◇コラムニスト・小田嶋隆さん「プルサーマル内閣」
再登板の安倍首相をはじめ、一度トップとして燃え尽きたはずの人が目立つ。まるで使用済み核燃料を集めて再処理し発電するプルサーマルのようだ。かつて「夢のエネルギー」と言われていた代物も、実際はトラブル続きで「絵に描いた餅」に過ぎなかった。新政権は原発の再稼働に前向きと言われ、賛否が分かれる物価目標を景気対策の切り札にしようとしている。右傾化の懸念もあり、その危なっかしさもプルサーマル級ではないか。
◇政治評論家・浅川博忠さん「必勝堅実内閣」
前回の安倍内閣で「参院選堅実内閣」と名付けたが、想定外の事務所費問題が出て「お友達内閣」と批判され参院選に敗れた。今回は学習してさらに地味にし、あえて「必勝堅実内閣」と名付ける。来年の参院選に向け、民主党と違って安定した国会答弁ができる人選だ。「お友達ナンバー1」の塩崎恭久元官房長官を外し、批判をかわす狙いもある。ただ当選3回の稲田朋美氏らの抜てきに、党内に不協和音が出る恐れがある。
◇漫画家・しりあがり寿さん「三年寝太郎内閣」
政権を離れていた3年間で自民党がどう変わったのかよく分からなかった。民話の寝太郎は起きてから大きなことを成し遂げる。同じ期待をしたいが「本当にただ寝ていただけじゃないのか」という不安はある。どこかで見た顔ぶれが並ぶので「デジャブ内閣」も考えた。ひ弱な印象だった「お友達内閣」より多少は重量感がある。外交や国防で強く出てほしいという期待もあるだろうが、そうしたらどうなっちゃうんだろうという不安も残る。
◇教育評論家・尾木直樹さん「同窓会内閣」
顔ぶれをみると、自民党総裁の経験者が3人で、うち2人が首相の経験者。党の要職や大臣の経験者も多く、重鎮が久しぶりに顔を合わせた印象だ。「お友達内閣」と言われた前回の安倍内閣よりそつがなく、来年の参院選に向け「ミスを出せない」という思いもあるのだろう。衆院選で自民党は議席数で大勝したが、得票率はそれほど高くなく、支持者が圧倒的に多かったわけでないことを忘れないでいただきたい。おごれば必ず凋落(ちょうらく)する。
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