

今日はW190のオーバーホールで以前にオーナーさんがバラしてベアリングなどを交換したみたいなんだが、
何故かギアチェンジが出来なくなっていたって事で私の出番となった。
ただとりあえず全バラしても組み方は一切間違いが無かったためまた戻そうかと思ったんだが、
ケースを閉めてギアチェンジの点検をしていたら、
メインシャフトを回すとギーギーと変な音がするためまたケースを開けたが組み間違いをする訳も無いから、
もしかしたらベアリングがちゃんと奥まで入ってないかもと思い打ち込んでみるも何ミリも入ったような感じもせずまたケースを閉じて点検してみたら何故か直っていた。
何が悪かったのか良く分からなかったが異音は消えたのでまぁ良しとする。
それとは関係無いんだがW190やアニマなどはケースを開けるのも閉めるのも叩かないといけないんだが、
実はクランクケースのクランク取り付け部の辺りをバーナーで炙ってやるとアッサリと開いてしまう。
簡単に言うと熱膨張させているだけで、ただクランクのベアリングも一緒に熱せられてしまうが、
クランクケースはアルミのためスチールより熱膨張率が高いためこの様な事が起こり、
気温と50°くらいの熱の差があれば開け閉めに困る事が無いから是非試していただきたい。
あと、クランクケースを閉めてドラムストッパーアーム辺りまで取り付けたらチェンジのテストは絶対行うこと。
エンジンが完成してから困るよりもケースを閉めたくらいからならまた開けるのも苦にはならないし、
中華エンジンでなくても機械物を組むなら少し進んでチェックをしてを繰り返して完成となるのを忘れない事だ。
ここからは私がW190のフルオーバーホールを行う時にしている事を書いておくから、
もし自分で行う時に真似してもらえれば良いかな。

何回もネタにしているけどシフトドラムストッパーの1速の位置を写真のようにサンダーなどで削ってあげる。
以前はこの加工をしないとストッパーアームを横に押してしまいアームが外れてチェンジ不可能となってしまったが、
今は外れ止めの丸いカバーが付いたため必要性は薄くなったが、
しかし1速に入れた時やニュートラルに入れる時などアームを押してシフトタッチが悪化するため今もこの加工は行っている。

あとこれは中華エンジン全般に行っているがシフトドラムストッパーアームのスプリングを強化品に交換する。
写真だと下側の黒い方がエンジンに装着されていた物でアームに付いている方が強化品なんだけど、
ノギスで太さを計測してみると強化品の方が0.2ミリほど太くなっているから、
チェンジした時にタッチは少し重くはなるが、
ドラムの回り過ぎを抑制してくれるしチェンジした時にドラムが変な位置に固定してしまうのを防ぐ効果もある。
まぁドラムがちゃんとした位置に止まるのなんて逆に稀なんだが、
スプリングでしっかり押しつけてやるとバックトルクがかかった時に正規位置に戻り易くなるし、
そもそも部品代はさほど高くないため現在では無料で強制的に装着している。
ちなみにこの部品はホンダ純正部品として普通に販売されていて、
部品番号は 24435-GF6-003 となっているから、
3速からのダウンで2速通り越してニュートラルに入ってしまったり、
ドラムが正規位置に止まらずギアが減ってミッションブロー、なんて事にならないよう出来るだけ交換していただきたいかな。
それと昔はチェンジスピンドルの先に付いてるスプリングも交換していたが、
バネ部の長さの違いでしかなくレートとしてはあまり変わらないため今は無交換としている。
ただ気になる方のためにこれもちゃんとホンダ純正部品で購入出来るので、
欲しい方は 24641-061-000 こちらの部品番号で注文してみよう。
交換する必要性はほぼ無いけど。
ついでなんで書いておくけどバイクのミッションてエンジンがかかっていてクラッチを切っている時や、
走行中でカウンターシャフトが回ってる時などのバックトルクがかかっていないとちゃんとした位置にドラムが止まる事は無く、
例えば停車時に4速から一気にニュートラルに入れる事が出来ないのが普通と言うか当たり前で、
もし停車時にスコスコとチェンジが出来るようなら走行中のチェンジでギアを飛ばしてしまうようになる。
もし停車時にチェンジ出来なくなってしまった時などはバイクを前後方向に少し動かしたり、
半クラでミッションに軽く動力を与えると解消されるから、
中華エンジンのシフトに悩んでる方はエンジンより先に正しい扱い方に慣れていただきたいな。

とりあえずチェンジテストまでは終わらせたんだが夕方になったからまた歩きに出かけて、
帰って来たらクラッチ側を組み立てて腰下は完成させておいた。
明日はちゃんと起きれれば完成させて次のエンジンをバラすつもりなんだが、
深酒しないようにしないと1日を棒に振る事になるから気を付けるかな。