晴、26度、90%
私が小さい頃、昭和30年代は「卵」は貴重品だったと思います。母方の実家に行くと庭には「鶏」が放し飼いにされ「卵」を産み落とすと祖母が大事に拾って台所脇の大きな棚の籾殻が敷かれた木箱に仕舞っていました。「卵」はお客時、冠婚葬祭などで振舞われました。毎朝「卵」など考えもなかった時代でした。晴れの食べ物でした。
香港では今でも市場に行くと「卵」を売ってる店があります。香港の新界の養鶏場から来る「卵」、中国の「卵」などです。スーパーに行けば世界各国の「卵」が手に入りました。近隣東南アジア、日本はもとよりアメリカ、フランス、オランダからも「卵」が輸入されます。ほとんどの国からの卵を食べました。「卵」の安全性や美味しさは考えてはいましたが、その「卵」を生む「鶏」のことは考えない日々を送っていました。つまり私の中に生きた「鶏」が産む「卵」という考えは欠落していたのだと思います。工業製品の一つと思っていたのかもしれません。
「卵」を産む「鶏」のことを考えるようになったのは最近です。「卵」を取るための「養鶏場」は肉としての「鶏」とは違う「養鶏場」で飼育されるのだそうです。一日中「卵」を産むために狭いケージで一生を送ります。「卵」を産まなくなる、産む個数が減ると殺傷されるのだそうです。およそ一年の命です。
アメリカの輸入「卵」でとても値段の高い「卵」がありました。「フリーレインジ」つまり平飼い、放し飼いの鶏の「卵」です。日本では平飼いの「卵」はごく少数の農家でしか手に入らない現状だそうです。土地の広さもあるでしょう。「卵」の背景を考えると「鶏」への動物虐待ではと思うようになりました。
スーパーで手軽にしかも安く手に入る「卵」は確かに便利です。「卵」料理が大好き、お菓子にも使います。私自身、大量生産される「卵」の恩恵に預かっています。それでも「鶏」のことを考えるようになって「卵」一つ一つに「ありがとう」と声をかけるようになりました。
小さい頃は卵売りのおばさんから新聞紙に包まれた「卵」を受け取り大事に持ち帰りました。今の子供達が知らない「卵」の大事さでした。今日は何度「卵」に「ありがとう」って言うのかな。「卵」から「鶏」を思う日々を送っています。
先日、平飼いされている方をテレビで見ましたが、10個1パックで、1000円〜になるそうです。確かにあの手間ひまを考えると納得です。そんな農家さんを増やすために、こちらを購入した方がいいか、でもふんだんに食べれなくなる、迷います。
壁に飾っているのは何ですか?
チーズスライサーと柳の小さなトレーが壁に。