MARU にひかれて ~ ある Violin 弾きの雑感

“まる” は、思い出をたくさん残してくれた駄犬の名です。

頭の体操 (22) 漢字クイズ 問題/解答 より

2009-10-10 00:00:01 | 音楽演奏・体の運動

10/10    頭の体操 (22) 漢字クイズ



 これまでの音楽演奏・体の運動』目録 です。




(8) メルツェル (P) 雌留杖流

 メトロノームの発明者として知られています。

 最初にこれを使った Beethoven は、極めて速い数字を残して
います。 そのとおりに演奏すると、実現が不可能なことさえ
あります。 これは、どう考えればいいのでしょうか?

 彼は、実生活がハチャメチャだったと言われる反面、作曲の
筆致は大変論理的で、整然としています。

 しかしテンポ感には、その人の気性が表われます。 それに
ご存知のとおり、彼は演奏家としてはピアニストでした。 この
楽器、ある意味では「指先の回りだけで音が出せる」楽器でも
あり、また音は持続しません。 現に、ピアノ出身の指揮者は
テンポが一般に速めです。 もちろんそれで良くはありません。
優れたピアニストは、時には身体全体を使い、弦楽器以上に
ゆったりと歌います。

 音楽の創作者、記録者として優れた作曲家と言えども、一人
の人間。 いくら客観的に見える "メトロノームの数字" でも、
それは "その人の心臓の鼓動" が感じた数字に過ぎません。
それをそのまま信じても、広く聞き手の心を打つ演奏がいつ
でも生まれるとは、とても思えないのです。

 数字は、"名演を保証する免罪符" ではありません。 演奏家
がテンポを決める際、もっとも頼るべきは "自身の持つ音感覚"
です。 指揮者とて例外ではありません。

 ちなみに私自身は、こと Beethoven に関しては、数字からは
主にテンポの "前後関係" についてのみ、ヒントを得るように
心がけています。 もちろん大天才に敬意を表して、「やはり
自分が間違っているのではないか」と自問自答しつつですが。

 Beethoven さん、お赦しください。




頭の体操 (22) 漢字クイズ 問題/解答

2009-10-10 00:00:00 | 頭の体操 漢字クイズ

10/10      頭の体操 (22) 漢字クイズ




        『これまでのカタカナ語句には、

        カタカナ部分のみ各回ごとに載っており、

         それぞれの記事に飛ぶことも出来ます。

   「古い記事 (トップ) → 新しい記事 (奥)」 の順に並んでいます。




      『頭の体操 漢字クイズ』 カテゴリーでは、

     『問題・解答』の全文が直接ご覧になれます。 こちらは

      「新しい記事 (トップ) 古い記事 (奥)」 の順です。





 07/12 ~ 07/16 に登場した外国語の人名、地名、用語が、
カタカナ表記で (1) ~ (23) に、登場した順に並んでいます。


 また、(A) ~ (W) に並んでいるのは、それぞれを漢字で
表記
しようとしたものですが、どう読めばいいでしょうか?



(1) アナウンサー       (2) マス・ゲーム

(3) シンクロナイズド・スイミング    (4) シアトル・マリナーズ

(5) コックス    (6) プレゼンテーション    (7) オリンピック  

(8) メルツェル    (9) プレスト    (10) ターフェルムズィーク

(11) クヴァンツ    (12) ディッタースドルフ    (13) ラウドン

(14) ロンドン     (15) バイリンガル     (16) ルードルフ

(17) チェルニー (18) ライン (19) ブルッフ (20) ロマンティック

(21) マンフレッド     (22) アイヴズ     (23) シンディング



(A) 裸飲   (B) 論貪   (C) 児尽   (D) 魔凄笑   (E) 裸雨曇

(F) 唄鈴借    (G) 智得児    (H) 牡牛負    (I) 慢触怒

(J) 愛婦図   (K) 寝天狗   (L) 露慢酊口   (M) 流烏弗負

(N) 苦不安頭  (O) 不礼掏盗  (P) 雌留杖流  (Q) 王林必喰

(R) 悪今運差     (S) 車盗鞠無図     (T) 触禅庭師怨

(U) 多増無頭育 (V) 出痛明日弗富 (W) 真黒内頭塗酔眠愚




[解 き 方]


  ・ 漢字を読み、主にその音を用いて、原語での発音を表わそうと試みた
   ものです。

  ・ 音読み訓読みが混ざっています。 必要な場合は、濁点()、
   半濁点()、送り仮名を補ってください。

  ・  従来のカタカナ表記による読み方とは、必ずしも一致しない場合が
   あります。

  ・  音ではなく、単語の意味を外国語に置き換え、その発音を用いる
   こともあります。 「星 → スター」、「太陽 → サン」のようにです。
    今回は英語などがか所あります。

  ・ 口語的俗語的にくだけた読み方をすることもあります。
   (例) 「汚 → きたねぇ」、「社長 → ボス」。
    今回はありません。

  ・ 漢文もどきに、順番を入れ替えて読む場合もあります。
   (例) 「不読 → よまず、よまん、よまない」。
    今回はか所あります。

  ・ 漢字の中には、“”、”” ともに含まれている場合もあります。 
   人名に加えて "first name" をご自分で補ってください。
    (今回はその必要はありません。)
   (例) 「ヨーゼフ・シュトラウス」。

  ・ 音や意味とは無関係で、漢字から連想しないと解けないものも!
    今回はありません。

  ・  厳密に見るといい加減なものもありますが、そこは冗談の世界。
   お見逃しくださいませ。



   解答
    ↓





(1) アナウンサー (R) 悪今運差

 「勝負事には運がつきもの」と言われます。 人生にも?
「ちょっとしたで…」と言いたくなることもあるでしょう。
"勝ち組"、"負け組" という言葉さえあります。

 "運が悪かった" 後には、でも何らかの教訓が残ります。
そのうちに『"悪運" が強くなって味方してくれる』かどうかは
解りませんが、いつもベストだけは…。




(2) マス・ゲーム (D) 魔凄笑

 それ自体は素晴らしいのでしょうが、どうしても手放しで
好きにはなれません。 目的や団体の如何によっても違う
でしょう。 また一人一人の構成人員が、意義や楽しさを
感じていればいいのですが。

 「失敗したら、一体どんな仕打ちを受けるのだろう?」
そんなことが気になってしまい、見ていても楽しめない場合
があります。

 オーケストラがそう思われるようになったらお終いですね。
プロでもアマでも。




(3) シンクロナイズド・スイミング (W) 真黒内頭塗酔眠愚

 8~10人というのは、個々が自発性や楽しみを感じられる
かどうかの、一つの境目になる数字ではないでしょうか。
統制、管理、強制…などの言葉がちらつき出したら、危険な
状況かもしれません。 特にアマチュアではそうですよね。




(4) シアトル・マリナーズ (S) 車盗鞠無図

 イチロー選手城島選手の所属する球団です。

 観客席でホームラン・ボールの取り合いになり、警察沙汰に
なる一部始終が、先日テレビ中継に映っていました。 アメリカ
大リーグの話です。

 記録の節目の記念ポールなら、車上狙いの対象になること
もあるかしら…?




(5) コックス (C) 児尽

 子尽すのか、子尽すのか? それ次第で意味は
だいぶ違ってきます。 「親の方が尽くさねばならぬ」と
私も思っていますが、さて、実態は…?

 コックスは、ボート競技の重要なポジションの一つです。




(6) プレゼンテーション (T) 触禅庭師怨

 最近は、企業や研究の場での "発表" を表わすことが多い
ようです。 もともとは "差し出す" という意味から派生します。

 この "present"、「名詞と動詞ではアクセントの位置が違う
単語の一つ」と教わったのは、中学校時代。 その教師には
いまだに感謝しています。




(7) オリンピック (Q) 王林必喰

 2016年の東京招致は叶いませんでした。 私は、心から
リオ・デ・ジャネイロ市に、「おめでとう、頑張れ」と言いたい
と思います。 「整備された環境」という点で、他の都市には
負けるとしてもです。 著しい "自然環境破壊" につながら
ないことを祈りますが。

 現地は南半球なので "冬のオリンピック" になるのでしょう
か。 都市の名は、ポルトガル語で "River of January" の
意味だそうです。

 ところで "王林" は、私が大好きなリンゴの品種です。
英語圏には "An apple a day keeps the doctor away"
(一日に リンゴ一個は 医者泣かせ) なる諺があり、がん
(大腸、前立腺、肺など) のリスクを軽減すると言われて
います。

 何はともあれ、いただきます。 バリン!

    関連記事
      グリンカの青りんご ①
      グリンカの青りんご ②
      ピョートル君の青りんご




(8) メルツェル (P) 雌留杖流

 メトロノームの発明者として知られています。

 最初にこれを使った Beethoven は、極めて速い数字を残して
います。 そのとおりに演奏すると、実現が不可能なことさえ
あります。 これは、どう考えればいいのでしょうか?

 彼は、実生活がハチャメチャだったと言われる反面、作曲の
筆致は大変論理的で、整然としています。

 しかしテンポ感には、その人の気性が表われます。 それに
ご存知のとおり、彼は演奏家としてはピアニストでした。 この
楽器、ある意味では「指先の回りだけで音が出せる」楽器でも
あり、また音は持続しません。 現に、ピアノ出身の指揮者は
テンポが一般に速めです。 もちろんそれで良くはありません。
優れたピアニストは、時には身体全体を使い、弦楽器以上に
ゆったりと歌います。

 音楽の創作者、記録者として優れた作曲家と言えども、一人
の人間。 いくら客観的に見える "メトロノームの数字" でも、
それは "その人の心臓の鼓動" が感じた数字に過ぎません。
それをそのまま信じても、広く聞き手の心を打つ演奏がいつ
でも生まれるとは、とても思えないのです。

 数字は、"名演を保証する免罪符" ではありません。 演奏家
がテンポを決める際、もっとも頼るべきは "自身の持つ音感覚"
です。 指揮者とて例外ではありません。

 ちなみに私自身は、こと Beethoven に関しては、数字からは
主にテンポの "前後関係" についてのみ、ヒントを得るように
心がけています。 もちろん大天才に敬意を表して、「やはり
自分が間違っているのではないか」と自問自答しつつですが。

 Beethoven さん、お赦しください。




(9) プレスト (O) 不礼掏盗

 イタリアで TAXI に "Presto !" と言うと飛ばしてくれるそうです。
じゃ、「フェルマータ!」だと動かないのかな?

 「海外旅行中の邦人は無防備だ」とよく言われます。 日本
はそれほど治安が悪くないからでしょうか。 極端な例では、
「指を切断して指輪を盗む」という話さえ聞いたことがあります。
"Do in Rome as Romans do" (郷に入っては郷に従え) はごめんです。

 「女性の二人連れを、見知らぬ一人の男が誘う」のは、一番
危険なパタンなのだそうです。  これらは実際に Roma の話
ですが、イタリアの名誉のために言っておくと、「危険なのは
Roma に限りません。」 もちろん我が国でも。 気を付けるに
越したことはありませんね。




(10) ターフェルムズィーク (U) 多増無頭育

 「い子にった…。」 と言うと、どなたも私のことだと
お思いでしょう。 また麻雀の好きな方には、"頭" と言うと別の
意味があります。

 でもここでは "食音楽" のこと。 話題は一気に高尚になり、
ヨーロッパの貴族のための雰囲気作りの音楽です。 何しろ
昔はテレビもCDもありませんでしたから。

 え? 「雀なら中国にあったよ」って?

 ハイハイ、テーブル麻雀のことですね…。 そう言えば私も
久しくやっていません。

         関連記事  Y君に逢えない




(11) クヴァンツ (N) 苦不安頭

 大バッハ、ヘンデルと同世代。 年齢は "一周り" 下で、
不利意図理非大王を語る際に欠かせない音楽家です。

 大王が冷遇し、絶えず失職の危険に晒されて「不安
に怯えていた」という新説は、まだ証明されていません。




(12) ディッタースドルフ (V) 出痛明日弗富

 建ての財産があるなんて羨ましい…。 出したくても出る
ものが無くては、心はもっと痛みます。

 Violin の巨匠でありながら、フルート、コントラバス、ハープ
など、オーケストラ・スコアの隅っこに追い遣られがちな楽器
のための作品があります。 特にコントラバス奏者にとっては
貴重なレパートリーを残してくれました。




(13) ラウドン (E) 裸雨曇

 愛国者ハイドンが交響曲を捧げた軍人です。 ドイツ人で
ありながらオーストリアに仕官したのは、前述のフリートリッヒ
大王との確執も一因と言われます。

 それより、そろそろ温かい "裸饂飩"…じゃない、"すうどん"
のおいしい季節ですね。 ちなみに私は "うどん" を漢字で
書けません。 どう考えても無理です。 何しろ "馬" だって
書けないんですから…。

 この漢字、あちこちに "ひっかけ" があり過ぎます。




(14) ロンドン (B) 論貪

 一転してこちらは、議会制民主主義と言えば必ず引き合いに
出される地です。 "論" や "論" では太刀打ちできません。

 ちなみに高首領には『ロンドン交響曲』の名で親しまれて
いるシリーズの傑作がありますね。

 新しいところでは、防音雨入嗚呼蒸の『ロンドン交響曲』も
忘れられません。 この曲では、「ロンドンの霧と湿気が音で
巧みに表現されている」のだそうですが…?




(15) バイリンガル (F) 唄鈴借

 風鈴にせよ、またちっぽけなものであれ、澄んだ鈴の音ほど
美しいものはありません。 巧みを凝らした人工の音色では
なく、自然と一体となった鳴り方に引き込まれるからでしょうか。

 ところで、"歌う骨" と言えばこの曲。 一転して恐ろしい話
になります。




(16) ルードルフ (M) 流烏弗負

 「待ってくれ! けた金は必ず返す。 だから、この命、
一日だけ預からせてくれ!」

 「てやんでえ! 金なんぞ、待ったって降って湧くもんじゃ
ねぇんだ。 潔くこの場で腹、くくってみろ!」

 何やら殺気立った賭場の風景です。 自分の命をカタに
したものの、けて金が払えない、の黒吉。 路用
の金子 (きんす) は、先ほどの負けで尽きてしまいました。

 「そんなことはネェんです! 明日になれば、俺の建て
定期預金が期になるんだ。 銀行の窓口が開くまで、あと
九時間だけ待ってやっておくんなせぇ! この場は何とか
円満に…。」

 「出まかせ並べるんじゃねえよ。 明日は休業日だろ、
銀行の。 さあ、覚悟しな。」




(17) チェルニー (G) 智得児

 「脳の成長は3歳頃までが重要である」という考え方が
あり、三歳児神話と呼ばれます。 またこれに付け込み、
"赤ちゃんのための発育教材" などと銘打つ、玉石混交の
商品が乱舞していますね。

 この "3" という数字が誤解を生み、「三歳までを完璧に
育てる」ことが、『三つ子の魂百まで』という諺の意味だ
と思われてしまうことがあります。

 本当の意味は、
「幼いころの性格は、年をとっても変わらない」ことですが、
結局は同じようなニュアンスですね。 どう区別したものか
考え込んでしまいます。

 三歳児の方が賢かったりして…。




(18) ライン (A) 裸飲

 すぐ目の前を流れるライン。 右から左へと、ものすごい速さ
です。 しかも対岸が見えません。 そう、川幅が太いんです!

 日本で急流と言えば傾斜が急で、幅は狭いのが当たり前。
しかし、ここは平地のど真ん中。 後から後から押し寄せる
物凄い水量に、めまいさえ感じます。 「魔物がいるよ」と
言われれば、そう信じてしまいそうです。

 幾多の伝説や文学作品、楽曲を生んだ河。 その由来の
一端を感じた、私の小さな体験。 演奏旅行で立ち寄った
デュッセルドルフでのこと。 私の固定観念を突き崩した、
自然の景観の威容でした。




(19) ブルッフ (H) 牡牛負

 Violin のための『スコットランド幻想曲』、協奏曲、チェロ
のための『コル・ニドライ (神の日)』などが有名です。

 ところが、これじゃまるで闘ですね。 確かドイツの
作曲家でしたが…。

 そうそう、"牡牛" じゃない、"鈴凛" では、山田耕筰
の作曲の先生でもありました。




(20) ロマンティック (L) 露慢酊口

 普通は "浪漫的" と書かれますが、これではまったく洒落
になりません。 酔いに任せて軽口を叩くと、もはや舌と唇は
コントロール不能です。

 こんなことを言う資格、私にはまったくありませんが…。




(21) マンフレッド (I) 慢触怒

 バイロンの、哲学的とも言えるこの作品は、シューマンの
『マンフレッド』序曲、チ(ャ)ィコーフスキィの『マンフレッド』
交響曲を生む基となりました。

 その他にも、『コリントの包囲』、『チャイルド・ハロルドの
巡礼』、『タッソーの嘆き』、『マゼッパ』、『二人のフォスカリ』、
『今生の別れ』は、ロッシーニ、ベルリオズ、リシュト、チ(ャ)
コーフスキィ、ヴェルディ、次項のアイブズなどに作曲の霊感
を与えています。




(22) アイヴズ (J) 愛婦図

 異色中の異色。 アメリカでなければ生まれなかった作曲家
で、またアメリカ以外では生まれなかった作品ばかりでしょう。

 事業の成功と、作風の変遷の間には深い関係があると考え
られます。 その評価については、いまだに賛否両論が国内
でも渦巻いています。 




(23) シンディング (K) 寝天狗

 ノルウェーの作曲家。 今日では主に抒情的なピアノ作品で
知られています。

 なお北欧神話は、キリスト教到達以前の伝承神話で、独特
の世界観が示され、今日の北欧語の共通語であったとされる
古ノルド語で書かれているそうです。 そこで描かれているの
は大半が神々、王、英雄たちですが、狼、海蛇などに由来する
獣たちも登場します。

 一方で日本の天狗は、もともと中国に由来すると言われ、狗
(いぬ)、狐などの実像と想像とが交錯して生み出された、ある種
妖怪と言っていいでしょう。

 あ、全然関係ありませんでしたね。 人間の想像力は、時空を
超え、どこでも同じだなー、と感じます。 "寝狗" なら、ウチにも
いますが。

 あれ、どうしたの? まるチャン、何かヨウカイ?
お呼びでないよ、寝んねしてなさい…。




 今回も大変お疲れさまでした。