MARU にひかれて ~ ある Violin 弾きの雑感

“まる” は、思い出をたくさん残してくれた駄犬の名です。

Beethoven の弦楽五重奏曲

2010-05-06 00:00:00 | 私の室内楽仲間たち

05/06 私の音楽仲間 (165) ~ 私の室内楽仲間たち (145)



     Beethoven の弦楽五重奏曲ハ長調 作品29




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                 自由に、繊細に
                遊びは似合わない?




 土掘爺焼先生もお帰りになり、休憩後は不得賭豊富円
先生の作品です。

 この曲の演奏の機会は大変少ないようです。



 曲のジャンルは弦楽五重奏曲ですが、このうち、作曲者が
"ちゃんと完成した" と言えるのは、この『ハ長調 Op.29』が
唯一のものです。 この編成 (2Vns., 2Vas., Vc.) で作られた
曲が、他に無いわけではないのですが。



 Beethoven の他の "弦楽五重奏曲" を見てみると、まず
『変ホ長調 Op.4 (1795年作曲/1796年出版)』は、管楽器用
の八重奏曲を書き改めたものです。 また『ハ短調 Op.104
(1817年作曲/1819年出版)』は、自身のピアノ三重奏曲を、
他の作曲家が編曲したものだそうです。

 他には、『フーガ ニ長調 Op.137 (1817年作曲/1827年
出版)』が、単一楽章として残されているだけです。



 作曲者は晩年、『(最後の) 弦楽四重奏曲 第16番
ヘ長調作品135
』を完成した後に、弦楽五重奏曲を
作曲しようとしました
が、叶いませんでした。 Mozart
も Brahms も、最後は五重奏の世界に傾倒していった
様子を見ると、そこには何か、作曲家たちを惹きつける
魅力があるのでしょうか。




 この『弦楽五重奏曲 ハ長調 Op.29』は、1800~01年にかけて
作られ、1802年に出版されています。 作曲者がちょうど30歳を
越えた頃の作品で、『交響曲第1番ハ長調 Op.21 (1800年初演)』、
『6曲の弦楽四重奏曲集 Op.18 (1801年出版)』の直後に当ります。




 改めて今回調べてみるまで、この曲の存在さえ知らなかった
私…。 音を出してみて「なるほど!」と、まず感じました。 曲の
造り、語法、どれを取っても上記の作品との関連を思わせます。

 またその響きが、『三重協奏曲』 (ピアノ、ヴァイオリンとチェロ
のための協奏曲 ハ長調 Op.56、1803~04年作曲、1807年出版、
1808年初演) さえ連想させるのは、曲が同じハ長調で書かれて
いるからでしょうか。 第Ⅰ楽章冒頭のテーマの、低い音の動き
「Do - Si -Do」も、何となく似ています。 終楽章に、ポロネーズ
(三重協奏曲)、行進曲(五重奏曲) のような、親しみ深い曲調を
用いている点でも共通しています。



 メンバーは5人。 顔ぶれは休憩前と同じですが、パート
が入れ替わります。 Violin はC.S.さんと、前半は Viola
を弾いていたSa.さん。 私は今度は Viola を持ちます。
Viola のS.さん、チェロのSa.さんはそのままです。

 曲を発掘、紹介してくれたのはC.S.さん。 お蔭で、大変
得難い曲を体験することが出来ました。




 この曲、欧米では、ときに『嵐』という副題で呼ばれている
ようですが、これには一体どういう由来があるのでしょうか?
終楽章がそんな雰囲気を感じさせなくもありませんが。
    (ご存知の方からご教示いただければ幸いです。)




 全体は、次の各楽章から成っています。

Ⅰ : ハ長調 4/4拍子 Allegro moderato

Ⅱ : ヘ長調 3/4拍子 Adagio molto espressivo

Ⅲ : ハ長調 3/4拍子 Scherzo、Allegro

Ⅳ : ハ長調 6/8拍子 Presto




 音源です。



Ⅰ Allegro

  [at Sidney & Berne Davis Art Center



Ⅳ Presto

  [Zukerman Chamber Players