中華風冷やしイケメン韓タレ添え★BLOG de Diary

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シワに刻まれた優しさ「海洋天堂」

2012年07月19日 | 本と映画の話



DVDレンタル海洋天堂


北京ヴァイオリンを想像して、また、内容からして期待感が募り、小説じゃないけれど"号泣する準備はできていた"んです。
しかし、そんな風に情動的ではなく、後からジワっと胸が熱くなっていく、そんな感動が、この映画にはあります。

ジェット・リーが脚本に惚れ込んでノーギャラでこの仕事を受けた。というだけあって、お父さん役は、ホントに素晴らしかったです。
アクション映画ではあまり笑顔は必要ありません。あってもそれはカッコいいとかニヒルとか、アクションを味つけるものだったりするのだと思いますが、今回のジェット・リーは、様々な種類の笑顔で父親としての心情を語っています。
一人残されてしまう息子に、どうにかして生きる術を教えようと奮闘しながらも、どうしても伝わらない"もどかしさ"や、"悲しさ"をいろんな笑顔、微笑みで表現するのです。
時にそれは”諦め”であったり、逆に"喜び"であったり、”希望”であったり…etc。そのたびに顔に刻まれるシワが、とてもカッコ良いと思いました。
歳をとってシワが増えると、男性は、というかイケメンは(笑)それが味になります。
ただしシワの出る場所も重要で、いかんせん法令線が深くなると多少微妙になりますが(爆)頬から顎にかけて縦に出来るシワの場合は大成功なんじゃないかと、私的には思っています。
しかもこのシワはあまり女性には見られません。男性の方が圧倒的に多いのです。


ほら、この頬と口元に縦に走るシワです。(笑)

どこかしょぼくれているのに、滲み出る優しさと、中身は深いが見た目は控えめな愛情表現。
要するに『無骨さ』(?)、そういったものが男のシワ=年輪に現れているんじゃないでしょうか。

ストーリーは言うまでもないのですが、私が思わず泣いてしまったのは二カ所。
(※ここからちょっとネタバレます)


お父さんは、息子(ターフー)をようやく預かってくれる施設を見つけ、一人置いて帰って来ますが、夜になってターフーが暴れ出したため、また慌てて施設に戻ります。
ターフーは父を見ると同時にピタッとおちつき、いつもやってもらっているように着替えるために両腕をあげる。この場面です。
もうね、ここはなんていうんだろう。もう震えるように泣けました。
それを見て切なそうに息子の頭を撫でるお父さん。
理屈抜きで、いろんな感情が吹き出します。

そしてもう1つはお父さんが逝ってしまった後、ターフーがお父さんに言われた通りに淡々と行動するところです。
ここはジワジワ~っときました。
ここであえて自閉症というキーワードで大変僭越ながら物申しますが、最後まで無表情のターフーからは本当に父の思いが伝わったかというのは分りません。でも自閉症(度合いよって違いはあると思いますが)というのは一つの特性で他人の愛情がまったく伝わらない病気ではありません。
彼らはむしろ自分を愛してくれる、あるいは自分のことを考えてくれている人を敏感に感じ取るのだと思います。
この映画は、このシーン以降クライマックスまで、それをメッセージとして伝えているんだろうな、と私は解釈しました。

音楽は、久石譲。どうりで観ている間中、トトロを思い出したわけです。(笑)
もちろん、いい意味でです。
このBGMによってすごく優しい世界観が広がりました。
号泣ではなく、ちょっとグッと涙する美しい作品。台湾・中国映画は時々フランス映画のようなふんわりとした優しく美しい映画を作りますが、これもその類いなのではないかと思います。

また、もし、なんでリンリンがターフーとあんなにすぐ仲良くなれたんだろう?もっと生い立ちとか描けば説得力あったのに?と疑問に思う向きがありましたら、
『ギルバート・グレイプ』のジュリエット・ルイスだと考えれば納得いくと思います。
またあえて生い立ちを描かなくとも、そこはグイ・ルンメイの持ち味である"不思議で美しい薄幸の女性像"ですべて物語ってくれている。と、そんな風にも解釈出来ました。
ところで、このギルバート~を思い出したのは、やっぱりターフー役、ウェン・ジャンの演技力の高さゆえです。
ギルバート~の時のレオ様のように、どこからどうみても本物にしか見えない徹底した演技。
そんなターフーが、時にコミカルに、可愛くも見える。
本当の演技力というのはこういうことなんだと思い知らさせました。
ジェット・リーのカッコ良さと、ウェン・ジャンの演技力の高さで、観ている間はもうどっぷりと物語に浸れるし、爽やかな感動にうたれます。
それに、ほぼ海と水族館が舞台ということもあるので、涼しげ!
基本色はコバルトブルーターコイズブルーバーミリオン。(私的イメージです
この夏おすすめしたい一本です。

映画「海洋天堂」公式サイト

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