号外:三浦雄一郎さん 80歳でエベレスト登頂に成功
世界最高峰、エベレストの山頂へのアタックを行っていた80歳の冒険家、三浦雄一郎さんは、日本時間の23日午後0時15分ごろ、標高8848メートルの頂上に到達し、世界最高齢での登頂記録を塗りかえました。
80歳の冒険家、三浦雄一郎さんは、今月16日、標高5300メートルのベースキャンプを出発し、氷河の崩壊が続く「アイスフォール」や、巨大な氷の壁をよじ登る「ローツェ・フェース」などといった難関を次々に突破してきました。
そして、23日、標高8500メートルの最終キャンプから山頂へのアタックを開始し、日本時間の午後0時15分ごろ、標高8848メートルのエベレストの山頂に到達したということです。
三浦さんがエベレストの登頂を果たしたのは、70歳と75歳のときに続いて今回が3度目で、80歳での登頂は、5年前に76歳のネパール人男性が作った世界最高齢での登頂記録を塗りかえました。
「80歳でもまだまだいける」
東京の事務所に衛星電話を使って登頂成功の連絡をしてきた三浦さんは「エベレストの山頂に着きました。世界最高の気分です。風はほとんどありませんでした。皆さん、本当にありがとう。これ以上ないぐらい疲れていますが、80歳でもまだまだいける。ヒマラヤが眼下に見えて美しいです。頑張って、頑張って、頑張ってたどりつきました」と話していました。
これまでの冒険は
三浦さんは青森県生まれの80歳。
父親の勧めで、幼いころからスキーをはじめ、北海道大学在学中にはアルペンスキーの選手として活躍しました。
その後、プロスキーヤーとなり、32歳のとき、スキーのスピード記録を競うイタリアの大会に日本人として初めて参加して優勝し、当時の世界記録を作りました。
37歳のときには、エベレストの登山ルートとなっている標高8000メートル地点からパラシュートを背負ってスキーで滑降しました。
その記録映画「エベレストを滑った男」はアカデミー賞の長編ドキュメンタリー映画賞を獲得し、三浦さんは冒険家として、世界的な注目を集めるようになりました。
さらに、世界7大陸の最高峰すべてをスキーで滑るという目標を掲げ、南極大陸では雪崩に巻き込まれるなど数々のトラブルに遭いながら奇跡的に生還。
53歳のとき、ついにその目標を達成しました。
その後、いったん冒険から離れ、病気やけがに悩まされた時期もありましたが、60代半ばにさしかかったところで「70歳でエベレストに登る」という新たな目標を設けました。
当初は、標高500メートル程度の低い山にさえ登れないほど体力が衰えていた三浦さんですが、5年近くかけて体を徹底的に鍛え直し、70歳のとき、世界最高峰の登頂を成し遂げました。
さらに、5年前には75歳で2度目の登頂に成功し、80歳の今回が3度目の挑戦です。
大けがと病気の克服
三浦さんは5年前、75歳のときに2度目のエベレスト登頂を果たした際、「80歳でもう一度エベレストへ行きたい」と宣言して周囲を驚かせました。
しかし、76歳のときに札幌市のスキー場で滑走中に転倒して、骨盤と大たい骨の付け根を骨折する全治6か月の大けがに見舞われます。
当時、三浦さんは「再起不能になるかもしれない」と不安を抱いたということですが、医師の予想を上回る回復を見せて2か月半で退院し、けがから半年後にはトレーニングを再開しました。
さらに、80歳になった直後の去年の秋、エベレスト登山に向けたトレーニングで訪れたヒマラヤの高地で、持病の不整脈が再発します。
トレーニングを途中で切り上げて日本に帰国した三浦さんは、去年11月とことし1月の2度、心臓手術を受けて不整脈の症状を克服しました。
そして、ことし3月下旬、今回のエベレスト登山に向けてネパール入りしてからは、心臓に負担がかからないよう、通常の登山チームの2倍近い時間をかけてゆっくりと登山道を歩き、先月中旬、標高5300メートルのエベレストのベースキャンプに到着しました。
ベースキャンプでは、およそ1か月にわたって空気の薄い環境に体を慣らすトレーニングを続け、今月16日に山頂に向けた登山を開始しました。
号外:「外れ馬券も必要経費」の判決
競馬の払戻金への課税を巡って、外れた馬券が必要経費に当たるかどうかが争われた所得税法違反事件の裁判で、大阪地方裁判所は「資産運用を目的に馬券を購入した場合、外れ馬券も経費に認めるべきだ」として国税庁とは異なる判断を示したうえで、払戻金を申告しなかった被告に執行猶予の付いた有罪判決を言い渡しました。
大阪市の39歳の元会社員の被告は、競馬の勝ち馬を予想するソフトを使って3年間に、28億7000万円分の馬券をインターネットで購入し、当たり馬券で30億1000万円の払い戻しを受けて、差し引き、1億4000万円の利益を出しました。
検察は、払戻金の総額から、当たり馬券の購入費だけを控除して申告し、実質的な利益を上回る5億7000万円を納税すべきだったとして、所得税法違反の罪で起訴したのに対し、被告は、「外れ馬券の購入費も必要経費として認めるべきだ」などと無罪を主張していました。
23日の判決で、大阪地方裁判所の西田眞基裁判長は、「娯楽の範囲を越えて資産運用を目的に馬券を繰り返し購入した場合、外れ馬券の購入費も必要経費とすべきだ」と述べ、国税庁の見解とは異なる判断を示しました。
そのうえで、被告が納税すべき金額を5000万円余りと大幅に減らしたうえで、懲役2か月、執行猶予2年を言い渡しました。
また、判決で裁判長は、競馬の払戻金への課税について「画一的に処理するのではなく馬券購入の具体的な内容を検討し、それに見合った判断が求められる」として税務当局に柔軟な対応を求めました。
被告は、地方税を含めおよそ10億円の課税処分を受け、これを不服として処分の取り消しを求める裁判を起こしています。
被告「主張認められた」
判決のあと被告は弁護士を通じて、「全面的にこちらの主張を認めてもらった判決で感謝しています。控訴をするつもりはありません」というコメントを出しました。
また被告の弁護士は、「今後どのようなケースなら、外れ馬券が経費になるか、その境目を定めるのが難しい問題となる。国税庁は判決を真摯(しんし)に受け止め、競馬の払戻金はすべて非課税にするなど、制度を見直すべきだ」と話しています。
国税局「コメント差し控える」
大阪国税局は、「判決の内容について現時点では詳細を承知していないため、コメントは差し控える」としています。
地検「高検などと協議」
大阪地方検察庁の上野友慈次席検事は「判決内容を精査し、高等検察庁などと協議のうえ適正に対処したい」としています。
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