これ!どう思います?

マスコミがあまり報道しない様な問題を、私なりに考えてみます。

憲法第九条の改正議論を始める前に

2021-11-27 09:33:39 | 政治
【はじめに】
 先日の衆議院選挙で憲法改正に賛同する政党が、衆参両院で憲法改正の発議が出来る2/3以上の議席を獲得しました。 11月19日に、岸田首相は「憲法改正実現本部」を立ち上げました。

 第九条の改正議論が近々始まると予想されるので、私の考え方を公表することにしました。

【立憲民主党と憲法改正議論】
 現在・立憲民主党は代表選挙中ですが、来年の参議院選挙と同時に憲法改正の国民投票が実施される事を予想して、代表を選ぶべきだと私は思います。 枝野幸男氏が進めた「共産党と社民党との連携」で国民投票に臨んだら大敗してしまうのでは?と私は予想しています。

 憲法改正議論が活発化したら、各テレビ局は討論会を放映するでしょうが、立憲民主党からの出席者が真面(まとも)な議論が出来るでしょうか? 共産党と社民党は、第九条を宗教の聖典の一節の様に語ります。この2党と同じ論法では、立憲民主党は埋没してしまいそうです。

【日本国憲法】
 敗戦後に日本の保守派政治家達は、「GHQが天皇の戦争責任を追及するのでは?」と恐れていたと想像しますが、46年2月にGHQが提示した英文の憲法草案では『象徴天皇』として認められる事になっていました。 私見ですが、吉田茂は「天皇制さえ認めてもら得れば、日本の共産化を防ぎ、内政を安定化出来る、この際はGHQ案を丸呑みしておこう、将来改正すれば良い!」と判断したと思います。

 GHQは、旧日本軍を取り敢えず解体するために『第九条』を盛り込んだのだと思われます。有史以来、数千万人の人口を抱える大国が、軍隊を持たなかった例は有りません。GHQも「日本人は将来、第九条を改正して、軍隊を持つだろう」と考えていたでしょう。

 国家予算の乏しい日本にとっては、第九条は有難い規定になりました。 朝鮮戦争やベトナム戦争への参戦を避ける口実に出来、自衛隊を設立した後は軍事予算を増やさない口実にも出来たのです。 戦後の経済発展と科学技術の発展は、『第九条』のお蔭だ!と言っても過言では有りません。

 米ロ冷戦が始まって、日米は『奇妙奇天烈』な関係になりました。第九条を押し付けたアメリカが、「日本は軍隊を持て!」、「軍事予算を増やせ!」、「国際紛争に軍隊を派遣しろ!」、「アメリカからもっと兵器を買え!」・・・と要求してきたのです。

 米ロ冷戦は終わりましたが、ロシアは今でも覇権主義国家で、21世紀になって中国が台頭してきて→軍備を急速に拡充しています。そして、米中冷戦時代に入ろうとしています。日本は何時までも、『九条の傘』で雨を凌ぐ事は出来ません。

★ 45年8月 :敗戦(ポツダム宣言を受諾)
★ 46年2月 :GHQが英文の憲法草案を提示
★ 46年5月~48年11月 :極東国際軍事裁判(東京裁判)
★ 46年5月 :第一次吉田内閣
★ 46年11月 :日本国憲法を公布
★ 47年4月 :新憲法下での最初の衆議院選挙(社会党・片山哲内閣)
★ 47年5月 :日本国憲法の施行

(余談 :大日本) 韓国は『日帝』と問題にしますが、『大日本帝国』とは通称の国名で、旧憲法や法律で規定されていません。正式な国名は『大日本国』です。旧憲法は『大日本帝国憲法』ですが、「大日本の帝国憲法」の意味で、「大日本帝国の憲法」と言う意味では有りません。

 『大日本』は死語の様になっていますが、現在でも天皇が公式文書に押す印鑑『国璽(こくじ)』は『大日本国璽』となっています。 (因みに、日本の国璽は金印です。)

【憲法第九条の原文】
第二章 戦争の放棄 :戦争の放棄と戦力及び交戦権の否認
第九条 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
2 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。

(解説) 第九条の文字を追っ掛けても「何を制限/禁止しているのか?」分からないと思われます。多くの憲法学者の見解は、「❶武力で他国を侵略したり、❷武力を背景に他国を脅してはならない」、「❶と❷の為の軍隊は持ってはいけない」と九条は規定しているのだ!

 「2 前項の目的を達するため」と態々(わざわざ)記載したのは、自衛権は国際的に認められている権利だから、九条は自衛権を行使する為の軍隊を禁止していない・・・これが歴代政府の見解で、一部の憲法学者も支持しています。

 各国の軍隊は『〇〇国軍』や『✕✕国防軍』が正式名称です。例えば、アメリカは『合衆国軍( United States Armed Forces)』です。 日本は、自衛権を強調するために『自衛隊( Japan Self-Defense Forces)』と『防衛省(Ministry of Defense)』を正式名称にしています。

(私見) 第二次世界大戦後の兵器の進歩は目覚ましいです。 防衛出来ない兵器がドンドン開発されています。 防衛省は口を濁しますが、最新の攻撃ミサイルは迎撃ミサイルでは撃ち落とせません。 北朝鮮は、日本が保有する迎撃ミサイル・システムでは対応出来ないミサイル開発に注力しているのです。

 攻撃兵器が進化したために、専守防衛と言う考え方が成り立たなくなっているのです。 その為に、近年「日本を狙ってミサイルが発射される兆候が有ったら敵基地を先制攻撃する能力を、自衛隊は持つべきだ!」と主張する人達が増えてきたのです。

【国際連合憲章の第51条】 自衛権
 「自衛権は国際法で認められている権利である」とよく言われますが、国際連合憲章の第51条の規定を指しています。 ウイキペディアに記載されていた訳文を、以下に転記しておきます。

 第51条 この憲章のいかなる規定も、国際連合加盟国に対して武力攻撃が発生した場合には、安全保障理事会が国際の平和及び安全の維持に必要な措置をとるまでの間、個別的又は集団的自衛の固有の権利を害するものではない。この自衛権の行使に当って加盟国がとった措置は、直ちに安全保障理事会に報告しなければならない。また、この措置は、安全保障理事会が国際の平和及び安全の維持または回復のために必要と認める行動をいつでもとるこの憲章に基く権能及び責任に対しては、いかなる影響も及ぼすものではない。

【軍隊とは?】
 「自衛隊は、専守防衛が任務だから軍隊では無い」と言うのが歴代政府の見解です。揚げ足を取った見方をすると、「他国の軍隊は先制攻撃をして、他国を壊滅するのが使命だ」と言っている様に聞こえます。 そもそも・こんな議論をするのは世界広しと言えども日本だけです。

 自衛隊が軍隊で無いと他国に主張しても、全く通用しません。 アメリカの軍事分析会社『グローバル・ファイヤーパワー』の2021年の報告では、自衛隊の軍事力は世界第5位です。

 百歩譲って「自衛隊は軍隊では無い」と認めたら、国連から要請が有っても自衛隊を紛争地域に派遣してはいけない事になります。 捕虜の取り扱い(保護)については、ジュネーヴ条約の中の第3条約に規定されています。この規定が適用されるのは、軍人と・それに準ずる組織のメンバーに限定されています。 紛争地域に自衛隊を派遣する時、歴代の政府は派遣先の国で「自衛隊は軍隊で有るから、万一・捕虜になってもジュネーヴ条約に従って保護されるべきで有る」と主張しています。 国内では「自衛隊は軍隊では無い」、海外では「自衛隊は軍隊だ」と説明せざるを得ないのです。

・・・ グローバル・ファイヤーパワーの2021年軍事力ランキング ・・・
1位 :アメリカ・・・核保有国
2位 :ロシア ・・・核保有国
3位 :中国  ・・・核保有国
4位 :インド  ・・・核保有国
5位 :日本
6位 :韓国
7位 :フランス・・・核保有国

(余談 :捕虜に関する法律) 殆ど話題になりませんが、日本にも捕虜に関する法律が有ります。 『武力攻撃事態及び存立危機事態における捕虜等の取扱いに関する法律』;2004年公布。 然し、「紛争地域で自衛隊が捕虜として捉えた人間をどう取り扱うのか?」、政府見解を聞いた事が有りません。

日本の軍事費 :イギリスの有力シンクタンクである国際戦略研究所(IISS)の年次報告書「ミリタリー・バランス」では、2020年の日本の軍事費(防衛費)は世界第8位でした。

【軍隊の要否を議論すべき!】
 今後・憲法第九条の改正を議論する場合は、従来の政府見解を全て無かった事にして、「軍隊が必要か?」、「軍隊は不要か?」を真正面から討議すべきだと私は考えます。

 共産党だけ明確な主張、「段階的に自衛隊を縮小して、将来は完全に廃止する」、「国連から国際連合平和維持軍(PKO)の派遣要請が有っても、応ずるべきでは無い」と言っています。 社民党は自衛隊は違憲だと主張しています。 れいわ新選組は、九条の改正には反対を表明していますが、自衛隊を廃止しろとは言っていない様です。

 「憲法九条で軍隊を持つことが禁じられているから、自衛隊は廃止すべきだ!」と言う方がおられたので、「憲法九条が無かったら、貴方は軍隊を持っても良いと思われるのですか?」と聞いて見ました。 彼は黙ってしまいました。

 日本の周辺には、❶核爆弾とミサイルの開発に全力で取り組んでいる北朝鮮、❷核爆弾を1,000発まで増やそうとしており、兵器の開発に目覚ましい成果を上げている中国、❸核爆弾を6,500発も保有するロシアが有ります。

【夢想の世界に生きるのか?】
 田島陽子先生は、「何でも、話し合って解決しよう!」と主張されます。堀江貴文氏は、「中国が欲しいと言うのなら、尖閣あげちゃえば!」と昔・言いました。 「他人は危害を与えない」と言う夢想の世界(夢とファンタジーの世界)に生きる方が良いと考えるのは個人としては立派な生き方です。 然し、国家の使命の一丁目一番地は、「他国の侵害から国民の生命と財産を守る事」ですから、為政者は現実の世界で考え/対処する必要が有ります。

 田島先生を日本国の特使として北朝鮮に派遣しても、成果が得られないのは明らかです。 自衛隊を解散させたら中国が尖閣諸島に上陸するのも明らかです。 堀江氏は、「沖縄も欲しいと言うのだったら、あげちゃえば!」と言うのでしょうか?

【軍隊を持たない国】
 現在・軍隊を持たない国が存在します。全て小国で、近隣の国に国防を委託しているケースが多いいです。 人口34万人のアイスランドは軍隊を保有していませんが、北大西洋条約機構(NATO)に参加しています。人口127万人のモーリシャスには、警察(≒8,000人)の他に治安部隊(≒1,500人)が有ります。 モーリシャスの人口は日本の1/100ですから、警察官がとんでもなく多い国だと言えます。(日本の警察官は30万人弱です。)

【軍隊を持たない国になったら!】
 憲法改正の国民投票で、「日本は軍隊を持たない」と決まったらドンナ事になるのか?」想像して見て下さい!

・・・ 自衛隊廃止のメリット ・・・
 自衛隊を廃止したら、国防費を科学技術分野や工業分野に回す事が出来ます。米軍基地は直ぐには返却されないと予想しますが、将来は米軍は撤退するでしょう。 米軍が撤退したら、北朝鮮が日本を攻撃する恐れは無くなるでしょう。

 自衛隊と米軍の基地を、有効に利用出来る様になります。元気溌溂な自衛隊員が経済活動に参加する事になります。 単純に考えれば、軍隊を廃止したら日本の経済は発展しそうです。

① 国防費(2020年≒、53,400億円)→他の用途に回せる。
② 思いやり予算(国防費の一部)(2020年≒、2,017億円)→他の用途に回せる。
③ 米軍基地が返却され→有効活用が出来る。
④ 自衛隊の基地を廃止する→有効活用が出来る。
⑤ 隊員(≒25万人)が経済活動に参加できる。

・・・ 自衛隊廃止のデメリット ・・・
 「他国が日本の領土を取りに来ない」、「武力を背景に日本に不利な要求を呑ませようとはしない」との考え方に立てば、自衛隊を廃止するデメリットは殆ど無いと思います。

 万一、尖閣諸島、太平洋の島や沖縄を要求してきても、「上げたら良い」との考え方も成り立ちます。 この考え方に賛同されますか?

 中国とロシアは紛争国に軍隊を派遣して、その国を取り込もうとしています。「遠いい国がどうなろうと」、「国際秩序がどうなろうと」どうでも良い。 自衛隊を廃止する事は、「兎に角、紛争には関わらないでいよう!」と言うスタンスを選択するのと同じです。

 自衛隊を廃止したら、米軍基地が日本に存続していても、アジア地域の軍事バランスは極めて大きく変化します。中国は好き放題に出来る様になり、台湾へ進攻すると思われます。 台湾から難民が沢山・日本に来る可能性が有ります。 難民に紛れて兵器を持った台湾兵が入って来る可能性が有ります。 警察と海上保安庁で対応出来るでしょうか?

 日米の貿易収支は、(2020年を除いて)日本が大幅な黒字が続いています。 アメリカから高価な兵器を国家予算で(言いなりの値段で)沢山輸入して、黒字幅を減らして来ました。自衛隊を廃止したら、兵器の輸入が無くなります。 日本の貿易黒字を減らす、別の手段を考え出す必要が有ります。 何も対策しなかったら、日米貿易戦争が始まります。

❶ 国家が国民の生命と財産を守れなくなる。
❷ 軍事同盟が破棄される。
❸ アジアの軍事バランスが大幅に変化して、中国の脅威が高まる。
❹ 国土の防衛が出来なくなる。
❺ 国連平和活動に参加出来なくなる?
❻ 武力革命を防止出来るか?
❼ 災害対策部隊の創設が必要になる。

【私の第九条改正案】
 第九条の3項として、「3 自衛権を行使するための軍隊は保有する。」と追加すべきか?否か?を国民投票に掛ければ良いと私は考えます。賛成多数だったら、『日本軍』と『国防省』に名称を変えるべきです。

 否決されたら、『自衛隊』と『防衛省』のままの現状維持が良いと考えます。軍隊を持つか?、無くすか?を国民投票に掛けるのはリスクが大き過ぎます。 軍隊を保有しない大国が、有史以来存在した例が有りません。 「日本で、軍隊を保有しない大国が存続出来るか?否か?」をテストする事には大反対です。



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