おやままさおの部屋

阿蘇の大自然の中でゆっくりのんびりセカンドライフ

篠田節子の「ハルモニア」と吹上町の「妙音十二楽」

2012年11月17日 07時04分48秒 | 日記
昨夜来の冷たい雨が降っている。

先日古本屋で購入した14冊の中の1冊篠田節子の「ハルモニア」を読み始めた。また既読の本を買ってしまったかなと読み始めたが大丈夫、初めての出会いだ。

「ハルモニア」の語感から韓国語の響きに似ているなと勝手に思ってそういう戦前の植民地時代だった朝鮮半島と戦争に突っ走る軍事政権の下で押しつぶされそうになる若い二人の男女の恋の悲劇的ストーリーを予想してたら、何と「ハルモニア」ってハーモニーの語源で全く予想と違う話でチェロ弾きの男と「障害」を持った美しい女との出会い。

男は施設にいる女のチェロの指導者。女は喋らない、会話が成り立たないし、どうも情緒に障害がありそうな人間。

まだ80ページだけなので展開が全く見えないところ。

チェロを指導し、演奏する場面が詳しく出てくるのだが、最近遠出して見に行ったいや聞きにいった鹿児島県吹上町にある常楽院という寺で行われた「妙音十二楽」を思い出した。砂丘で有名なこの町の常楽院を迷い迷いしながらやっとの思いで辿り着いた時すでに演奏が始まっていた。

演奏は近県から楽器のできるお坊さんが集まって8種類の楽器で合奏する。「十二楽」とは12の楽曲を演奏するという意味。♪

この間に常楽院の住職と思われる品格の高そうなお坊さんがお経を読誦する。楽器は「琵琶」、太鼓、笛、法螺貝など。主役は琵琶。琵琶といっても薩摩琵琶でもともと鎌倉草創期に源頼朝の命で島津忠久が薩摩の地頭として下向した時に一緒について下った宝山検校が齎したもの。盲目の僧だけが入ることを許されたこの寺で盲僧が楽器を演奏したのだ。

楽器はマンドリンに似たものだが独特な響きがある。同じく盲僧が演じる「平家物語」を思い出すとその弾き語りの琵琶の音だ。実に哀調を帯びている。

ハルモニアの女はたしか由希という名前だ。28歳の女は指導に応えてどんどん上達して行く。そして指導者の主人公を超えようとしていく。ここまで・・・

篠田は楽器の演奏を説明するのに自分の音楽観を滔々と述べていく。楽譜(音符)を越えて伝わって行く人間の情念・・・

常楽院で聞いた調べは悲しげで五木の使う言葉「悲愁」を連想した。何故か悲しく、懐かしく、こころに音が沈んで行く。
苦労して辿り着いた常楽院だったけれど、行って良かった。

そうだ私も楽器の演奏者だった・・・?ギター歴40何年、しかし譜面は読めないは少しも上達しないのはやっぱダメな「天分」なのかあーあー