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平和度の国際調査 安倍の答弁を見破る(危機的状況は”出任せ”だった)

2015-09-17 | Weblog

安全保障環境 危機的状況から遠く 

日本の「平和指数」4年連続8位

国際的なシンクタンク「経済平和研究所」のホームページによると、各国がどれくらい平和であるかをランキングで示す「世界平和度指数」の調査で、日本は二〇一二年から四年連続で八位となっている。

同研究所は米国やオーストラリアなどを拠点にした独立系のシンクタンク。平和の促進による経済や文化の向上を目指している。同指数の調査は〇八年に開始し、世界で唯一、平和度を測定する研究とされる。英国の経済誌「エコノミスト」の関連部門とも協力し、データを分析している。

具体的には、世界人口の99・6%を占める百六十二カ国について、治安やテロの脅威、周辺での紛争の有無、軍事力など二十三項目を指数化。指数が高いほど不安要素や危険が大きく、指数が低いほど平和な状態を意味する。

一五年のランキングでは、最も平和な国はアイスランド(指数一一四八)で、二位はデンマーク(同一一五〇)。八位の日本(同一三二二)はアジアで唯一、十位以内に入った。日本は〇八年の調査開始から毎年十位以内に入っている。

米国は九十四位(同二〇三八)で、最も危険とされる百六十二位はシリア(同三六四五)。

一五年のランキングでは、日本を含む「多くの先進国」の平和度が「歴史的に高い水準にある」と評価。半面、「平和な国と、そうでない国の二極化が進んでいる」として、中東や北アフリカでの危険度増大を指摘した。

◆首相の主張 説得力欠く

安全保障関連法案をめぐる国会審議で、安倍晋三首相は「わが国を取り巻く安全保障環境が変化した」と繰り返してきた。しかし、中身をよく見ると「一日も早い、法制の整備が不可欠」(首相)という危機的な状況とはいえず、説得力に欠けている。 

国際的なシンクタンク「経済平和研究所」が毎年発表する「世界平和度指数」で、日本は今年八位に選ばれている。

一方で首相は北朝鮮の核とミサイルの脅威を強調する。参院での審議では「尖閣諸島(沖縄県)の領海に(中国の)公船が侵入を何回も行っている」とし「中国のこうした行動こそが安全保障環境の変化」と名指しで批判した。

北朝鮮の核開発は最近のことではない。一九九〇年代に本格化し、ミサイルの技術水準も年々向上している。脅威であることは間違いないが、北朝鮮は核、ミサイルを、国威発揚や米国向けの外交カードとして最大限に活用してきた。

日本側の対応を見て、開発を中断する可能性はほぼなく、安保法制が抑止力になるかは疑問だ。北朝鮮の言動を見極め、関係国と協調して、冷静に対応することが必要だ。

中国との問題は、尖閣諸島をめぐる争いに集約されるが、すでに日本が実効支配している領土を武力攻撃すれば、侵略行為とみなされる。

そうなれば、日本は個別的自衛権で対応することになり、集団的自衛権の行使は不要だ。オバマ米大統領も、尖閣は日米安全保障条約の適用範囲だと明言している。中国が米国を敵に回してまで尖閣を奪おうとすることは、現段階では考えにくい。

一方的で、高圧的な行動が目立つ中国を「理解できない相手」と突き放しても問題解決にはならない。不測の事態を避け、国民の安全を守るには、まず防衛当局間で信頼関係を築く方が現実的だろう。

集団的自衛権行使の代表例として安倍首相が言及してきた中東・ホルムズ海峡での機雷掃海については、首相自身が国会答弁の中で実現性を否定。「安保環境の変化」のあいまいさを露呈した。(東京新聞2015/9/17)


 写真:高校生たちの”反安保”・”反安倍”デモ行進。渋谷にて。