律子さん、覚えていますか。
律儀な律子さんが施設のボランティアに数分の遅刻を許せず
タクシーで行き、私に怒られたこと。
レクリエーションの歌唱指導で使う歌詞の意味を調べて欲しいとの深夜の電話。
「へぇ。こういう意味だったのね」と二人でうなずきあった電話口。
一緒にと乞われた介護ボラもレクリエーションボラも断ってしまい
「全くあんたは・・・」と叱られてばかりいたのに
、最後の電話は 「あんたには世話ばかりかけてるね」
そんなことありませんよ。
洋服ダンスを片付けに行くのも植木の水やりも楽しかった。
昼御飯を食べながら、布草履を教わりながら亡き旦那様とのご苦労をさらりと話して
「女のロマンだね」と二人で爆笑
でも目尻に光ったものは忘れてませんよ。
「ちゃんとしたものを食べて」と帰りには食材を持たせてくれて。
ちょっと怖いお姉さんみたいだったのに。
頼りになるお母さんみたいだったのに。
きりりとした宮下さんが、するりと一本糸を抜かれたように弱っていかれて、
案じてはいたのに私事にかまけて何もお手伝い出来なかった・・。
娘さんからのまさかの訃報は私を打ちのめしました。
ジクジクと胸が痛みます。
それでも律子さん。「ついのすみか」にこだわって模索していたけれど、
娘さんと孫のタイガくんと一緒に暮らせて本当に幸せでしたね。
ちょっと早過ぎるけれどお別れを言います。
ありがとう。そしてさようなら。