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ロンドンから徒然に

そして本番

2012-04-06 | 音楽
 (前回の続きです。何だか少なくとも2009年分を本番終了まで書いておかないと他のこと書けないような雰囲気になってきたもので)



 さて、本番に関しては、本人のみならずそれぞれのスタッフがそれぞれの立ち位置で緊張していたと思うんです。僕の立場からするとまず冷や冷やしたのが開場から開演までの30分でしたね……本当にお客さんが集まるんだろうか?
 
 ところが15分前になってもホールは半分ほどしか埋まっていません。心配になってICAのスタッフに「チケットはソールド・アウトだったよね」と確認したほどです。つい会場の外まで様子を見に行ったり......
 ……それが直前になっていきなり満杯。ICAはホールのすぐ横にバーがあることもあってか、観客はぎりぎりまでまで飲んでいたみたいです。とりあえずはホッとしました。

 そして開演!時差ボケの体に鞭打ってステージに上がるスガさん達。自らを奮い立たせるには恰好の《19才》からスタート。
 実はこのあたりからの僕の観察には客観性がないんです。自分も当事者の身になっているもので皆の緊張がこちらにも伝わって、どうにも冷静に見られません。なので当日会場におられた方で違う感じ方をしたとしても、ご了承下さい。ただ、最初はすごくあがっていたと思うんです。(これは本人も国内公演のMCで触れていたので話しても構わないと思うのですが)足も若干震えていたみたいだし。正直言って最初の数曲は、外国人のオーディエンスも様子見のような冷静な雰囲気があって、どこかしっくりこない空気感だったのは確かです。

 しかし、曲をこなすに連れてだんだん“普段着姿”になっていきます。そしてアコースティック・ギター1本での弾き語り《気まぐれ》と《愛について》(この2曲はロンドンと国内とでは順序が逆です)。
 実はこの2曲で完璧に会場の空気感が変わりました。何だか皆の視線と神経がすっと同じ方向を向いて、スガさんの立場から言えば、しっかりと観客の心を鷲掴みにしたような感覚。まるで日本語の歌詞の意味を理解しているんじゃないかと思えるような真剣な顔が外国人オーディエンスにも浮かびます。あぁ、これがステージと客席の一体感か。

 ここからはもうジェット・コースターのようなノリでぐいぐいと加速して、一気に突っ走った感があります。僕もいつの間にかすっかり当事者感覚を離れてオーディエンスとして楽しんでいました。
 そして《Thank You》で終了した後の地鳴りのようなアンコール(イギリスでは床を靴で踏み鳴らします)。最後はイギリス人も日本人のスガファンによる《午後のパレード》の振付を見様見真似で実践して楽しんでいました。企画のもうひとつの核である“日英交流を記念したイベント”の象徴のようで嬉しかったです。

 アンコールの終了後も鳴り止まない拍手と床を踏み鳴らす靴音。スガさん、けっこう感動していたみたいです。やり遂げた良い顔していましたよ。あの人は本当に音楽に対して生真面目に向き合う人で、その姿勢には随所で感心しました。

 さて、僕にとってはこの後の大きな仕事がまだふたつ。
 ひとつは日本からツアーで来てくれた人の打ち上げパーティー。この方達、本当に熱心かつ素敵な人達ばかりで、どう言えばいいのかな、スガさんに対する距離感とか抱擁感が抜群にバランス取れていて暖かい。できれば本人から皆さんに挨拶をお願いしたかったんですが、諸事情で叶わず、代わりにオーガスタの森川さんが挨拶を買って出てくれました。

 さてさて、そして深夜の打ち上げ。お店のオーナーのご厚意でけっこう無理な時間帯に貸し切りさせてもらいました。
 もちろん初めてのライヴをやり切った喜びで皆良い顔なんですが、やっぱり真面目なスタッフばかりで、色んな反省の言葉も出てきます。終わる頃には「また来年頑張ろう!」という気持ちに皆が自然になっていたのが不思議でした。もちろんこの気持ちが次のJAPAN★UK circuit 2010に繋がっていくんですけどね。
 これについては、近いうちにまた触れていきます。あくまで気まぐれなので、あまり期待せずに待っていて下さい。