都知事選:即時原発ゼロから容認まで 候補予定者さまざま、
東京都知事選(2月9日投開票)に出馬表明をした主な立候補予定者4人が22日、それぞれ記者会見し、最大の争点である原発政策への考え方が出そろった。
前日本弁護士連合会会長の宇都宮健児氏(67)と元首相の細川護熙氏(76)はともに「即時原発ゼロ」を訴えたが、宇都宮氏が「一番重要なのは働きやすく、暮らしやすい街にするかどうか」と述べたのに対し、細川氏は「(脱原発に)一番優先的に取り組む」と違いを見せた。
元厚生労働相の舛添要一氏(65)は長期的に原発への依存を低くするとした。元航空幕僚長の田母神俊雄氏(65)は原発容認の姿勢を示し、他の3氏と明確に線を引いた。(毎日記事)
参考:小泉元首相が原発について考えるきっかけとなった映画
「100,000年後の安全」
日本語版映画『100,000年後の安全』
監督:マイケル・マドセン
(2009年/79分/デンマーク、フィンランド、スウェーデン、イタリア)
原発から生まれる高レベル放射性廃棄物の処理をめぐり、未来の地球の安全を問いかける問題作。小泉元首相が本作を観て、映画の中で描かれたフィンランドの最終処理場「オンカロ」を視察で訪れ、自らの意見を"脱原発"に大きく転換するきっかけとなった。
フィンランドは脱原発国ではなく、現在4基の原子炉が操業中で今後2基を建設予定、総発電量のうち原発による電力は約30%である。そのうえで、高レベル放射性廃棄物いわゆる「核のゴミ」を出すならその処分まできちんとしよう、トイレのないマンションではなく、マンションにはトイレを作ろう、ということで、世界で初めて地下処分場選定が最終決定した国である。
この処理場、通称「オンカロ(フィンランド語で"隠された場所"の意)」は、2020年に操業開始を予定しており、最大9000トンの核のゴミを収容できる。原子炉1基からは年間約20トンの核のゴミが排出されるため、合計6基の原子炉で50~60年間運転する場合に発生する量の受け入れに対応できる事になる。
ちなみに、核のゴミを直接処分するフィンランドと違い再処理する方針の日本には50基の原子炉があり(現在すべて運転停止中)、これまでの使用済核燃料は地上に保管されている。昨年3月末時点で国内の使用済核燃料は約1万7000トン(各原発内に約1万4000トン、六ヶ所村再処理工場に約2900トン)となっている。2007年操業予定だった六ケ所村再処理工場は試運転の度に技術的トラブルが生じ、完成が20回延期されており、3.11以後は地震や津波対策の安全基準が見直されたこともあり、本格稼働の目途は立っていない。また、再処理でウランとプルトニウムを取り出した後の高レベル放射性廃液は、ガラス固化し最終処分されることになるが、2002年から処分地選定のための調査地区の公募が行われているものの、未だ候補地は決まっていない。
本作の映画監督マイケル・マドセンは、こう言っている。「オンカロの取材をしたとき、学者たちに「高レベル放射線廃棄物処理場が作れない国があるとしたらどこか」という質問をしました。その答えは日本でした。
現在の科学では放射性廃棄物の処理は地層処理しかないと言われていますが、地層処理場ができないのに原子力を持っている国である日本は、火山があり地震があり、常に地層が安定していません」。