MARU にひかれて ~ ある Violin 弾きの雑感

“まる” は、思い出をたくさん残してくれた駄犬の名です。

コントロンボーン ①

2009-04-06 00:09:57 | 私のオケ仲間たち

04/06       私の音楽仲間 (41) ~

私のオーケストラ仲間たち (18) ~ コントロンボーン ①





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 前回まで、グリンカの幻想曲『カマーリンスカヤ』を中心に、

「グリンカが民謡をどう扱ったか」、また

(ャ)ィコーフスキィ がどのような影響をそこから受けたか」

などについて、ご一緒に見てきました。




 今回は、そのような (次元の高い?) 話ではありません。
私の、まったく私的な事柄です。



 ただ、それを書かせていただく前に、一つだけ、これまでに
書き忘れたことがあるので、補足しなければいけません。
それは、グリンカのこの曲のオーケストラ編成です。



 いわゆる "二管編成" で、ホルン、トランペット

   バス・トロンボーン、それに timpani です。






 私の大昔、ほんの駆け出しの時代。 楽器を抱え、よちよち
歩きで "プロ・オケの世界" に足を踏み入れて、まだ間もない
頃の話です。

 そんなとき、縁あって、私を初めて "先生" と呼んでくれる、
小さな学生オーケストラと知り合いました。




 その団体は、所属する人数が極めて少ないオーケストラ
でした。 もっとも当時は、そのようなオケが多かったの
ですが。

 彼らは、自分たちだけでは最低限の人数も確保出来ない
状況に置かれており、同じ職種の友好大学、また愛好家の
ツテを頼って人員集めをしなければならない状態でした。



 人数を見てみると、Violin は4、チェロが2、Contrabass は1、
Viola はいません。 木管は辛うじて数名が確保出来ていた
ものの、Oboe、Fagott はゼロ。 金管も打楽器もまばら。

 教授や講師の先生をメンバーとして頼らないと存続が
危うい、そのような団体です。



 もっとも考え方によれば、だからこそ「気持ちが一つに
なりやすかった」とも言えますが。




 そんな学生さんの中に、T.N.君がいました。

 楽器は Contrabass です。 私に接してくれる態度も、また
弾きっぷりも、極めて神経が行き届いている一方で、豪放な
リードぶりを見せてくれる、なかなか得難い存在でした。



 あるとき、最初の演奏会を一緒に終え、次回の曲目はどう
しようかと考えていた時期のことでした。 「話がある」と言い、
彼が相談に来ました。

 何かと思うと、「一つだけわがままを聞いてほしい」と頼んで
くるのです。



 それは、次の演奏会では違う楽器を "吹きたい" という希望
でした。



 聞いてみれば、彼は今の大学へ入って Contrabass を手に
する前、ブラスバンドでユーフォニウムを吹いていたとか。




 「それはオケでは無い楽器だ、無理だよ」と私は答えました。



 すると彼は、

 「いや、そうではない、一度でいいから、
オーケストラでチューバを吹いてみたい

と言うのです。




 (続く)