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受験数学が出来るとはどういうことか(3)

2018年06月23日 16時28分00秒 | 日記
久しぶりの更新で、何から書こうか迷ってしまうのですが、書きかけになっている話題をつぶしておきたいと思います。ということで表題の続き。

前回の(2)では、よく言われる解法暗記に関してもっと意識した方がいいことが2つほどあるという話をしました。前回はそのうちの1つである「スピードをもっと意識しろ」という話をしましたが、今回は2つ目の「”解法”よりももっとミクロな能力を磨くべき」という話です。ま、私はプロの数学者でも受験講師でも何でもないので、素人の主観でしかないのですが、実感としてそのようなことを感じるのです。

もちろん、いわゆる”解法”も大事です。が、実際に手を動かして問題を解いていると、ここで一歩前に進むことができなかった、とか、計算や場合分けが汚くなりすぎてギブアップしてしまったとか、要するに最後まで解ききれない原因となるような事は、解法というよりももう少しミクロなこと、一言でいうと

処理を進めるための、計算上・発想上のちょっとしたTIPS

が欠けていた、ということが非常に多いのです。まあそれも解法じゃん、と仰るかもしれませんが、解法というほどの大きな、方針立案そのものの知識ではなくて、計算を上手く進めるためのちょっとした小技、的なものです。はい、やっぱり受験数学は計算力なんです。

思いつきで言っているわけではありません。この話題で記事を書き始めたのはもうだいぶ前ですが、実は最近1ヶ月ほどかけて、東大(と京大)の文系数学の問題ばかり60問ほど集めてある本の問題を解いてみたところ(ジジイのボケ防止ですww)、やっぱり同じことを痛感させられる羽目になり、改めてこの考えは間違っていないな、と思った次第なのです。

文系数学の問題集ということもあり(なぜ文系数学の問題集を手に取ったかは後ほど述べます)、いくら東大の問題(と京大の問題がチラホラ)とはいえ、解くための方針がまったく思いつかないというような問題はほとんどありませんでした(まあ、東大京大の文系数学のうちの、割と易しめの問題を集めているのだと思いますが)。受験数学から30年くらい離れている私でも半分くらいの問題は完投できました。しかし、最後まで解ききれなかった問題について、どこで、何につまづいたのかを振り返ってみると、そのほとんどが上に書いたような理由になるのです。

具体的にいうと、ほんの少しばかりの変数変換をしてやれば相加相乗の関係で簡単に最小値が出せたのにとか、三角関数をtと置いてやれば計算がめっちゃ楽になったのにとか、座標軸の設定をもう少し上手くやればスッキリ処理できたのにとか、xとyの同次式をx/y、あるいはy/xの式に変形して1変数にするときに、x/yを作るよりy/xを作った方が次数が下がって簡単になったのに、とか、挙げればキリがありませんが、そういうちょっとした文字変換、式変形、座標設定、場合わけ設定の巧拙、みたいな話が処理量に大きく影響してきて、そこで下手をこいた結果、式が汚くなって結局処理できずに挫折してしまう、というケースがほとんどなのです。

こういうのは解法というよりは、計算を上手く処理するための小技、というべき物でしょう。そして、特に文系数学レベルだとそれほど難しい問題はそもそも作れないので、こういう

最後まで処理を押し進められるかという計算力、ラクをする能力

にどれくらい長けているか、が勝負を決するように作られていることが多いのです。方針が立つか立たないかというよりも、計算力や設定力によって処理時間が大きく変わってきて、そこが点数の差になるという構図ですね。

で、大事なのはここからですが、こういう小技は人に教えてもらったり参考書に”要点”としてまとめてあるものを読んだりして身に付けるものではない、ということを分かっておくべきなんです。”解法”は網羅系の参考書に要点として目立つように書かれていると思います。例えば、「点の存在範囲」の問題なら、ある文字についての方程式と見て、二次方程式なら判別式、3次方程式ならグラフを書いて実数解の存在条件にもちこめ、とか、そういうのは解法です。でも、特に文系レベルの数学に関して言えば、このような解法を知らないために解けなかったというケースよりも、上に書いたような、計算を最後まで上手くラクに進めるために必要なちょっとしたTIPSを知らなかった、適用できなかったために完答できない、というケースの方が遥かに多くなると思います。

そして、そういうTIPSは、自分で手を動かして問題を解く(最初のうちは模範解答の写経でもいいでしょう)中で、

自分でハイライトして身に付けていく

しかないのです。だって、こんなに細かいTIPSをいちいち要点としてまとめてたら参考書が電話帳みたいになっちゃいます。解法を1つ紹介するために1つ問題を載せることはできますが、計算上の細かいTIPSを1つ紹介するために1つ問題を載せる、なんてことはできませんからね。だから、こういうのは本を読んで覚えるのではなく、解答を再現する作業の中で自分なりに整理して頭に叩き込んでおくというやり方で身に付けるものなのです。受験数学の力の差は、こういう作業をどれだけ沢山やったかという経験量の差なのです。簡単に言えば、やっぱり慣れなんですよ。解法の知識量が大事なのはよく知られるようになりましたが、それにプラスして、こういう計算上の細かい慣れの蓄積、も非常に大事になってくるのです。

最後に、なぜ文系数学の問題集をやったかですが、もちろん30年のブランクのある私にとって東大京大の理系数学はあまりにキツイ(じつは10年前くらいに過去30年分くらい解いて頭に叩き込んだ経験はあるのですが、もう忘れています)という理由もありますが、文系数学は理系数学ほど複雑すぎない分、教科書レベルと受験レベルのつなぎになるポイントが見えやすくて勉強しやすい、という点があると思ったからです。なので、理系で難関大を目指す方でも、初期のうちは難関大の文系数学の問題で鍛えた方が効率よく力がつけられるかも知れません。

確かに難関大の理系数学ともなると、端から方針が全く思い浮かばないような問題も少なくないと思います。しかし、そんなのは多くの受験生もできないし、まずはそこで悩むよりも、基本的な解法網羅や上に書いたようなTIPSレベルの技を完全に身に付けることに専念すべきだと思います。それが出来ていないうちに高度な事で悩んでもあまり生産的ではありません。基本的な解法、しっかりした計算能力、をしっかり磨いて、それから、難問にアタックするタフさを磨けばいいのです。難しすぎることばかりやっても実はあまり力は付かないというのは、英語も数学も同じかもしれません。もっと足元をしっかり固めることをやれ、ということです。