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日本のメディア、何でこんな男の発言を記事にするのだろうか(元日本部長ケビン・メア)

2013-02-08 | Weblog

 レーダー照射、「米軍なら反撃」メア元日本部長(YOMIURI 2013/2/7

  元米国務省日本部長のケビン・メア氏は6日、国会内で講演し、中国海軍の艦艇による海上自衛隊艦艇への火器管制レーダー照射について、「米軍であれば、(自らへの)攻撃と判断して反撃する」と述べた。

 そのうえで、「中国海軍は規律が良くないし、あまり訓練もされていない。非常に危ない」との懸念を示した。

 「中国は尖閣諸島だけでなく(沖縄本島などの)琉球諸島も狙っている」との見方も示した。

本ブログ管理人の一言:

沖縄が米軍統治下だった1957~72年、本土の日本人が沖縄に渡航するのにパスポートが要求されていた時代だ。

この時代、沖縄統治の最高責任者は琉球列島高等弁務官と呼ばれる米現役の職業軍人であり、司法、立法、行政の全権を掌握し、琉球政府の行政主席や一般職員の罷免、法令制定・改廃、立法法案の拒否、裁判権移送など、ほとんどすべての施政権限を行使していた。

6代にわたる高等弁務官のなかでも、米ケネディ政権下で選任された3代高等弁務官ポール.W.キャラウェイ(* caraway、1985年没)は、人種偏見がねずよい米南部アーカンソー州出身の軍人で、1961~64年までの3年半、琉球立法院を拒否権で押さえ込んで絶対権力者として君臨した。

(* 特に、アーカンソー州リトルロック暴動はよく知られており、米国の公民権運動の切っ掛けとなった。1957、白人・黒人の分離教育に対する米連邦最高裁の違憲判決を無視し、州知事が白人公立高校に黒人生徒の入学を禁じた事件)

彼の統治は琉球住民を植民地の土民のように見下した差別的なもので、「政治を行う能力が無い沖縄住民による自治は神話に過ぎない」と発言しては、住民による本土復帰運動を鎮圧させ、自冶権拡大や日本本土との関係強化も拒否した。

これに対し、日本本土のエドウィン.O.ライシャワー米大使(* reischauer、1990没、 在日米宣教師夫妻の次男として日本で出生、日本人松方ハルと再婚、米ハーバード大学教授)は沖縄の自治権を支持し、日本政府の沖縄財政援助を容認した。

このため、職業軍人キャラウェイは、民間学者出の温和な米大使と真っ向から対立するようになり、米大使をしてキャラウェンを独裁者と非難するまでに両者の関係は悪化した。米ケネディ大統領はキャラウェイを沖縄jから追放するかたちで更迭した。

 

ところが驚くなかれ、平成にも沖縄にキャラウェイが存在していた。

記事にある元米国務省日本部長ケビン・メア(* 1954年生、前職は弁護士、日本人と結婚)だ。キャラウェイと同様に人種偏見の強い米南部出身で、フランス系住民が多く住むサウスカロライナ州だ。

メアは沖縄総領事在任中、数々の言動が物議を醸し、沖縄からは「軍政中のキャラウェイ高等弁務官と何ら変わらない」と激しい怒りの声をあびていた。

そんな中、2010年12月3日、沖縄研修旅行を控えた米アメリカン大学の学生を対象に米国務省内で行なわれた講義の中で、「日本人は、和の文化を強請りの手段に使う」「沖縄は日本政府に対するごまかしとゆすりの名人でゴーヤーも栽培できないほど怠惰」と発言、そしてさらに、沖縄を米自治連邦区の一つ、カリブ海の島プエルトリコに例え、「沖縄県民も肌が浅黒くて背が低く言葉にも訛りがあり、スペイン植民地時代のプエルトリカン土民と変わらない」と発言したことも発覚。

これに沖縄県議会は撤回と謝罪を求め、また抗議する旨全会一致で決議。県内各自治体議会からは抗議・非難の決議が相次いだ。元沖縄県知事大田昌秀は「要請申し入れのために会った事があるが、いかにも“上から目線”の人物で、外交官というより軍部の文官。沖縄はアメリカ軍将兵の血で購われた土地だから何をしようと自分達の勝手と考えているアメリカ人の一人」と評した。

結局、米国政府はメアの更迭に追い込まれた。後任にラスト・デミング元駐日首席公使を任命した上で「米政府として深い遺憾の意を示し謝罪する」と表明。ルース米大使も沖縄県を訪れ謝罪した。

いってみればケビン・メアは、これまで数々の言動が物議を醸してきた石原慎太郎と同じだ。違いは、米国はメアを首にして言動の責任を取らせたことだ。日本はどうだろうか、石原はいまだ責任をとらず生き延びている。

いずれにしろ、読売は何でこんなつまらない男の発言を記事にしたのだろうか。この男、退官後、使用済み核燃料の再処理問題を手がけるコンサルティング会社に就職し、すでに一民間人であり、米国政府を代表する外交官ではない。よほど記事のネタがないと見える。

参考:メアの写真、琉球朝日放送記事から

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参考:メアの発言引用:

2006年8月、普天間飛行場外周にまで住宅が密集している現状に「普天間は特別ではない。飛行場として特に危ないとは思わない」。また2010年、「(住宅地に近い)福岡空港や伊丹空港も同様に危険」と反論。

2007年6月、海軍掃海艦の与那国島寄港計画が反対されると、「日本の安全保障に貢献している米海軍の入港になぜ反対するのか理解しにくい」。8月、沖国大米軍ヘリ墜落事件に関し沖縄県警察が事故ヘリの整備員の氏名開示を求めたが米側が応じなかったことについて「米側が調査し原因は分かっているのに、整備員の名前を聞いて何を調査したいのか疑問だ。事故が起きない方の努力が大事だ」。

2008年2月、米兵女子中学生暴行事件についての市民団体の抗議活動に対応せず外食。「不当な抗議行動をする方と会っても冷静な議論はできないと考えた」。4月には、日米地位協定見直しを「ある政治家と団体が政治的に利用し、政争の具にしようとしていることは非常に残念だ」、基地外居住者の実態把握のため外国人登録を義務化する案について「日本の防衛に貢献するため命を犠牲にする用意がある人に、日本に税金を払う義務を課す主張があるのは不思議だ」との発言を行なっている。7月、普天間飛行場がアメリカ軍の安全基準に違反するとの市長・伊波洋一の指摘に「基地外の建設を制御する安全基準で、なぜ滑走路の近くの基地外に、宜野湾市が建設を許しているのかわからない」。

2009年4月、海軍掃海艦石垣島寄航に反対し住民が港の金網に掲げた横断幕が持ち去られたことを「置いていた物が取られた? 捨てられたごみを片付けただけではないか」。

2010年12月3日、沖縄研修旅行を控えたアメリカン大学の学生を対象に国務省内で行なわれた講義の中で、「日本人は、和の文化を強請りの手段に使う」「沖縄は日本政府に対するごまかしとゆすりの名人でゴーヤーも栽培できないほど怠惰」といった発言をしていたと2011年3月に報道される。

また日本国憲法第9条について「もし日本が改憲するなら、日本は在日米軍を必要としなくなり集団的自衛権が行使されていたはずで、アメリカにとっては悪い事態になる」「思いやり予算はアメリカの国益にとって有用で、われわれは日本で非常に得な取引 (good deal) をしている」。

2011年4月、ウォール・ストリート・ジャーナルとのインタビューに応じ、発言に関する報道は誤解であると述べ、「私の発言ではなく、沖縄の米軍基地再編を阻止しようとする意図を持ったグループのでっちあげだ」と反基地運動との関連性を指摘し、「決して言っていない」「日本は合意に基づいて意思決定を進める。良いところでもあるが、時に弱点もある」「沖縄は政治的に非常に複雑な場所で、もし政府が地元の合意と理解を得なくてはならないという立場を取ると、現実にこの15年間が示すように、再編計画を前に進められない」と述べた。

また、「沖縄県民は、怠惰でゴーヤーも育てられない」と言ったとされたことには「完全なでっちあげだ」と否定し、発言は表に出さないオフレコの条件だったし、学生たちは講義から約2カ月半後に発言録を作り、「何の信頼性もない」と述べた。

しかし、当時同席していたアメリカン大学のデビッド・バイン准教授は「彼は再び信じ難い発言をした、全て真実だ」と否定した。バイン准教授によれば、メア元部長は当時更に沖縄をプエルトリコに例え、沖縄県民はプエルトリカンのように「肌が浅黒くて背が低く、訛りがある」と発言したという。

この「日本人は、和の文化を強請りの手段に使う」「沖縄は日本政府に対するごまかしとゆすりの名人でゴーヤーも栽培できないほど怠惰」といった報道に対し、著書『決断できない日本』の中で共同通信社の欺瞞であると反論している。また沖縄の人はプエルトリコ人のように「肌が浅黒くて背が低く、なまりがある」と発言したとされたことには、バイン准教授の曲解だと否定している。

 

 


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