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本業がずっと同じだなんて、ありえない 人の心に灯をともす 4100より 写真はMさんからいただいたプ...

2020年10月10日 | 
【本業がずっと同じだなんて、ありえない】4100



山本康正(やすまさ)氏の心に響く言葉より…


私がテクノロジーの変化を示すにあたって、伝わりやすいだろうと思っている衝撃的な2枚の写真があります。

1900年のニューヨークの街と、1913年のニューヨークの街。

これがまったく光景が変わってしまっているのです。


何が違うのかというと、1900年の写真では、人々はみな馬車に乗っていたのです。

街を馬車が走るのは当たり前だった。

そういう時代ですから、当たり前の写真です。

ところがわずか13年後、馬車はほとんど走っていないのです。

どうなったのかというと、人々はみな車に乗っていたのです。


おそらく馬車を作っていた人たちは、この急激な変化をまったく予測できなかったはずです。

そしてもちろん、馬車に乗っていた人々も予測していなかった。

しかし、人々は馬車ではなく、車を選択するようになりました。

当然だと思います。

人々にとって、目的は馬車に乗ることではなく、快適に移動できることだったからです。

この変化は、人々が快適に移動できるほうを選んだ、というだけに過ぎません。


そして車が登場したとき、きっと馬車を作る人たちは、こう言っていたはずです。

やっぱり馬が引っ張る乗り物こそが素晴らしい。

もっと早く走れる馬を用意すればいいだけのことだ。

歴史を経て、馬車はいい車輪を次々に開発してきた。

もっといい車輪を作ればいいのだ。

馬車の躍動感こそがたまらない。

車なんてありえない…。


なぜか。

馬車の時代の人々に「どんな移動手段がほしいか」と尋ねたら、人々は口々にこう言ったからです。

「もっと速く走る馬車がほしい」「もっと心地よい車輪がほしい」「もっと躍動感のある馬車がいい」…。

車という乗り物がほしい、とは誰も言わなかった。

車というものがまだ世の中になかったからです。

しかし、人々が想像もしていなかった車という乗り物がポンと出てきたとき、「あっ、こっちのほうが便利だ」と、人々はあっという間に車に移ってしまったのです。

これこそが、わずか10年足らずで街の光景が一変してしまった理由です。


iPhoneも同じです。

電話機としての機能をどんどん追求しようとしていた日本のメーカーは、ユーザーがきっとこれを求めているに違いない、というものを考えた。

ワンセグであり、バッテリーであり、防水であり。

しかし、スマートフォンという、思ってもみなかったものが出てきて、「あっ、こっちのほうが面白い」と思ったら、ユーザーはみんな移ってしまったのです。


今、これと同じことが自動車で起きている、ということです。

電気自動車の登場に、「自動車は運転こそが醍醐味だ」「乗り心地のよさがあってこそ」「美しいデザインこそが求められている」といった声が、車好きの人たちから上がってきています。

どこかで聞いたことがあるような話ではありませんか。

そして自動車業界とは、まったくの部外者で、決済サービスの起業家だったイーロン・マスクが、コンピュータから車を作っているのです。

電話機の時代のiPhoneが、馬車の時代の車が、再び現れようとしているということです。


テクノロジーは企業が製品を生み出すための単なるツールだと考えている人が、日本では少なくありません。

しかし、そうではありません。

テクノロジーが製品を作るのです。

そしてテクノロジーは消費者を強くします。

消費者がテクノロジーを選ぶ。

注意しなければいけないのは、企業側には選択肢はない、ということです。

消費者が変わってしまったら、それを追いかけるしかない。

消費財メーカーで世界トップ企業のP&Gのアラン・ラフリーが掲げた有名なスローガンに「消費者がボスである」という言葉があります。

消費者の選択しうるものはテクノロジーという制約を受けているので、言うなれば「消費者が好むテクノロジーがボスである」ともいえるでしょう。

これは法人でも同じことがいえます。


だから、企業側はテクノロジーを追いかけなければいけないのです。

ツールにしている場合ではないのです。

テクノロジーの恐ろしさを知っている企業は、技術担当役員であるCTOやCIOを重要視し、経営判断の中心に据えます。

ところが日本では、この機能が弱すぎるのではないでしょうか。

実際、技術担当役員には、テクノロジーとビジネスの最新の知識(過去の専門知識ではなく)についていってはおらず、プロダクトをいかに安く、安定的に供給するか、自社の研究開発部門を守るか、というところにしか関心がなかったりします。

最新のテクノロジーをこそ考え、テクノロジーをこそ自分の本業に入れなければいけないのに、です。

その考える量も、これだけ技術革新が速くなってくると、10年前には最新だと言われていた知識がほとんど役に立たないことも起こります。


「このままでは日本の自動車メーカーは、下請けの車体メーカーになる」

衝撃的な言葉ですが、リチウムイオン電池で2019年にノーベル化学賞を受賞した吉野彰(あきら)氏の言葉です。 
 
囲碁でプロ棋士がまったく歯が立たなかったように、人間が運転するよりもはるかに注意力を持ち、安全に走れる自動運転機能が作れるかもしれないのです。

何しろ、数多くのセンサーによって、人間の視覚だけでない、あらゆるデータをインプットできるのですから。

そうなったら、どうなるか。

将来は、人間が運転しているタクシーには、誰も乗りたがらないかもしれません。


そしてここでひとつ、大事なポイントがあります。

それは、人々が求める性能や安全を担保しているのは、精緻なセンサーを積んだコンピュータである、ということです。

車体ではないのです。

もっと言ってしまえば、ソフトウェアであり、OSです。

テスラの車で人々が何より喜んでいるのは、アプリがどんどんアップデートされ、自動運転機能を含めたサービスが進化していることです。

これこそが、テスラの価値なのです。

もちろんデザインも大事ですが、車体というハードウェアが先に来るわけではない。


これはiPhoneのみならず、どこかで目にした光景ではないでしょうか。

そうです。

パソコンです。

パソコンの世界で大きな利益を手にしたのは誰か。

一方で、買い叩かれたのは誰か。

前者はソフトウェアの会社、OSの会社であり、後者がハードウェアの会社だったのではないでしょうか。

ハードウェアの会社はグローバル競争にさらされ、新興勢力にどんどん追い詰められていきました。

日本のパソコンメーカーは儲からなくなってしまいました。

中国製も韓国製も、横並びになってしまった。


自動運転はいろいろな会社が開発していますが、おそらく世界で3,4社に絞られるでしょう。

このOSが、ハードウェアを選ぶ時代になるということです。


これは、馬車の時代に車を、ガラケーの時代にiPhoneをバカにしていたのと同じことです。

既存の技術を守るためのバイアスこそ、最も危ないものです。


『シリコンバレーのVC(ベンチャーキャピタリスト)は何を見ているのか』東洋経済新報社
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山本康正氏は、これまでの「ビジネスモデル」は通用しなくなる、という。

その例として次のような項目を挙げている。

◆テレビ局はネットに取って代わられる前に先手を打たなければならない

◆生産者直営でないリアル小売業は少なくなり、「体験」をする場所になる

◆仲介斡旋業はネットのレビューに置き換えられる

◆金融を脅かす「アップルカード」の衝撃

◆銀行の機能の大半が置き換えられる

◆「ハイパーループ」の時代には大阪−東京間で「航空」業界はなくなる


そして、VCとして、今、どのような技術、ベンチャーに注目しているかについて…

「サブスクリプション」「5G」「自動運転」「テスラ」「AI(人工知能)」「信用スコア」「人工肉」


自動車王のヘンリー・フォードはこう言った。

「なにが欲しいかと顧客に尋ねていたら、『足が速い馬』といわれたはずだ」

人々はみんな、実際に”それ”を見るまで、”それ”が欲しいかなんてわからないものなんだ。

だから私は、市場調査に頼らない。

私達の仕事は、歴史のページにまだ書かれていないことを読み取ることなんだ。



世界がものすごい勢いで、目まぐるしく変わっているのに、未だに、日本では業界や団体の既得権益を守るために、変化しようとしないところがあまりにも多い。

歴史を見ればわかるが、変化とは、「旧が新」に、「老人が若者」に、「小が大」に取って変わることだ。


グーグルのエリック・シュミットは、競合はどこか、と聞かれて、かつてインタビューでこう語っていた。

「今、一番怖いのは、ガレージで何かをやっているヤツだ」


今まさに、テクノロジーにより、ほぼすべての産業や業界が、急速に変わろうとしている。

つまり、「本業がずっと同じだなんて、ありえない」。


時代の変化に乗り遅れず、そして、新たな変化を起こすために…

常に、最新のテクノロジーを学び続け、変わり続けることを恐れない「人や会社」でありたい。






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