abc

news

国際世論を相手に 麻生の大立ち回り 批判を浴びると’死んだまねして 幕引きはかる常習犯(更新8/3)

2013-08-02 | Weblog

記事:「国際社会、敵に回す」 政権に麻生ショック

安倍政権は麻生太郎副総理による「ナチス発言」で早期の幕引きを図ったものの、政権ナンバー2が抱えるリスクだけに収束するかは不透明だ。安倍晋三首相が進めようとする「安倍色」の政策実現にも影を落としかねない。

麻生氏の発言撤回を受けて、政権幹部らは一斉に幕引きムードを演出した。

菅義偉官房長官は1日の記者会見で「本人も発言を撤回したし、安倍内閣としてナチス政権を肯定的にとらえることは断じてない。私の会見で、みなさんにご理解いただきたい」と理解を求めた。古屋圭司国家公安委員長は東京都内で記者団に「副総理もピシッと正式に撤回したから、これで一件落着じゃないか」と述べ、政府高官も「今日で幕引きだ」と強調した。

参院選に大勝して長期政権の足場を築いた安倍政権としては、早々に「撤回カード」を切ることで事態の収拾を図りたい考えだ。ただ、歴史認識を問われ続ける安倍政権が「右傾化」のレッテルを貼られかねない事態だけに、今後の政権運営に影を落としそうだ。

米国などは先の大戦で連合国が枢軸国の軍国主義に勝利したという見方に異を唱える人を「修正主義者」と呼ぶが、東京裁判を「勝者の断罪」と語る安倍首相をそう評することもある。今回の麻生氏の発言は、国際社会に政権全体がそういう姿勢だと受け止められかねない。

とりわけユダヤ人の人権団体から反発が出たことに、外務省幹部は「最悪だ」と悲壮感を漂わせる。ユダヤ人社会は世界にネットワークを持ち、米国内でも影響力が強い。日本の「右傾化」批判が強い中国や韓国に米国が同調すれば「国際社会を敵に回す」(官邸スタッフ)ことになるからだ。沖縄県の尖閣諸島や従軍慰安婦などの問題で対立する中韓両国の主張に理解を示す国が増える可能性もある。

経済最優先で進めてきた安倍政権は、参院選を終えて国のかたちにかかわる「安倍色」の政策にも手を付け始めている。外交・安全保障政策の司令塔となる日本版の国家安全保障会議(NSC)の設置をめざし、年末の防衛大綱見直しをにらんで集団的自衛権の行使容認に向けた議論も加速させる方針。中長期の課題として首相が意欲を示す憲法改正では、改憲案の発議に必要な衆参両院で3分の2議席以上の勢力の確保を目指していく構えだ。

こうした政治日程が目白押しのなか、官邸スタッフは「麻生氏の発言が情報戦に利用され、『安倍政権の歴史認識はやはり危険だ』とされるのが一番困る」と、政策遂行への影響を懸念する。外務省は1日、各国政府や海外メディアなどからの問い合わせに備えて麻生氏の撤回コメントの英訳を始めた。

首相にとって、麻生氏は菅氏と並ぶ「政権の要」(首相周辺)だ。副総理兼財務・金融相として首相と二人三脚でアベノミクスを引っ張ってきた。もともと自民党内で基盤の弱かった首相を支えてきた数少ない派閥領袖(りょうしゅう)でもある。麻生氏を更迭すれば、政権全体が揺らぎかねない。

そんな政権ナンバー2が起こした失言騒ぎだけに、首相側近は1日、こうぼやいた。

 「麻生さんは例えが悪すぎる」

■野党、国会追及の構え

野党は2日から始まる臨時国会で追及する場を求めていく構えだ。

民主党の海江田万里代表は1日、党役員会で「ナチスから学ぶべきものは一切ない。憲法改正は正々堂々と議論して進むべき問題だ。こっそりやってしまえ、という発言は撤回して済む問題ではない」と批判。安倍首相の任命責任を追及する考えを示した。

日本維新の会の橋下徹共同代表は1日、記者団に「かなり行き過ぎたブラックジョーク」。小沢鋭仁国会対策委員長は同日、自民党の鴨下一郎国対委員長に電話し、「(今国会中に)何らかの形で麻生氏の真意を聞く機会をつくってもらいたい」と要請した。共産党の志位和夫委員長も記者会見で「むき出しのナチズムの肯定で民主主義否定の暴論だ。日本の国政に参加する資格はない」と議員辞職を要求し、衆参予算委員会での集中審議を求めた。

自民党からも麻生氏への批判が出ている。派閥領袖の一人は「撤回するなら初めから言うなという話。首相をやっていたことが信じられない。何がポスト安倍だ」と批判。別の領袖も「まともな配慮があればこんな事例は出てこない」と苦り切った。

ただ、臨時国会の会期は7日までだ。平日は4日間しかなく、6日の広島平和記念式典には与野党幹部が出席するため、その前後も国会は開かれない見通し。予算委員会の質疑を確保することもままならない。

与野党は当初、臨時国会で審議する予定はなかったため、1日に国会日程を話し合った衆参両院の議院運営委員会理事会では議題にならなかったが、2日の理事会で野党が麻生氏の発言について質疑を要求するのは確実だ。今回の機会を逃すと、10月以降に召集される臨時国会まで追及する場を作るのは難しくなる。

このため首相周辺は「野党が追及すると言っても何ができる。やりようがない」と静観の構え。自民党国対幹部は「今国会は無理。秋の国会なら追及できるが、その前にいろんなニュースがあって忘れられる」と言い切る。

昨年の衆院選に続いて参院選でも大勝し、与党は絶頂にある。与党幹部も「内輪もめ」と見られることを恐れ、表だっての批判を回避。逃げの一手を決め込んでいる。自民党の石破茂幹事長は1日、記者団に「政府としてきちんと対応すべきだ。この問題について論評することはない」。公明党の山口那津男代表も会見で「枢要な立場にある政治家は発言に配慮が重要」と述べるにとどめた。


参考:


 

8/3 更新:安倍、麻生の「ナチス発­言」で思わぬ痛手。国会の会期をわずか6日間に短縮させて、「任命責任の追及」をかわす算段。

 

 

 

8/2 記事:麻生氏「真意、理解してもらえた」 辞職を否定

麻生太郎副総理兼財務相は2日、憲法改正をめぐりナチス政権を引き合いに「手口に学んだらどうか」などと発言したことについて「誤解を招いた点は撤回すると言ったので、真意を十分に理解してもらえたと思う」と述べ、国際社会から理解を得られるとの認識を示した。

麻生氏は1日に発言を撤回。この日の会見では「狂騒の中でナチスが出てきた悪(あ)しき例として我々は学ばないといけないと言った」と改めて釈明した。批判声明を発表した米国のユダヤ人人権団体に陳謝する考えは「ない」とも強調。野党からの閣僚・議員辞職要求についても「辞職するつもりはない」と否定した。

閣僚らは会見で発言撤回に理解を示した。甘利明経済再生相は「物事をやさしく説明しようとして誤解を招いてしまったのではないか」。他の閣僚も「憲法議論は平静にやってほしいという趣旨。賛成だ」(谷垣禎一法相)、「麻生氏の説明を信じたい」(山本一太沖縄・北方相)と語った。

 また、岸田文雄外相は「こうした発言が外交問題化、政治問題化しないように努力しなければいけない」と強調。太田昭宏国土交通相(公明)は「米国は人権を極めて重要視している国だ」と指摘した。

菅義偉官房長官は野党が国会で麻生氏の説明を求めていることについて、「国会で審議する性質のものではない。これで決着だ」と述べた。

8/1 記事:麻生氏、ナチス発言を撤回 「改憲の悪しき例あげた」

写真・図版

用意した紙を読み上げ、発言撤回を表明する麻生太郎副総理=1日午前10時49分、東京・霞が関の財務省

麻生太郎副総理兼財務相は1日午前、憲法改正をめぐってナチス政権を引き合いに「手口に学んだらどうか」などと発言したことについて、「誤解を招く結果となったので撤回したい」と述べた。財務省内で記者団に語った。国内外で批判が高まっていることを踏まえ、発言を撤回することで早期の収拾を図る。

麻生氏は記者団に「(発言が)私の真意と異なり誤解を招いたことは遺憾だ」と述べたうえで、「憲法改正については落ち着いて議論することが極めて重要だと考えている。この点を強調する趣旨で、喧騒(けんそう)にまぎれて十分な国民的理解、議論のないまま進んでしまった悪(あ)しき例としてあげた」と説明した。

さらに「私がナチスやワイマール憲法にかかわる経緯について極めて否定的にとらえていることは、全体の流れをみていただいたらはっきりしている」と語り、ナチス政権を肯定する立場ではないことを強調した。その後、同じ内容のコメントも発表した。

麻生氏は7月29日、東京都内のシンポジウムで「ある日気づいたら、ワイマール憲法が変わって、ナチス憲法に変わっていた。誰も気づかないで変わった。あの手口に学んだらどうかね」などと語った。

これに対し、米国の代表的なユダヤ人人権団体「サイモン・ウィーゼンタール・センター」が30日に批判声明を発表したほか、韓国、中国両国外務省のスポークスマンも批判するコメントを出した。


参考


民主政体でなぜ独裁?「ナチス憲法」は存在したの?

-麻郎副総理兼財務相のいわゆる「ナチス憲法」発言が物議を醸している。

ドイツは第1次世界大戦(1914~18年)の敗北に伴って帝政が崩壊し、当時の欧州の中で最も進歩的な民主政体とされるワイマール共和国が成立した。

その進んだワイマール憲法下で実施された選挙で、ヒトラー率いるナチス党(国家社会主義ドイツ労働者党)が第一党の座を獲得し、独裁体制へ突き進むわけだが、麻生氏が言うような「ナチス憲法」といったものは存在しなかった。

ナチス政権の下でも、ワイマール憲法は形骸化しながらも残っていたのであって、「ナチス憲法」に取って代わられたわけではない。

-どうしてヒトラーはそんな民主的な憲法の下で、独裁体制を構築できたのだろうか。

1933年1月のヒトラー内閣成立直後の3月、国会で「全権委任法」が可決された。これは政府に立法権を委ねる法律で、ヒトラーはこれによってワイマール憲法を無視し、大統領の承認や国会の制約も受けずに国を支配することが可能になった。

当初は時限立法だったが、更新が繰り返され、ナチス独裁に正当性を与える法的根拠となった。

全権委任法は、国会議席の3分の2以上の賛成がなければ成立できない法律だったが、ヒトラーの政治工作によって圧倒的賛成多数で可決された。

-ナチスはユダヤ人迫害も法律にのっとって実行していったのか。

全権委任法成立後、ナチスはユダヤ人迫害のための法律を次々に施行した。同法成立直後の4月には、非アーリア系(ユダヤ人)の公務員らを強制的に退職させる法律も制定された。

ユダヤ人の社会権・生存権を否定する立法・政令は枚挙にいとまがないほどだ。反ユダヤ立法の最たるものは35年のニュルンベルク法で、ドイツ人との結婚を禁じるなどユダヤ人からあらゆる権利を剥奪した。

-全権委任法がヒトラーの暴走を許したわけだが、戦後のドイツはこの教訓をどう生かしているのだろうか。

ワイマール憲法は実質的に、全権委任法の成立を可能にしていたと同時に、危機に際して国家元首の権限を拡大する緊急命令発布権を認めていた。これらがナチス独裁に道を開いたワイマール憲法の大きな弱点だった。

その反省から、戦後のドイツ基本法(憲法)は為政者への全権委任を認めていない。また、改憲は連邦議会の3分の2以上の賛成で可能と規定されているが、基本的人権や三権分立の保障を定めた条文の改正は決して認められていない。

関連記事


post a comment