MARU にひかれて ~ ある Violin 弾きの雑感

“まる” は、思い出をたくさん残してくれた駄犬の名です。

二つのニ調とハイドン

2009-10-14 01:38:33 | 私の室内楽仲間たち

10/14 私の音楽仲間 (107)  ~  二つのニ調とハイドン


          私の室内楽仲間たち (87)




   この集いは、すでに何度かお読みいただいているグループです。

         これまでの 『私の室内楽仲間たち』



 今回のメンバーは、Violin が私、San.さん、Viola I.さん
チェロ Si.さん。 いずれもおなじみの方々です。


 最初の曲は Mozart の四重奏曲ニ短調 K.173 です。



 20を越える Mozart の弦楽四重奏曲には短調の曲が二つ
あり、ともにニ短調です。 この K.173 は私にとっては初めて
の曲で、全体は次の各楽章から成っています。


   第楽章 ニ短調 Allegro, molto moderato

     譜例


   第楽章 ニ長調 Andantino grazioso

     譜例 (下の奥へ)


   第楽章 MENUETTO, TRIO

     譜例 (さらに 186 をクリック)


   第楽章 ニ短調 FUGA : Allegro

     譜例 (さらに 189 をクリック)



 なお第Ⅲ楽章は、MENUETTO がニ調、TRIO (中間部)
がニ調です。



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 (34) Mozart の♭の響き ③ Mozart の短調のメヌエット

 (56)   Allegro vivace ①  ニ短調の "Allegro"




 さて、休憩まではまだ充分時間があります。 用意された曲は
やはり Mozart の、フルート四重奏曲第1番 ニ長調 K.285
です。 顔ぶれは同じメンバーです。


 「えっ!? 誰がフルートを吹くんだ? まさかお前じゃないだろ。」

 それが、私なんです。 と言っても、そのパートを Violin で弾く
だけです。

 フルートでなく、ホラを吹いてしまいました。 楽器自体は、家の
どこかに眠っているはずなのですが…。



 楽譜をお持ちの方はご存知と思いますが、Edition Peters
の弦楽四重奏曲集には、巻末にこの曲が掲載されています。
それも、フルート・パートと、Violin 用の譜面との両方が載って
いるのです。

 フルートを含む室内楽の、貴重なレパートリーだからでしょうか。
あるいは "売上政策" の一環なのでしょうか。



 このフルート・パート、Violin で弾いてみると、やはりなかなか
うまく行きません。 高音の 16分音符を「正確に、かつフルート
にヒケをとらぬように軽やかに」というのは、やはり私には大変
でした。 もちろん初めての体験です。

 この曲の通常の "Violin パート"、つまり "第二 Violin" に当る
ものなら、私も弾いたことはあります。 それと Viola パートも。
しかしチェロは弾けないので、"全パート制覇" はとても無理な
ようです。

 Violin からチェロまでこなす器用な方も、たまに見かけますよね。


 今回付き合ってくれた他のメンバーも、「パート譜があるのは
知っていたが、"Violin 四重奏" でやるのは初めてだ」と言って
いました。 これほど経験が豊富な方々でさえ。


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 (51) Mozart の ト長調 ① あまりやらないト長調



 この日は全部で3曲演奏することになっていましたが、
一番気がかりだった、この "フルート四重奏" が終わって
くれました!

 まもなくお茶の休憩。 これでおいしいお茶をいただけ
そうです。




 ところが実際は、休憩後にもう一曲、難物が控えていました。
それは ハイドンの弦楽四重奏曲第75番ト長調op.76-1です。


 この曲、私のパート (Vn.) を見てみると、とにかく細かい上下の
動きがやたらに多く、簡単ではありません。 "Adagio sostenuto"
の第Ⅱ楽章でさえ息が休まらず、最後には 32音符で駆け上がり
ながら、高音の Mi (加線6本) を美しく鳴らさねばなりません。

 やはりこのグループで一年ほど前に一度弾いていたから、まだ
いいようなものですが、難しいことには変わりありません。



 なおメンバーは、休憩前とは顔ぶれが変わり、Violin M.さん
Viola S.さんです。


 前半でもご一緒したチェロの Si.さんは、
「作品76 のシリーズはどれも名曲揃いですね」
と言っておられました。

 そういえば、"超有名" な『皇帝』は、Op.76-3 です。



 四重奏でもオケの曲でも、「ハイドンを整然と弾くことが
出来れば、それは大変なものだ」と、よく言われます。

 今回も、私自身それを痛感した次第です。



     関連記事  ハイドンの弦楽四重奏曲『皇帝』

  (17)   (18)   (19)   (20)   (21)




 以下の音源は、今回演奏した曲の一部です。



Mozart 弦楽四重奏曲ニ短調 K.173 

 第Ⅱ楽章 Andante Grazioso

  Chamber Music Camp of Portland for String & Piano
           July 6~10 2009




Mozart フルート四重奏曲ニ長調 K.285

  音源ページ