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日米比較 政策金利の差は 「米FRB 実務家軍団」 と 「日銀・黒田 ペーパードライバー集団」の違い

2016-09-24 | Weblog

管理人の一言:世界最大級の特許および学術文献情報データベースを提供しているトムソンISI社は21日、今年のノーベル賞の有力候補者予測を発表した。医学生理学、物理学、化学、経済学の4賞で24人を挙げたが、うち日本人は、医学生理学で本庶佑京都大客員教授(74)、化学で前田浩・崇城大特任教授(77)と松村保広・国立がん研究センター新薬開発分野長(61)の3氏だった。

同社は、毎年、各分野で論文の引用数が上位0.1%に入る注目研究者のうち、ノーベル賞の傾向などを考慮し「有力候補者」として発表している。昨年までに255人を予測し、うち39人がノーベル賞を受賞したという。今年のノーベル賞は10月3日から順次発表される。

ところで、有力候補の3氏は今回もまた、医学生理や化学の分野である。残念ながら、これまで経済学の分野で受賞した日本人は一人もいない。管理人が推測するに、医学生理や化学の分野はコツコツと机の上で研究するのが得意な日本人に一番あっているように思われる。だが経済学となると、人文学的な見地に立った論理的な、それでいて独創的な発想がもとめられるように思われる。

この3月、安倍は参院選を前にして、国際金融経済分析会合とやらを開き、自分の増税延期言動に正当性を与える為に、わざわざ米国から、ノーベル賞受賞経済学者二人、ステイグリッツとクルーグマンを招待した。

この二人、米国では学者でありながら馴染みである。それはメディア(日本のようなお笑いタレント司会のニュース番組ではない)に頻繁に登場し、政治統治が弱体化する中で貧富の格差拡大、失業者の増大など、様々な問題が制御不能になっている現実に、多様な学説を掲げて様々な解決策を提示している。いわば、彼らの学問というか、研究はより現実社会に即した実践的なものなのである。これが経済の分野で日本人のノーベル賞受賞者がでない理由に思われる。


 

日銀の金融政策が「意味不明」すぎるワケ

東洋経済9/24/2016

あまりに対照的な日米の中央銀行の金融政策

FOMC(米連邦公開市場委員会)と日銀金融政策決定会合が同日(9/21)というなんとも「惑星直列的カレンダー」になりましたが、終わってみれば極めて対照的な中央銀行の取り組み、というか在り方が鮮明になったと言えるでしょう。

まず、FOMC。先週の段階で「利上げはなし」、と断定しておりました。理由は簡単で、アメリカ経済は極めて順調ではあるものの、FOMCが掲げているターゲットには届いていません(6月のFOMCで発表しているプロジェクション)。にもかかわらず利上げをするとなると、前回FOMCからの1カ月でまさに「ビンゴ」と言われるような経済統計の良化が条件になる、ということが明らかだったからです。

そして今回FOMCが出してきたメッセージも極めてクリア。FRB(米連邦準備理事会)として今後何を見て何をするのかが極めて明確で、誤解の入り込むすき間もありません。

素人でも方向性がわかる、アメリカの金融政策

ステートメント(声明)をみると、まず第一に

First, the committee noted that near-term risks to the economic outlook “appear roughly balanced”.

現状経済動向に影響を与えるであろう短期的なさまざまなリスクについてはほぼバランスしているように見える、と考えている

と来ました。つまり、状況としてはいろいろリスクを取り上げることはできるがそれらは大筋でバランスしており、特に危機的状況にあるとは考えていないわけです。巷のメディアでいうようなダウが急落したので利上げしない、なんのかんの・・という詮索は無駄ですよ、ということですね。FRBとしてはこの点極めてクリアに判断を下している。つまり現在は心配するような経済状況にはない、ということです。

■FOMCは「念には念を入れて」先行きを見ることに

その上で、

The Committee judges that the case for an increase in the federal funds rate has strengthened but decided, for the time being, to wait for further evidence of further progress toward its objectives

FOMCとしてはFFレートの利上げのための状況(確証)はより強くなっていると考えているが、当面抱えている課題(FRBがしているコミットメント)に対する更なる良化の証拠を待つこととした。

となっています。これも極めてクリアで、現時点で利上げすることも可能だが、「念には念を入れて先行きをもう少し見てみましょう」と判断した、ということです。

先ほど申し上げた通り、実際に6月時点でのFRBの予測よりも実際の経済動向は下回っており、唯一、雇用統計だけがほぼ予想通りとなる中、今回改定された見通しでも、GDP(国内総生産)、及び物価指数についてはそれぞれ6月から下方修正されている、という事実があるわけで、その意味で今回は見送る、という極めて説得力のある内容となった、と言えるでしょう。

これで今回は見送ったが、このままでいくと年内に利上げがあるだろう、ということは素人でも十分理解できる範囲でしょう。

一方の日銀。何なんだ、このわかりにくさは・・

一方わが日銀。

このわかりにくさは何なのでしょうか。

日銀として景気がいいと思っているのか、はたまた悪いと思っているのか? ? 全く不明。言及すらありません。

■なぜ日銀はわかりにくい言葉を並べ立てたのか

もし良いならば、良いんだからこのまま政策を継続するよ、となるわけで、悪いなら失敗しました、といって何か次の手を打つしかない。要するにこれに言及してしまうと責任問題に直結するからでしょうけどね。

そして実際に出て来たのは

長短金利操作付き量的・質的金融緩和

何ですかこれは? ?  全く意味不明といっていいですね。要するにこれまでの金融政策の失敗をはっきり認めないからこういうわかりにくいことを言わざるを得ないわけです。

詳しくは東洋経済オンラインの「日銀『新たな枠組み』に冷めた見方が多いワケ」 を見て頂ければよろしいかと思いますが、まず第一はこれまでの物価目標2%に加えて、今後は長期金利0%という金利目標も見て行きましょう、ということ。次に、これまで物価目標2%を目標としてやってきたものを、なぜかそれを安定的に2%を超え続けるまで金融緩和と続けますよ、という2点が柱となっています。

要するに、あの「黒田バズーカ緩和」(2013年4月4日)から約3年半がたったのに、達成できなければ「腹を切る」、という趣旨のことまで言った物価目標に全く達成しなかったために、いつものように、ゲームの途中でルールを変える

そして「金利目標とインフレ率を安定させるまで」(達成することすらできないくせに)、という新しいルールを適用して、これを達成できれば日銀としては金融政策決定者としての責任を全うした、と判断します、という。まあ、これはひどい話ではないですか。

延々と金融緩和をして、何か変わったのか?

プロ野球に例えれば、元来勝ち負けの勝率で争うはずのペナントレースを、自分の都合が悪いからといって途中からホームラン数で決めましょう、というに等しい。あるいは、日本に勝ちまくられて、やれ、スキー板の長さがどうした、体重がどうしたと次々と新たなルールを導入するジャンプ競技に等しいとも言えます。

つまり・・金融緩和などというものは平成バブル崩壊後の1990年より1年たりともとだえることなく、この2016年まで延々と続いてきた。

しかし、それで日本経済は何か変わったのか? ? 

バブル崩壊以降、日本の名目GDPはほぼ500兆円、個人所得はほぼ180兆円、小売売上高はほぼ140兆円で、ずーーーっと、金融緩和を続けて来たにもかかわらず、日本経済は横ばいを続けたわけです(その意味では失われた20年というのも大きな間違い。日本は横ばっていたのであって、何も失っていない)。

■覚悟のあるイエレン議長と根性なしの日本男児の差!? 

挙句の果て、黒田総裁は、そうやって長期に緩和を続けても効果はなく、短期的に集中して緩和すればかならず効果がでる、と宣言し、物価水準2%を達成できなければ私は辞める、副総裁は腹を切る、といったような話までしてそれまでのマネタリーベースをほぼ100兆円のレベルから一気に300兆円を超える水準まで引き上げた・・・・

しかし、3年半たった今も何も変わっていない、というのが現実で、いい加減金融緩和はこれ以上やっても効果はありません、と一度敗戦宣言をして、みなさまでおやめにならないと、今回のようにこういう意味不明の、まさに「ブードゥー経済学」さながらの政策を打たざるを得ない、というのは明白です。

3年半もやって何事もおきなかったのに、今さら安定的に2%を超えるまでといわば半永久的に金融緩和を続けることをコミットすることに意味があるのか。むしろ、自分自身で エグジット(出口)を封鎖してしまったようなもので、一体黒田さんがいなくなったあと、次の総裁はどうするんだろうか、と他人事ながら心配になる。

FRBと対比をしてみると、だめならいつでも腹を切る覚悟のあるイエレン議長と根性のない日本男子たちのコミットメントの差、といっていいんじゃないでしょうかね。もう、いい加減、金融緩和をいくらしても効果がなかった、という歴史的事実と付き合う必要があるのです。

「黒田バズーカ緩和」の敗戦の事実を認めよ

FRBと違って、日銀にはいわゆる実務をやった経験のある人が皆無です。FRBの理事の中には投資銀行での経験のある人もいますし、製造業でマネージャーをやっていたことがあったり、まさに多士済々。

一方、日本の場合、民間銀行の支店長経験者すら入っておらず、証券会社の人が政策決定にかかわっているといっても彼らはエコノミスト。つまり、株の売買すら一度もやったことがないような「ペーパードライバー」が集まっているのが特徴です。

ゴルフを一度もやったことがないひと達が集まって、これをこう打ったらスライスになる、いや、この角度から打ったらフェードだと、いろいろ議論しているのと何ら変わりはなく、これはまさに滑稽というしかないではありませんか。

■「実務家軍団FRB」と「ペーパードライバー日銀」の差

実際に毎日経営をして、資金繰りにうんうん唸っている私から世の中の社長の皆様を代表して、ひとこと言っておきたいのは、

マイナス金利を導入するほど景気が悪いのに、いくら金利が低いからと言って銀行からカネを借りてまで設備投資をしようと思うバカはいない。

ということに尽きると思います。従業員、そしてその家族の分まで責任を負っている社長からすれば、こういう判断をするのは当然でしょう。今後会社の社会保険負担だって、どこまで上がるか分かったもんじゃありません。

その度に従業員のクビを切るわけにいかない、というのが多くの中小企業経営者のホンネでしょう。設備投資どころではなく、いかに内部留保を確保するかが、今や最大の経営目標になっているということを日銀の皆様は全く理解していません。

経営者、そして実際に消費をする皆様の心理、というか発想から完全に乖離してしまい、その政策を打ったら、世の中はどう受け止めるであろうか、という想像力が全く欠けている。まあ、経験がないから、と言えばそれまででしょうが、私が日銀の政策決定に携わっていたら、そんなことしたらみんなが投資をしなくなるよ、とデータ付で物事を申し上げることができたと思います。

こうなるとFRBとの差は鮮明で、「実務家軍団」と「ペーパードライバー集団」では勝負にならんことは明らかでしょう。

まずは「黒田バズーカ緩和」の敗戦の事実を認め、それをしっかり分析していかないと、まさに第二次世界大戦の轍を踏むことになります。

 


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