おやままさおの部屋

阿蘇の大自然の中でゆっくりのんびりセカンドライフ

「闇の子供たち」の衝撃

2011年09月20日 07時18分09秒 | 日記
今朝は小雨が降っていて、現在朝の7時過ぎだが、まだ暗く夜が開けやらぬという感じだ。

昨日は家内の実家でずっと本を読んでいた。

梁石日という作家がいる。強烈な個性をもった作家でこれまで何冊かの作品を読んでいる。好きな現代作家の一人だ。

本屋でこの人の読んだことのない変わった装丁の本があったので購入。ブックカバーのイラストが少し恨みの篭った様な眼差しの肌色の浅黒い少年が描かれている。表題は「闇の子供たち」。

長編だが、読み始めると前半部分が強烈。これでもかこれでもかという東南アジアの微笑みの国タイでの幼児・児童売買と買春の実態が執拗に描かれている。

梁の粘着質でギトギトとしたドギツイ表現で闇の事実が発かれる。タイ駐在の白色系、日本人などの商社マンが闇のルートで幼児を買いに夜な夜な訪れ、札束をきって幼い子供とのセックスを強いる。

これに現地の人権団体が実態究明と即刻闇で飼われている子供たちのいのちを救おうと立ち上がる。この中に日本人や多国籍の人間がいて人権保護活動をしている。

しかし、子供はタイの辺境地から貧しさゆえに親が積極的に人買いに僅かな金で手放している。売った代金は翌日には中古の冷蔵庫やテレビに変っている。

そしてタイ国内のマフィアの手に渡り、買春宿に売られていく。そこではいうことをきかないと体にタバコの火を押し付けて脅迫し、地下室に監禁されろくな食料も与えられず、客を取らされる。

いつか知らずエイズに罹り、ボロ雑巾にように生きたまま黒いビニール袋に詰められ、闇に葬られていく。

まさかこの本が映画になるとは予想外だ。映画化するのにやはりひと悶着があったらしい。

飽食豊満ニッポン、安全清潔な国でノウノウと生きている日本人が文化の遅れたタイ(現在は旧速度に工業化を進展させているものの格差は一段と深まっている)の闇=恥を暴いていくことに当地からクレームが来ないはずはない。現地で活動していてヤバクなったら、飛んで日本に帰ってくる。自分の身を常に安全な場所に身を担保しながら、実態を暴露する。

ドキュメントの現実なんだろうけど、幼児売買春のテーマとともにもう一つの深刻な問題でもあるだろう。

これを読み終えたので昨夜から「万葉集」を読み始めた。