ちょっと遅めの朝の散歩道
遠くに この時間にいるはずのない小学生が二人
あれれ
いつかの兄弟愛の二人だ
もそもそとうつむきがちに歩いてるな
進路変更して声を掛ける
「お腹が痛くなっちゃって…」
「遅れちゃって、みんな、いなくなっちゃってて…」
そういうことか
「お腹が痛いの ? それは大変だね
コロちゃんと一緒におうちに送って行くね」
雲ひとつない秋空の下
「ぼ、ぼくお兄ちゃんが心配だし」
と懸命に訴える弟クンも一緒に
元気いっぱい(?)たんぼ道を話しながら帰る
3年生と1年生
ちょっと変わった名字のタクちゃんとケンちゃん
「ボクね、犬なんてぜんぜん怖くなんかないんだよ
ぜんっぜんだからね」
と握りコブシで力説のケンちゃん
そうか まだ怖いんだね わかった
コロちゃんに云っとくよ
10分程歩いて着いた二人の家は
白い壁のアパートの1階角部屋
「お母さん、いるかな 二人で大丈夫?」
「ただいま」
「あらあ!どうしたの~」
「うん、ぼくね、ぼくね…」
怒鳴り声や過剰な叱責がなさそうなので
ほっとして散歩に戻る
しばらく歩いていると
「すみませ~ん、横通りますっ!」
ケンちゃんを後ろに乗せた自転車が
学校に向かって、疾風のように駆け抜けて行った
「おばちゃん、バイバ~イ」
「誰~」 とママ
「ほらあ 親切なおばちゃんだよお」
「ありがとうございましたあぁ!急ぎますぅ…」
風に乗って声が届く
ふふ
タクちゃん、お腹痛いの却下されなかったんだ
良かったね
そんな日があっても良いよね
ふふ
私も良かったわ
≪おばちゃん≫で。