとおり、燃料を吸込む量をコントロールしてるバルブです。
このタイプのサプライポンプは吸い込む量で燃圧をコントロールしてるので、SCVが不調になると燃圧の不安定に繋がります。
その為SCVでは物凄い精密な制御がされております。

私が知ってるだけでもメーカーは十数回の形状変更や改良をしており…
それだけ精度と耐久性のバランスが難しいという事でしょう…


で、SCVの取り付けが済んだら
エレメントケースも洗浄して取り付けます。





旧フューエルフィルターはまずまずの汚れです…


新品のフューエルフィルターを付け、各パイプも規定トルクで取り付け…


更に燃料のエア抜きを行い交換作業は完了です…



で、SCVの交換作業後は機差学習が必要です…

エンジンを始動して冷却水と燃料の温度を通常時の温度まで暖機します。


冷却水は60℃以上、燃温は30℃以上…

新品のSCVでも学習前のデータでは目標燃圧に対して実燃圧が大きくかけ離れてる事が分かると思います…


これはECUが以前のSCVの学習値のまま制御してるからでせっかくSCVを換えても機差学習をしないとまるで意味がありません。

で、学習を行います…





その後エンジンを始動して各データを確認。

動画4

目標燃圧に実燃圧がピッタリ追従しています…
更にサプライポンプの機差学習フラグが完了になっている事を確認…



補正値も良好です…


後は各部の燃料漏れなどが無いか…しっかり確認。


フェンダーやサイドカバーも取り付けて全ての作業が完了です。





ドライバーさんも早く直ったので喜んで帰っていきました…



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プロフィア…インジェクター交換。

2017-04-11 23:27:41 | 日野
ADG-SS1Eプロフィア…


もともとこの車両は3月に出先でエンジンチェックランプが点いた…との事で出張で見に行った車で…


現地に着き故障コードを確認すると…


スートとはススの事です。


差圧チェックをしてみると…


12.4kPa…

トラクターヘッドのE13Cでの差圧基準値は9.5kPa以下なので基準値を大幅に超えております…

運転手さんに話を聞くと、最近ススの堆積モニターが溜まるのが早く、焼いても焼いてもすぐ溜まる…という事だったらしく少し手動再生を忘れたらチェックランプが点いた…と。

この車両…年式は19年式ですが走行距離はたったの3万キロ…
重量物運搬用のトラクターでNR装置が付いており、最高速度は60km/hに制限されてます。

使用状況によって大きな影響を受けるDPFにとっては少々酷なようで…

基本的にアイドリング状態や低速走行が多く、また最高速度も60km/h以上出ないのでフィルター内が高温になる状況が圧倒的に少ないんでしょう…
そうなると必然的にススが溜まりやすい環境になってしまいます。


インジェクターの補正値もあまり芳しくないです…


DPRのステータスは…


昇温不良の判定が。
この昇温不良はDPRの再生で排気温度が上がらない…という事。
排気温度が上がらない原因として考えられるのは…

インジェクター不良やEXシャッターバルブの開度不良…そして酸化触媒の劣化などが挙げられます。

とりあえず現地で強制再生をすると…


まずまずの温度まで昇温し無事再生も終了。
その後の差圧チェックでは…


とりあえず基準値内には収まりましたが…
インジェクターの数値も良くない事から後日入庫してもらい、インジェクターの交換とDPRの清掃をする事に。


で、4月に入り入庫…
部品はもう来てるので早速作業を開始。

まずはインジェクターから交換する事に…




ジェイクブレーキのアクチュエータを取り外さないとインジェクターは外せないので取り外し。

メーカーによってEEブレーキとかエンジンリターダとかパワータードなんて言われてますが、本来はジェイクブレーキという名称です。
開発した人の名前だったような…笑

いわゆる圧縮解放ブレーキの事で減速時などにエンジンの圧縮工程の抵抗を利用するエンジンブレーキで…
圧縮上死点付近で燃料は噴射せずエキゾーストバルブを開くのでバルブタイミングを可変する必要があるのでこのような造りになってます…



取り外したアクチュエータ…
これが二つ付いてます。


で、インジェクターも取り外し…





リビルトインジェクター…


何番にどのインジェクターを取り付けるかを決めておきます…
コレを間違えると元も子もありません。







ノズル先端…
ここに肉眼で見るのは苦労するほど小さな穴が8個ほど開いてます…


インジェクションパイプやリターンパイプは新品に交換します。


各部を規定トルクで締め付け…








ジェイクブレーキも取り付け…


スレーブクリアランスの調整。


クリアランスは1.3mm。


6気筒とも調整してヘッドカバーも取り付け。






お次はDPRの清掃…


フィルターを取り外し…


見た目以上にススの堆積は酷かったです…




画像だと分かりづらいと思いますがこれだけで500mlペットボトルが満パンになる位…
それが3本分ほど出てきました…


キレイになりました…





後はスタッドボルトも全数交換。
このタイプは裏からナットが炙れるので折れ込ませる心配もありませんね…




新品のスタッドとガスケットを組み付けて…


フィルターをビルトイン。


更にカバーを取り付けてDPRも完成…





DPRの強制再生をする前にインジェクターのIDコードを書き換え…







エンジンを始動してDPRの強制再生を行なっていきます。


最終的にINが501度、OUTが450度まで上がり無事に再生も終了。
ススは大体470度あたりから燃焼すると言われており500度まで上がれば昇温は問題無いでしょう。

振り切っていたインジェクター補正値も良好になり…


差圧もアイドリングで0.2kPa…


全開時も掃除前は約12kPaあった差圧も5.8kPaまで下がりました。


後はエンジンオイルを交換して全ての作業が完了です…


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デュトロ…吹き返し。終

2017-03-22 01:45:56 | 日野
デュトロの続き…


の前に…

まずはダイナの修理から。
内容はオイルクーラーからの水漏れ…


N04Cのオイルクーラーからの水漏れはもはや定番中の定番ですね…



題名のデュトロのN04Cと型式は同じですが年式が違います。





こちらのターボはよく壊れるリニア制御…



オイルクーラーハウジング…


コアも取り外してこびり付いたガスケットの掃除。




この作業が1番時間がかかります…
コアのフランジには若干の腐食がありますが、この程度なら問題無いでしょう。




組み付けて完了…






で、デュトロの続き…

絵面がほとんど変わりませんが…笑

以前にもこの年式のN04Cのヘッド作業は記事にしてるのでネタもカブるので今回は少し工具ネタを…

狭苦しいところにあるフレアナットって脱着に難儀しますよね…
このN04Cで言えば燃料系のパイプ類など…
細々したパイプが入り組んでいて外したいパイプを邪魔していたり…
燃料系なので出来れば関係ないパイプは外したくないもので…


そこで便利な組み合わせがコレ。

クローフックレンチに…


ユニバーサルジョイント…


それにウォブルエクステ…


更にスイベルヘッドラチェット…


コレを組合わせると…


奥まったフレアナットにも障害物を避けながらアクセス可能で…




それにスイベルヘッドラチェットを組合わせる事で角度を付けても軸がズレないのでダイレクトにトルクがかかります…
この組み合わせは色んな車種で役立ちますね。



どんどん組み付けて…









完成…
エンジン始動です。



無事吹き返しもなくなり、水温も安定…



後は試運転と最終確認をして終了です…





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デュトロ…吹き返し。その2

2017-03-18 00:08:15 | 日野
前回の続きです。


ヘッドは火曜日に戻ってきてたんですが他の仕事で放ったらかしにされてました…

ようやく作業再開。


戻ってきたヘッド…


結果的に水圧は問題ありませんでしたが歪みが出ており…
0.12mm研磨してようやく平面になった…との事。

やっぱりオーバーヒートしてたのかな…
お客様はそんな覚えは無いと言ってましたが…

認識が無いだけで実際にはオーバーヒートしてたのかも知れません…
0.12mmは研磨量としては多めです。
コレだけ歪むということはそれなりに熱がかからないと歪みませんから…


早速バルブのラッピングやステムシールの打ち込み、バルブスプリングの組みつけなどを…

バルブスタンドもようやく改良…笑








バルブスプリング組み込み…




ここでまた別の仕事が…


ラジエーターがパンクしたギガの修理を。
エンジンは6WG1…


内容はラジエーターやホース、サーモスタットなどの交換。

まずはサーモスタット交換。


シールも交換…




新品のサーモスタットシール


シールを打ち込みサーモスタットも取り付け…







ラジエーターを交換する為にインタークーラーの取り外し…





取り外したラジエーター


アッパータンクからの漏れです…
経年劣化ですね。
茶色くなってきたら要注意。




ラジエーターは社外新品のKOYO製を…
純正は法外な値段ですからね…


ドッキング…


更にインタークーラーも。


後は新品ホースを付けて、冷却水を注入してエア抜きを…


結局その日はギガが終わった時点で終了。



翌日からデュトロを再開…

ヘッドにINマニ、EXマニを組み付け…








ヘッドのアッセンブリーも終わり、ブロックに載せようとヘッドガスケットを取り出すと…




Σ(゚д゚lll)



おーい…曲がってるよ〜⁉︎








ダンボールに傷が無い事から、梱包される前に曲がったものと思われます…
メタルガスケットなので結構な力がかからないと曲がりません…


急いで再配達してもらいました…
共販さんに感謝…m(_ _)m


届いたガスケットは勿論問題無し…





で、どんどん組み付け…






バルブクリアランスも調整してヘッドカバーを取り付けた所で本日は終了です。



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デュトロ…吹き返し。

2017-03-14 21:22:20 | 日野
前回の記事でサブタンクから冷却水が溢れ出た…との事で引き上げてきたTKG-XZUデュトロ。

エンジンはN04C…


お客様曰く…
オーバーヒートさせた覚えは無い…との事。

車両は24年式とまだ新しく実際にエンジンや下廻りを確認するも外部には水漏れは無さそうです…

とりあえず現状の吹き返し状態を確認…

こちら


確かに嫌な吹き返し方ではありますが…
オーバーヒートはしてないって言うし…

冷却系統に圧力をかけてみるも微妙に下がる…


この時点では原因がイマイチ掴めず…



とりあえず、お客様には正確な原因はバラさないと分からない事も含め、最悪のケース(ヘッド不良)を想定した暫定見積りを提示。

作業の了承を得て…

早速吹き返しの原因を探りながら分解していきます。

この車両…ダンプなので作業性はバツグンです…
キャブマウントフレームを取り外せば邪魔するものは何もありません…




早速、バラしにかかり…

直ぐに不可解な点が…



画像の赤い矢印の部分ですがEGRクーラー内に水が溜まってます…
更に緑の矢印の部分には水滴が…⁉︎
画像では上手く撮れませんでしたが、上部にも水滴がたくさん付いておりました。

もしかしてEGRクーラーがパンクした…⁇

という事で先にEGRクーラーを取り外して単体点検をする事に。

EGRクーラーの水圧テスト。
冷却経路に水を注入して圧力をかけて漏れを調べます…


この傾けた状態でしばらく圧力をかけておき、漏れていればトレイに水が出てくるはずです…


ところが待てど暮らせど漏れてくる気配はありません…





なのでEGRクーラーが原因では無さそうです。

じゃああの水は一体どこから入ったんだ…⁇
という事で更に分解して原因を探っていきます。

余談ですが、この年式からVNTのアクチュエータもステップモーターに変更されてます。
以前のリニア電子制御式のVNTコントローラは本当によく壊れましたからね…


一応遮熱板も付いてますが…
まあ無いよりはマシか…



更に分解してシリンダーヘッドを降ろします。







で、ヘッドガスケットの状態をよ〜く見てみると…


ウォーターラインのOリングがおかしな事になっており…
これで吹き返しの原因が見えてきました。

4番シリンダーからの圧縮が矢印の方向に抜けた為にOリングがあんな形に変形してるんでしょう…




恐らくEGRクーラー内に溜まってた水も…

抜けた箇所からシリンダー内にクーラントが流入…
シリンダー内の熱で蒸発して水蒸気となったクーラントがEGRクーラー内上部に溜まり、今度は外気に冷やされ結露…

その為、EGRクーラー内に水が溜まったんでしょう。
それならEGRクーラー内の水滴も説明がつきます…

とりあえず吹き返しの原因はヘッドガスケット抜けという事は分かりました。

が、何故抜けたかは分かりません…

何故でしょう…⁉︎

取り外したヘッドは研磨と水圧テストをエンジン屋さんにお願いして、まずは水圧テストの結果待ちです。





で、先週土曜日に仕事が早く終わり少し時間が空いたので以前作業した6R10の不良コンプレッサーを調べてみる事に…

症状はヘッドガスケットの抜けとオイル上がり。

早速分解…




やっぱりオイルは上がってきてますね…




取り外したピストン…




分解したシリンダー内はやはり縦キズが多いです。


シリンダーの内径を測ってみると…


軸方向が85.985mmに対して側圧方向は85.905mm…
約0.09mmほど摩耗してます…


外した時の感覚ではピストンリングの張りが弱いような気がしますが…
あくまで感覚なので何とも言えませんけど。

ピストンは軸、側圧方向共ほぼ同じ数字でした…


ヘッドガスケットはやはり劣化はしてますが、どこから抜けるのかは見ても分かりません…
ヘッドが悪いかもしれないし…




クランクシャフトは問題無さそう…



この6R10のコンプレッサーはシリンダーとクランクケースが一体なのでオイル上がりを起こすとASSY交換以外方法がありません…
ボーリングした所でオーバーサイズピストンなんて無いし、そこまでするものでも無いし…

ただ、新品のコンプレッサーは18万ですからね〜

とは言え、修理しないとオイルがドライヤーに回り更に酷くなると各機構にオイルが混入してしまいます…



やっぱりオーバーホール出来ないのは困りますね…


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レンジャー…クラッチ不調。

2017-02-06 21:05:55 | 日野
KS-FEの増トンレンジャーがクラッチの不調で入庫。


信号待ちなどでギヤを入れたままクラッチペダルを踏んで停車中、勝手に車が進みギヤを抜こうとしても抜けない…という症状。
通常操作時は特に不具合は無い…との事。


コレ…クラッチ系統の油圧が保持されないとこのような症状が起きます。
つまり、クラッチペダルを踏んでいるのにクラッチが勝手に繋がってしまうという…マニュアル車では定番の故障ですが、コレにも前兆みたいな症状があってクラッチの繋がる位置が変わったりするんです。

特にいつも乗っているドライバーさんなら、ん?なんか繋がる位置が変わる⁇なんて感じたら早めの修理をオススメします。


で、これも原因としてはクラッチブースターかマスターシリンダーのどちらかなんですが、そんな症状の時は両方交換した方がいいんです…

マスターもブースターもシリンダー内でピストンが動く基本的な構造はどちらも同じで、片方修理したら数ヶ月後にもう片方が壊れた…なんて事もよくある話で…
そんな理由もあり、特別な理由でも無い限りウチでは両方交換を勧めてます。


マスターシリンダーと…


クラッチブースター
小型で言う所のレリーズシリンダです…



まずはマスターシリンダーから交換。
リザーバーのクラッチオイルを吸い取り…


抜いた後なのにこんな感じ…


長期間オイルを変えてないせいかオイルの汚れがタンクに固着してまるでまだオイルが入ってるみたい…
このお客様は自家整備をお持ちの会社なんですが…
どうやらクラッチオイルを定期交換してないみたいですね。

エアホースや各コネクターを取り外しペダルユニットの取り外し。


シリンダーだけならペダルユニットは外さずに交換出来ますが、プッシュロッドはペダルユニットを外さないと出来ないんです…

バイスに固定してマスターシリンダーを交換していきます…



取り外したマスターシリンダーと新品のマスターシリンダー。


新品のプッシュロッド。



旧プッシュロッド。




このプッシュロッドが車載状態では取り外せません。

それからペダルユニットを取り外す事でペダルリンク類を清掃やグリスアップが可能です。
マスターシリンダーを組み付けて…




で、車両に取り付けて今度はクラッチブースターの交換。

取り外したクラッチブースター



社外品のブースター…

個人的にはあまり印象の良くないメーカーですが、ここのお客様は部品支給なので選択の余地はありません…笑



ステーやブラケットを付け替えて


車両に取り付け…


後はエア抜き。



クラッチ調整を行い完成。



取り外した部品はどうするかお客様の自家整備の方に問い合わせると、捨ててもらって構わない…との事なので…

このブースターは時間がある時にオーバーホールしてウチの在庫にする事にします…笑


捨てればただのゴミですが、O/Hしてキレイにしておけば立派なリビルト品となります。


という事で修理も完了して納車です…



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プロフィア…車検。

2017-01-22 09:57:08 | 日野
QKG-SS1Eプロフィア…




車検で入庫。
以前にもこのブログで少し触れた事があるんですが、SS系でリヤがエアサスのトラクタ…
いわゆる軽量サスペンションと呼ばれてるタイプの車軸…

中型、大型トラックの車検整備ではブレーキを点検するのにハブ、ドラム、タイヤを一体で取り外す事が殆どで、このSS系のプロフィアもフロントは従来通り一体で取り外します。
ベアリングの潤滑にはグリスが使われてます。





ところがリヤはDANA社製の車軸を採用しており、ハブベアリングの潤滑はグリスでは無くオイルを使用してます。
その為、従来の整備方法とは異なるんです …


まず、タイヤとハブとドラムは一体では外れません…
正確に言えば構造的には外れるんでしょうが、どのみち外さないとプレロードの調整などが出来ません…

タイヤを外せばドラム単体で取り外しが可能で…




当初この車軸はドラムだけ外れるので、お?整備するの楽になった⁉︎…と思ってたんですが、残念ながらそうでもなく…
正直、漏れなきゃ交換しなくてもイイのかな⁉︎…なんて考えてたオイルシールからは見事に漏れる。笑
それがまたグリスではなくオイルなので漏れるとタチが悪い…

このプロフィアも去年の初回車検時はハブシールは交換してなかったんですが、今回2回目の入庫では1ヶ所にハブオイル漏れが…
画像だと分かりづらいと思いますがライニングがオイルを吸ってベトベト…


ライニングがオイルやグリスを吸うと厄介で 、磨材に染み込んだ油分を完全に除去するのはほぼ不可能…
当然、ブレーキなので制動力にも影響が出てきます。

で、実は以前別の同型式の車両でもこのハブオイル漏れはありました。
その時は3回目の車検時でしたが…
それ以来、軽量サスのハブシールも車検毎には交換する事にしたんです。


シールとブレーキシューを交換する為にハブをバラしていきます…
まずはハブオイルを抜き取りつつ、アクスルシャフトの取り外し。


専用ボックスレンチ


アウターナットの取り外し…
高トルクで締まってる上、ナットが薄いので緩めにくいです。


更にアウターベアリングを取り外して…




ハブを抜き取ります…


で、シールのスリンガーはほとんどの確率でホーシングに残ります…笑




シールと残ったスリンガーを取り外し。




ベアリングを軽く洗浄&点検後、ベアリングにハブオイルを塗り、新しいハブシールを打ち込みます…


新品のハブシール。


専用のハブシールインストーラ…


セットして…


打ち込み…


後はオイルが漏れた1輪だけブレーキシューの交換。




取り外したブレーキシュー。


こちらはリビルトシュー


前は時間がある時は現場でライニングの張替えをしてましたが、最近はほとんどやらなくなっちゃいました…


で、ブレーキシューの組み付け。









ハブを組み付けていくんですが…
このプレロードの調整が非常にシビアなんです…笑

まずはシールを傷つけないようにハブを乗せてアウターベアリングを入れ馴染ませながらインナーナットを271Nmで締め付け…




その後インナーナットを1回転緩めて…
そこから今度は68Nmで再度締め付けた後、また1/4回転緩めます。


その時にロックワッシャーの位置を確認しつつ、ダイヤルゲージでハブのスラストのガタを測定…




この時点でガタを0.2〜0.3mmの間におさめておく必要があります…
後々の為にここは基準値に入るまで調整しといた方がいいです。

基準に入ったらアウターナットを475Nmで本締め。


再度スラストのガタを測定します。

最終的にこのガタが0.025〜0.127mmの間に入っていればオッケー。
先ほどのプレ調整はここでの再調整を無くす為なんです。
結果的に測定値は0.08mmで合格。

ここで本来ならハブの転動トルクを測定…って書いてあるんですが、2.0Nm以下が測定出来るトルクレンチなんて持っていないので…
ウチは抵抗や引っかかりも無く、軽く回ればオッケーという判断にしてます…


後はアクスルシャフトを入れて仮締め…




フィラーからハブオイルを1リッター注入。


シーリングしたプラグを58Nmで締め付け…





他の軸もハブシールを同様に交換、調整後にドラムを取り付けてパーキングブレーキを作動。
こうしないとアクスルシャフトの本締めが出来ません…
締め付けトルクは244Nm



フロントのハブは従来通りなので普通に組み付け




リヤもタイヤを取り付けて…


全てのタイヤをトルク締めして完了…
車検なので他にもオイルやエレメント関係も交換してますが、今回は車軸の整備だけ記事にしてます…笑

車両を降ろしてハブオイルで汚れたハブをスチームで洗浄して完了です。






昔はボルボトラックもハブにオイルを採用してるタイプがありましたが…
漏れると厄介なんですよね…

このDANA製アクスルも車検時にはハブシールの交換を強くオススメします…笑




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