チクチク テクテク 初めて日本に来たパグと30年ぶりに日本に帰ってきた私

大好きな刺繍と大好きなパグ
香港生活を30年で切り上げて、日本に戻りました。
モモさん初めての日本です。

「洋食のこつ」茂出木心護

2023年09月12日 04時52分51秒 | 

晴れ、25度、88%

 料理など何も知らないまま、自炊を始めたのは18歳の時でした。そこで、料理の本を買いました。私が初めて買った料理の本は「洋食のこつ」です。買った本屋さんは銀座の「近藤書店」でした。海外も含めて度重なる引越しで処分した本の一つです。昨日の「コールスロー」もこの本からのレシピで作り始めました。表紙の綺麗なオムレツの写真、こんなオムレツを焼きたいと思い買った当時のことを覚えています。「古本サイト」を探しましたが見つかりませんでした。でもありました!Amazonです。値段が安いのでひどい状態だろうと想像しましたが、今一度、手に取りたくてプチンとしました。昨日、届きました。

 驚くほど綺麗な状態の本です。天、地、小口に日焼けがあるだけです。はっきりと記憶に残っていたオムレツの写真、今だにこんなにきれいには焼けません。懐かしさから昨日はこの本と過ごしました。昭和45年初版。東京の洋食屋「たいめいけん」の初代「茂出木心護」さんが書いた本です。あいにく「たいめいけん」へは行ったことがありません。昭和の洋食屋さんです。この店の一番人気は「ハンバーグ」だった様です。そのハンバーグの付け合わせはもちろん「コールスロー」。ケンタッキーフライドチキンが日本に来る前のことですから、「コールスロー」も珍しい食べ物だったでしょう。

 「しゅうまい」「いなり寿司」の作り方まで載っています。ただし、大さじ幾つとかカップ何杯という記載は全くありません。初めての料理の本にしてはハードルの高い本でした。でもこの本が私の料理の一歩目です。

 その後も料理教室に通える様な経済状態ではなかったので、料理も菓子作りもパン作りも全て本から学びました。今は便利ですね、ウェッブで全部わかります。それでもやはり紙の本が好きです。料理が好きな前に紙の本が好きです。私の料理の本の数、数えたことはありません。香港からの帰国時にはたくさんの料理の本を捨てました。それでも100冊以上ではと思います。英語で書かれた本も多数、レシピ本だけではありません。食、食材にまつわる話の本も含みます。料理教室には行けませんでした。その代わりたくさんの料理の先生が私にはいます。その最初の本がこの本です。また、私の本棚に戻って来ました。

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「表装ものがたり」濱村繭衣子

2023年08月22日 05時26分26秒 | 

晴、27度、91%

 「表装」は掛け軸の絵や字の部分を囲む装いです。素敵な絵も心に響く書体も掛け軸に仕立てるときの布回し「表装」一つで印象が違ってきます。その「表装」の妙を教えてくれる本「表装ものがたり」を新聞の書評で知りました。プチンして翌日届けられました。

 掛け軸を求める時、もちろん「本紙」と呼ばれる書跡、絵画にまず目が行きます。そしてその周りの軸に仕立てるときに使われている様々な「裂」を確かめ、全体の雰囲気を自分の家の床の間に掛けた様子を想像します。「裂」の配置には一応決まりがありますが、私は色合いを一番に見ます。春に掛けようと思う掛け軸なら春らしい淡いものを選びます。「本紙」の色との調和も大事です。掛け軸選びの面白さです。

 家に床の間がない方が多いと思います。掛け軸を目にするのは今では美術館や博物館が多いのでしょうか。ライト照明、立ったままで見る掛け軸は日本家屋の床の間に置かれたときとは違って見えるかもしれません。

 「掛け軸」が好きなので「表装」を随分勉強しました。使われる布の種類、名前の分厚い本も持っています。「表装ものがたり」はそんな知識ばかりか、意外な「表装」を教えてくれました。きらびやかな「表装」は日本生まれです。中国から伝来した「表装」ですが、使われる「裂」は日本では豪奢なものが使われています。私も中国の掛け軸を持っているのでその違いはよくわかります。基本の「裂」の配置も若干違います。この本では紙を使った「表装」や決まり事を全部外したような「表装」を見せてもらいました。

 隠れキリシタンが自分たちの手で作った「表装」、傷みの修復も素人の信者たちの手になるものには心打たれます。小さな掛け軸だそうですが、その前で一心に祈る人たちの姿を思い浮かべます。「数寄者」とやばれる裕福な方達が戦前、競うようにして作った「表装」にも目を奪われました。「表装」自体が「本紙」より高額だったものもあるとか。民芸の創始者「柳宗悦」が自ら作った「表装」にも驚きました。布選びからしてまさに「民芸」です。

 ありきたりな「表装」の知識だけでなく、知らない「表装」の世界を見せてもらいました。数時間で読み終わりました。満ち足りた時間でした。

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「オーウェルの薔薇」 レベッカ・ソルニット

2023年08月15日 04時55分35秒 | 

曇、27度、89%

 社会派の作家ジョージ・オーウェルの本を立て続けに読んだのは20代の終わり、1980年代のことでした。毎月一巻発売される晶文社の本を楽しみに待ちました。 「オーウェルの薔薇」と新聞に出ていた題名に目が止まったのはふた月前です。和訳は岩波書店から出ていますが、英語版を取り寄せました。オーウェルの家の庭の薔薇からこの作家の伝記的な本だと思い読み始めました。

 オーウェルは晩年、庭に薔薇や果物の木を植えその手入れをするのが楽しみだったそうです。そこまでは私が思っていた筋書きでしたが、この本はそれだけでは終わりませんでした。ソルニットはオーウェルの薔薇からあらゆる方向に話を巡らせます。化石燃料としての石炭の話、社会主義における政治の裏話、圧巻は南米コロンビヤの薔薇農園の話です。

 地元コロンビヤ人を雇っている薔薇農園の就業状況や汚染体質の企業であるとリポートします。アメリカ向けの薔薇を栽培する従業員は「母の日」「クリスマス」前はトイレに行く回数さえ監視されるほどの過酷な条件の元働きます。その農園の周りには虫一ついない、ケミカル漬けです。そういう話の展開は私の予想外、でもソルニットの視線は社会派オーウェルのそれと同じです。ソビエトのスターリンが別荘にレモンの木を植えるよう命じた話には、ソビエトの持つ社会的な背景を今のプーチンに重ね合わせます。

 ソルニットはオーウェルが好きです。彼が植えた薔薇を実際に見て描き始めたこの本は話が多岐に飛びますが、それが見事に一つの本にまとまっています。アメリカ人ソルニット、私より4歳下の彼女の英語は難しかった。イギリス人が書く英語のようです。しかも話が政治的なものを下書きにあらゆるの方向に向かいます。

 7月の終わりから主人の帰宅、孫娘の到来、本を読む時間が持てないだろうとやっと孫が来る前日に読み終えました。久しぶりに胸に落ちる本に出会いました。いい本です。ソルニット、「戦争」の反意語はと聞かれた際に「庭」と答えたそうです。私の心にストーンと響きました。

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ヘルマン・ヘッセ「庭仕事の愉しみ」

2023年07月27日 04時57分09秒 | 

晴、29度、90%

 雑誌をパラリと立ち読みしていたら、ヘルマン・ヘッセの写真が出ています。キャプションに「晩年、庭仕事を愛したヘルマン・ヘッセ」と書かれていました。ヘルマン・ヘッセ、「車輪の下」などで有名なドイツの作家です。私は中学の頃、ドイツ文学にすっかり魅せられた時期があります。ヘルマン・ヘッセ、トーマス・マン、シュトルム、シュテフターを読み漁り、挙句にNHKのラジオ「ドイツ語講座」まで聴き始めました。もちろん長続きはしませんでした。

 ヘルマン・ヘッセは好きな作家です。1996年初刊和訳「庭仕事の愉しみ」と言う本が出ていると知り、早速ポチリとしました。庭仕事中のヘッセの写真がたくさん出ています。ストローハットにメガネ、白のシャツ白のズボン姿のヘッセはどれも楽しそうに庭仕事をしています。晩年、目の衰えで執筆の仕事が長くできなくなると庭に出ていたそうです。ドイツの家、、スイスの家、どれも畑が続くような庭にブドウを植え、花を咲かせ、それぞれを見事に手入れしています。良い土を作るための「焚き火」も欠かせない仕事の一つだったそうです。ヘッセが本の挿絵や友人に宛てた手紙に描いた水彩画も載せられています。 本の最後には数編の短編小説がありました。日本語ですので読み終わるのに二日です。

 たとえ目の不調が庭仕事にヘッセを向かわせたのだとしても、その庭仕事からヘッセがもらったもの、庭仕事へのヘッセの心の向き方、それが余すところなく書かれていました。

 今の時代とは違います。戦後敗戦国となったドイツでの生活は精神的に耐え難いものがあったようです。世界中がアメリカの風潮になびくことを嫌っていたそうです。一つの花から教えられること、一本の木が導いてくれること、焚き火が迷いや気持ちの高ぶりを鎮めてくれること、私も日々経験していることです。「焚き火」が恋しくなりました。昔はこの家の庭で「焚き火」をしていました。ある頃から母が消防署へ電話をしてから「焚き火」を始めるようになりました。今では焚き火は禁止です。

 巻末の短編小説も心にストンと落ちる話でした。Z世代の子供達には理解できない世界かもしれません。

 この本は今も文庫本で刊行されています。私は単行本の古本を手に入れました。値段が3分の1でした。おそらく以前の持ち主は読んでいなかったのではと思います。実はずっと読み続けている本があるのですが、気になる本が出てくるとポチント新しい本を入手してしまいます。あと一息、読みかけの本を読み上げましょう。

 久々に琴線に触れる本との出会いでした。

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「寝煙草の危険」マリアーナ・エンリケス

2023年07月20日 05時10分52秒 | 

雨、26度、90%

 新聞の本の広告、「カズオイシグロ」の名前が目に留まりました。彼が絶賛している本だと書かれています。「寝煙草の危険」面白い題名です。和訳が既に出ていますが、英語の本を送ってもらうことにしました。和訳の値段の半額です。イギリスから送られて来ました。

 本を開いて初めて知りました。原作はスペイン語で書かれています。作者「マリアーナ・エンリケス」はアルゼンチンの作家です。つまり私は英訳された「寝煙草の危険」を読み始めました。12の短編からなる本です。

 一気に読み上げました。奇妙な話ばかりです。ホラーやオカルトに近い話が12も続きます。死体を食べる話、吐瀉物の話、ムカムカとしそうな話が続くのに、どこかで自分の中にある何かに触れてくる話です。本の題名の「寝煙草の危険」は老婆が寝煙草で火事を出します。その焼死体の匂いで階上の住民が目覚めるというストーリーです。実際にありそうな話からほんの少し脇に逸れると有り得ると思わせる物語の組み立てが面白い本でした。私は死んだ赤ん坊が幽霊となってフワフワと付きまとう最初の話が好きです。

 原語のスペイン語で読むことができるとまた違った感覚を受けるかもしれません。和訳はどんな風なのだろうとも想像します。アルゼンチンの話は初めて、もちろんアルゼンチンの女性作家の本も初めてです。南アメリカの国、今まで遠いと感じていた国を急に身近に思います。日本とは違った重さ、暗さ、奥深さが読後に残ります。

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若い現代作家の本

2023年07月12日 05時00分17秒 | 

曇、29度、89%

 30代の現代作家の本を買いました。小説です。新聞の書評を見て、気になったので買いました。本を買うのに本屋に行きません。Amazonでは新刊でも新中古本としてお安く買うことができます。プチン、で翌日には届きます。

 短編が6つ入った本でした。日本語なので一日かからずに読み終えました。一つ一つ読み終えた頃にはこの作家の世界にズップリと嵌っていました。いつものことです。読み終えたの十日ほど前のこと、本の感想を書こうとしても言葉が見つかりません。「どうしてかしら?」この十日その理由を考えました。

 日本語ですから、わかっていないわけではありません。現代作家が書いた現代の話です。私の心に馴染まない話、つまり心に届いていないと思い至りました。そう、話のストリーは分かっていても、6つの話に心が動かなかったのです。

 実は最近こうしたことがよくあります。本屋に出向かないで本を買うからかとも反省します。心に響かなかった本は「箱」に詰めて本屋さんに引き取ってもらいます。「箱」一杯になると送り出します。本の選び方に失敗があるのか、私の心が共鳴しない本があります。勿体無いと思う気持ちと心が共鳴しないというのは「心の老化」かもしれないとボーッと考えます。新しい若い作家の持つ眩いものを受け入れる素地が私に無くなって来ているのかもしれません。

 本を読んでいて途中でそれに気付くこともありますが、いつも最後まで読み終えます。「箱」に溜まった本はできるだけ見ないようにしています。私の汚点のように見えるからです。そろそろ箱いっぱいになります。宅配のおじさんが取りに来てくれます。「箱」を手渡すとき何故か気恥ずかしく思います。

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エリザベス・ストラウト「海辺のルーシー」

2023年05月23日 05時17分46秒 | 

雨、19度、90%

 昨年11月に刊行されたエリザベス・ストラウトの新刊「海辺のルーシー」、予約して入手していたのに読み終わるのに半年もかかりました。主人の3年ぶりの帰国、ひと月も家にいました。私は朝から晩まで台所にいました。その主人が実家の売却を決めて、香港に戻りました。実家の後片付けは私の仕事になりました。そんな状態で本は一向に進みませんでした。

 エリザベス・ストラウトの本は「ギタリッジシリーズ」の方が翻訳が出ているので有名です。「ルーシー」が主人公の本は2冊目、ルーシーの設定はエリザベスその人をかぶせてると感じます。「海辺のルーシ」はパンデミックが始まったニューヨークから話で始まります。パンデミック当初のニューヨークの様子をテレビで見って記憶にある方も多いのではないでしょうか。医療も生活もパニックに陥っているかのような様子でした。

 作家のルーシーはそのニューヨークから初めの夫であるウィリアムの勧めで海辺の街へと逃れます。ルーシーもウィリアムも2度の離婚を経た二人です。科学者であるウィリアムは大きな感染を予知していたように、元妻ルーシーを連れて用意しておいた海辺の家へ逃れます。ニューヨークから逃れて来た者を地元の人は歓迎しません。それでも次第に受け入れられ2年目には家を買い取って二人が再婚するに至るまでの話です。

 二人の娘の家庭の話も絡んで来ます。身近な人の感染、死亡も話に盛り込まれています。ウィリアムの2度目の妻との行き来も話に出て来ます。エリザベスが描く話は重い空気を持つ作品でも大きな空気穴があって、最後にはホッとさせられます。「よかったね。」と微笑むことができます。一番多い感染者が出た当時のアメリカの様子にアメリカ人が描く生々しい興味もありました。

 ニューヨークの家を手放し、海辺の街メインに家を持ったルーシーとウィリアム、年齢は70歳代です。70歳目の前の私に置き換えると、元夫とはいえ、再婚し住みなれた街を離れるなどできるかしら?とアメリカ人のものの捉え方に溝を感じます。何が違うのかな?元気といえば元気ですが、そうでなく世界観の違いのような気がします。

 やっといつもの時間にデッキに座って、本を広げるようになりました。気になる本を買い溜めてしまいました。片端から読まなくては。この本まだ翻訳が出ていません。「海辺のルーシー」は私がつけた題名です。

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Oh,William! エリザベス・ストラウト

2022年09月29日 04時53分10秒 | 

曇、22度、84%

 エリザベス・ストラウト、アメリカの作家です。「私の名前はルーシー・バートン」「オリーブ・ギタリッジの生活」など、翻訳本が日本でも出ています。ほぼ同じ歳のエリザベスの書くものは、身近な題材ですぐにその世界に入っていくことが出来ます。

 「おー、ウィリアム!」はまだ翻訳されていません。主人公ルーシー・バートンが前夫であるウィリアムのことを書いた作品です。ルーシーとウィリアムは大学卒業後結婚し二人の女の子に恵まれます。ところがルーシーが子供を置いて家を出て離婚、ルシーはデビットと再婚し、今は死別しています。ウィリアムはルーシーと別れた後、2度再婚し、この物語の中で3度目の妻が家を出て行きます。

 この辺りまではアメリカによくある話でした。ルーシーとウィリアムは子供もありますから離婚後は友人関係です。ウィリアムは3度目の離婚後、自分の母親の生涯に新しい発見がありました。キャサリーン、つまりルーシーにとっては元義母です。

 キャサリーンは再婚でウィリアムを設けます。ウィリアムはそのキャサリーンが前夫との間に女の子があり置いて家を出たことを知ります。つまり、ウィリアムの姉です。その見知らぬ姉に会いに行こうと、ルーシーに付き添いを頼みます。自分の知らない姉に会うのが怖いと思うウィリアムです。実際にその姉と会って話をしたのはルーシーでした。そこで、義母キャサリーンの生まれ、育ちを聞かされます。ルーシーは初めて聞く驚きの義母の生まれでした。キャサリーンはルーシーがウィリアムと結婚した時は、優雅な豊かな生活を送っていました。キャサリーンは病気になり見送ったのはルーシーです。

 亡き義母キャサリーンの出生地をウィリアムと訪れます。そこに見たものは、家とは言えないような小さな建物でした。極貧、家庭環境の悪い出身のキャサリーンだったとは、ウィリアムですら知らないことでした。驚きと虚しさに落ち込むウィリアムです。

 このキャサリーンの生い立ちにルーシーが自分と重ね合わせルところからが、作者エリザベスのこの本の着眼点だと思います。軽い話のつもりで読み進めていたのですが・ルーシーが義母と自分を重ね合わせ始めるところからは実に読み応えがありました。

 ルーシーが主人公の「私の名前はルーシー・バートン」はまだ読んでいません。10月にはルーシーのその後を書いた新刊も出ます。この2冊が送られてくるのを待っている最中です。

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犬の本

2022年09月02日 02時41分29秒 | 

雨、21度、90%

 雨の日は本棚の前に座り込みます。整理して数を少なくしようと座るのですが、一旦本を開き始めると思わず読んでしまいます。大きな引っ越しもしました。帰国して5年、もう読まないなあと思う本を数回整理しました。引っ張り出した本、「やっぱり捨てられない。」とまた本棚に戻します。

 犬の本もたくさん持っていました。残っているのは3冊、 古い本です。下の2冊はフォトブックです。ページをめくり、添えられた文章を読むだけで犬たちの表情に心和みます。犬が主人公の物語も数ありますが、「THE DOG」は心に残る一冊でまた読み返したいと思います。しばらく楽しんだ後迷わず本棚に戻しました。

 雨の日は本棚の前に座り込みます。読み返す度に新しい発見があります。自分の注意力なさに呆れます。雨の音を聞きながら、本を前にしてゆっくり時間が流れます。

 

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ウィリアム・メレル・ヴォーリズ

2022年08月28日 04時42分33秒 | 

晴、25度、76%

 ウィリアム・メレル・ヴォーリズをご存知でしょうか?明治時代の終わり頃日本に来日したアメリカの宣教師です。メレルはたくさんの顔を持ちます。日本に「メンソレータム」をアメリカより持ち込んだ人物、宣教師、建築家、英語教師などなど。私がメレルのことを知ったのはまだ香港にいる時、20年ほど前のことです。近江にある小さな住宅を設計した人物として知りました。大正時代に建てられた「メンソレータム」の会社の従業員の住まいです。アメリカ式ではありますが、建てたのが洋風建築を知らない日本の大工です。この時代に、近江という街でこんな家を建てた人があることに驚きました。

 調べるとメレルは旧大阪大丸の建築や関西のミッション系の学校建築も手がけていました。現存する建物も数多くあります。いつかメレルの建築物を見て回りたいと思いました。数年前、軽井沢に行く機会に恵まれました。軽井沢はメレルにとって近江の次に縁の深い街です。まだ雪の跡が残る軽井沢は人も少なく閉まっている店ばかりでした。友人たちとの待ち合わせの前に「軽井沢聯合教会」の建物を訪ねました。雪道の向こうに人気のない木造の教会が見えました。閉館中で窓ガラス越しに中を覗きました。

 帰国したら日本各地のメレルの残した足跡を追いたいと考えていたのに、どこにも旅行出来ない世の中です。メレルのことを今ひとつ詳しく調べたいと「失意も恵み」という本を買いました。設計士、宣教師の両面から書かれた本です。明治時代に来日した由来から戦争中アメリカ人でありながら帰国せず日本にとどまったことなど初めて知ることばかりでした。メレルは日本国籍を得ています。時代順に見る建築物は次第に公共性の強い大きなものへと変わって行きます。思いかけず私の住む福岡の近辺にもいくつかその建物が残っているそうです。

 人となりに感銘しますが、小さな住宅の設計士としてのメレルに魅力を感じます。小さな家は「近江」「軽井沢」に数軒残っているばかりだそうです。とりあえず秋空の元、身近な建物を訪れましょう。学校や商業施設の大きな建造物はさておいて、教会、住宅を見るために時間が許す限りメレルの建築を追いたいと思います。

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