MARU にひかれて ~ ある Violin 弾きの雑感

“まる” は、思い出をたくさん残してくれた駄犬の名です。

誰が縁結び?

2009-07-28 00:06:28 | 私の室内楽仲間たち

07/28 私の音楽仲間 (83) ~ 誰が縁結び?

                   出逢いの妙 ③




          私の室内楽仲間たち (63)



         これまでの 『私の室内楽仲間たち』



             『ラズモーフスキィ』第

                   素通りする音
                  音楽すきィ伯爵
                   誰が縁結び?
                   厳しさと重圧
                    涙する長調
                 無骨さなら任せて…
                   61歳の試練
                    半拍の差
                    読者も踊る
                 忠ならんと欲すれば
                   ここにもロシア
                 悲しみよ こんにちは
              ロシアと張り合う Beethoven
                音の濃淡とアンサンブル
                   謎の美女 出現
                規律違反の癒し?
                  美女の素姓?
                  喪服の美女





 ある日の午後、都内の某所に8人の奏者が集まりました。
これから四人ずつ二部屋に分かれ、それぞれ弦楽四重奏
曲を楽しみます。

 前半の組み合わせは、Violin が私、M.さん
Viola がT.M.さん、チェロがSi.さんです。



 T.M.さんは、この場には二度ほど参加しておられます。
しかしその日には、あいにく私は参加していませんでした。
お目にかかるのは初めてということになります。

 「どうやったら楽器を、より楽に弾くことが出来るか?」
これをT.M.さんが絶えず真剣に考えておられるのが
わかったのは、後日になってからでした。




 これは、楽器を手にする者すべての関心事です。 多かれ
少なかれ、どなたでも考えざるを得ません。

 しかし大事なのは、それを "自分自身の言葉で" 考え続ける
ことではないでしょうか。 先生であれ、生徒であれ。



 誤解を恐れずに敢えて言えば、どんなに素晴らしい師の
教えでも、自分という主体を通して吸収するのでなければ、
「あまり意味が無い」。 私自身はそう考えています。

 微妙な問題ですね。




 ちなみにこの集まり、メンバーの数は全部で30名を越えます。

 その一人一人のスケジュールを把握し、月に何日か会場を
確保し、人員の組み合わせと曲目を調整し、全員と確実に
連絡を取り、譜面を頻繁に手配し、休憩時のお茶とお菓子を
用意し…。



 これをたった一人でこなしておられるのが、お世話係の
Sa.さんです。

 ご自分は Violin、Viola のいずれかを、メンバーの過不足に
応じて担当しますが、まず考えるのは他のメンバーのことです。



 私などは、当日まず気になるのは自分のコンディション…。
それを思うとまことに申しわけない限りです。 この集まりが
成り立つのは、まさにSaさんのご努力の賜物で、このことは
誰もが認めているに違いありません。




 おっと、肝心の "ラズモーフスキィ" になかなか進めませんね。

 この日に演奏する 『ラズモーフスキィ第1番』、実はちょっとした
手違いで決まった曲目です。 当初は "第3番" の予定だった
のですが、どこか連絡の途中で "第1番" になってしまったよう
なのです。

 Beethoven が赦してくれるといいのですが…。




 私たちは、この曲をちゃんとした発表の場のために取り上げた
のではありません。 また曲を極めるために、今後集中的に練習
を積み重ねようというわけでもありません。

 言わば、"一期一会" の場であり、同じメンバーで同じ曲を
持ち寄ることは、もう無いかもしれません。 「積み重ねに
よる成長」を旨とするならば、疑問を感じる方がおられても
当然です。



 しかしこの日に備え、四人の一人一人が真剣に準備を重ねて
きたのも事実です。

 その結果として一人一人が、何物にも代えがたい貴重な何か
を得たことも、また確かなようです。

 この日一日と、各自がそれに備えて払ってきた、幾ばくかの
努力と引き換えに。




 至らない私たちのために、Beethoven が曲を備えてくれた…、
そんなふうに考えるのは間違っているでしょうか。




 思えば、ラズモーフスキィと作曲者の出逢いが無ければ、
この曲は生まれませんでした。 さらに、この曲を今日まで
伝えてくれた、200年以上に亘る歴史。

 そして、今回の私たちの小さな集まりでは、Saさんの日頃
の尽力と、連絡上の、ただ一度のちょっとした手違いが、もし
無ければ…。

 考え過ぎかもしれませんが。



 いずれにせよ、Beethoven が私たちの目線にまで降りて
きてくれたこと、そして、想像できないほどの感銘を四人に
与えてくれたこと…。

 少なくとも私自身には、そのように思えてなりません。




 この偉大な四重奏曲自体について、もっと内容のある
ことを書かなければいけませんね。

 私の脱線癖は、相変わらず直らないようです…。 




 前回もご覧いただいた、各楽章の概観です。



    ヘ長調 4/4拍子 Allegro

   変ロ長調 3/8拍子 Allegretto vivace
                    e sempre scherzando

    ヘ短調 2/4拍子 Adagio molto e mesto

    ヘ長調 2/4拍子 Allegro




 音源は前回と同じものです。




 第Ⅰ楽章




   [Covington String Quartet

Greg Pinney, violin  Luke Wedge, violin
Will Hurd, viola  Frank McKinster, cello

        I. Allegro




Nikola Nikolov, first violin  Sophie Sultan, second violin
Barbara Giepner, viola    Hermine Horiot, cello

        First movement




  [at string quartet camp in the summer of 2007

        Part 1  Part 2




    [Caprice String Quartet

        pt 1  pt 2




  [Beethoven's Best Music! (Part 9)




 第Ⅰ、Ⅱ楽章



    [The Highbury String Quartet

        mvt1  mvt 2




 全楽章




David Felberg & Roberta Arruda, violins;
Paul Reynolds, viola; Dana Wiinograd, cello

I Allegro

II Allegretto Vivace E Sempre Scherzando

III Adagio Molto e Mesto

III Adagio Molto e Mesto Part Two

IV Theme Russe: Allegro




    [演奏者不明

1.Allegro

2.Allegretto vivace

3.Adagio molto (1/2)  3.Adagio molto (2/2)

4.Allegro




ブダペスト弦楽四重奏団:1952年5月5~9日録音




  [バリリ四重奏団 1955年録音




  (続く)