たそがれオヤジのクタクタ山ある記

主に北関東の山を方向音痴で歩いています。山行計画の参考にされても責任は負いかねます。深慮せず軽く読み流してください。

甘利山から千頭星山

2008年06月02日 | 山梨県の山
◎2008年6月1日(日)-1人

 土曜日に仕事関係で甲府に行く用事があり、雨の中、車で出かけた。別に車で行く必要はないのだが、甲府まで行く以上、泊まって翌日の日曜日は山にでも行かなきゃ損。天気が梅雨入り前の好天であることは分かっている。だが、翌日の月曜日は平常勤務だし、軽い山歩きしか出来ないという条件が付く。それでもいいやと、ネットで石和の格安プランホテルを予約し、準備万端で出かける。勤務先に請求出来る交通費は、新宿から甲府までのJR往復運賃と特急券のみ。これでは、圏央道の往復高速代で足が出る。まっ、致し方ないか。せっかくだから、行ったことのない山をと考えるが、かつて行き損なった甘利山か、大弛経由で国師ヶ岳くらいしか想定できない。国師まで登ったら、その先の奥千丈までは行ってみたいが、つい鬱蒼とした樹林帯を想像してしまう。雨が降っていれば、子供の頃に映画で観たマタンゴが出てきそう。甘利山がからっとしていそうでいいかもしれない。

 ホテルには、台湾からの観光客が2台の大型バスで来ていた。皆、家族連れ。中国人と違って、揃ってマナーがいい。聞けば、明日はディズニーランドに行くとか。岡山ナンバーのバスだったが、姫路城経由で来たのだろうか。もし、明日、そのまま成田から帰国だとすれば、かなりのハードスケジュール。風呂が混むかなと心配したが、遅い時間に入ってもガラガラ。日本同様に温泉好きが多い台湾なのに、いささか拍子抜け。ガイドがろくに日本語を話せなくて、チェックアウト時にフロントで少々もめていた。ツァー客のスニーカーの底が剥がれてしまったらしく、ガイドがしきりに身振り手振りで説明するのだが、ホテルのフロント氏が持って来たのは救急箱。バンドエイドと理解したのだろうか。傍らにいたジャパニーズのオバサンが、それを聞いていてイライラしたのだろう。フロントに、「靴底を貼る接着剤が欲しいと言っているのですよ」と、あきれた声を張り上げる。フロント氏はいそいそと事務室に戻って行ったが、今度はアロンアルファか輪ゴムでも持ってくるのか。ところでこのオバサンも山歩きスタイル。どこに行くか知らないが、ツガイの片割れが離れたところで突っ立っている。不倫の臭いがプンプンする。こういう時は余り目立った言動を慎むべきと思うが。

 さて、日曜日は予定通りの晴天。東向きの部屋は、4時を過ぎたら、もう明るくなり、ジワジワと暑くなる。完全に目覚めた。朝食の7時までが長い。何とか時間をつぶしながら、朝食後8時前にホテルを出る。便秘気味。昨夜は、バイキングディナーを欲張って食べ過ぎた。今日のコースは甘利山。30年前に歩いたことはあるが、今のように、山頂直下まで舗装道路が続いてなく、車の腹をコスリコスリ行き、もう途中から歩き出したものの、雨にあたり、早々に退却した山。今思えば、椹池周回で終わったような記憶がある。今や、クネクネしながらも、広河原まで、しっかりとした舗装道路が続いている。これなら、かなり楽というか、邪道ハイキングを楽しめそうだ。広河原からの歩き出しは9時15分。車が10台くらい駐まっている。空は晴れてはいるのだが7割がたの雲。青空からそそぐ日差しが心強い。雨の心配は無い。

 千葉からお出ましのジイサン2人組。スパッツを付けた完全武装。草も地面も乾いているのにそこまでしなくてもと思うが。完璧なまでのハイキングコース。両サイド、ロープの中を進むが、ご丁寧にも、50m置きに山頂までの距離表示が垂れている。後で知ったことだが、この甘利山一帯は、レンゲツツジの名所らしく、盛りの6月上旬から中旬にかけては、全山真っ赤になるそうだ。道理で、駐車場もあちこちにあるはずだ。左手に富士山が見えて来る。ちょっとした展望の良い広場。高校生のワンゲルのグループが山頂から下りて来る。大型ザックを背負っているから、鳳凰三山からの縦走かもしれない。まさか、この時期、新入生シゴキで、かつて木が経験したという大きな漬物石か砂袋を30キロもザックに入れて、甘利山往復ということはないだろう。男子よりも女子のザックが概して大きいのはどういうことだろう。頂上直下の平坦地からは富士山が霞みながらも良く見えた。裾野の雲がじゃま。木道を登り、あっという間に甘利山の山頂到着。20分もかからなかった。ここで下っては、何のための一泊か分からない。当初から千頭星山は視野に入れていたから、ためらわず先に進む。道幅がいきなり細くはなるが、しっかりした登山道。甘利山でお終いにしてしまう人も多く、千頭星山に向かう人は約1/3くらいだろうか。ここで、下の広場を見て驚いた。あれっ、ホテルのチェックアウト時に出会った、あのジャパニーズオバサンじゃないの!?。遠くからだからよく見えないけど、感じが似ているし、着ているシャツと背負ったザックに見覚えがある。そして、連れのダンナ(?)は、濃いグリーンのパンツ。きっとそうだ。富士山をバックに写真を撮り合っている。不思議なもので、夫婦だったら、デジカメ1台で済むだろうが、お互いのカメラで撮っている。ますます怪しげ。しかしながら奇遇。山梨には、この山しかないわけでもあるまいに。

 他人の詮索はともかく先に進むが、甘利山からは一旦は軽く下る。そして奥甘利山への登り。さして急なアップダウンはない。笹が出て来る。やがて奥甘利山の裾を巻き、また下る。普通なら、いやらしい程に延々と下って、意地悪な登り返しとなるのだが、このルートは極めて良心的。怒りに変貌する大分前に登りになってくれるから、精神的な寡黙状態にならない。気持ちのいい上りが続くが、気温が上昇し、背中も汗ばんでくる。ところどころで風がスースーして心地よい。やがて緩やかだった傾斜も次第に急になってくる。あっという間に青木鉱泉への分岐。ここが大西峰というところらしい。ここまで、甘利山から1時間。下りて来る人が多くなる。

 立ち休みして出発。かなり下に、千葉のジイサン達の姿が見える。ここからは、さらに傾斜もなくなり、気持の良い笹尾根歩きになる。足尾の国境平の光景を思い出してしまった。千頭星山までは標高差にして70m。標準コースタイムで30分。笹原を歩く。右手に鳳凰三山が見えてくる。地蔵岳のオベリスク。まだ雪が付いている。手前の薬師岳は雲ではっきりと見えない。左はすっきりとした富士山。甲府の街並み。正面が千頭星山。この山域も南アルプスだなぁと実感する。山の懐が大きい。千頭星山そのものは、ただのピークに過ぎないが、山が意外と大きい。笹原で昼食をとっているグループがいる。じっくりと景色を堪能したいところだが、まずは山頂。直下は急ではないが、足元が何かフワフワしていて歩きづらい。あっけなく山頂。大西峰から15分。展望は無い。木の間に、雪山が覗く。あれは、方角からして北岳だろうと確信する。千葉のジイサン連中も追いかけて来た。結構、健脚みたい。2人はここで食事をするつもりでいたのだろうが、展望が悪いとこぼしながら鳳凰三山ルート方面に足を向けて行った。余計に展望には期待できないと思うけど。

 さっと下り、笹原に戻る。適当な場所を見つけて昼食とする。さっきの昼食グループは昼寝をしているが、その中のオバサンが、付近をウロウロして、木陰に消えてまた戻ってきた。花摘みしていたのだろう。ホテルでポットに入れたお湯がまだ熱い。スープを飲み、レーズンのパンを食べる。富士山が次第に雲に覆われてきた。体力的には何となく物足りないものの、この充実の景色には満足した。

 いざ下ると、かなり急で、結構、だらだらと続く。道を間違えたのかと錯覚してしまった。大西峰の下で、例のカップルとすれ違う。やはり、あのジャパニーズオバサン組だった。オバサンは気付かないようだったが、男の方はオレに気づいたみたい。アレっという顔をしていた。オバサンはかなり参っていて、杖もかなり遊んだ使い方をしていた。

 甘利山に戻った。やはり人が多い。ここでしばらく休む。雲が多くなってきた。富士山もかろうじて見える。ジイチャン達を引き連れたオッサンガイド。千頭星の方、人がいましたか?と聞いてきたので、20人くらい入っていましたよと答えた。団体さんが入っていると思ったらしく、いや、バラバラで20人でしたと添えた。本当はベンチに座りたかったのだが、家族連れとカップルが食事していたので、草むらに腰をおろす。ベンチの家族連れは、オカアサンと幼女2人。「今度、オトウサンもいっしょに来ようね」と言ったら、オカアサンが「オトウサンはいいの」と冷たく言い放っていた。どういう家族だろうか。オトウサンがパチンコにでも出かけたのを見はからって、そそくさと弁当を作って、ハイキングに連れてきたとしか思えない。ウチもそこまではなかったけど。

 下りはツツジ苑コースを下ってみたが、たいした距離ではない。しかし、本コースにあった木の段差がないので、枯葉の歩きが心地よかった。駐車場に到着。トイレに向かったが、すごいトイレ。臭いとハエにゲンナリ。これじゃ、個室もすさまじかろうに。駐車場の車は増え、20台くらいになっていた。車の側で帰り仕度をしていたら、オッサンが2人、話し込んでいる。聞くとはなしに聞こえたのだが、何やら、単身赴任で東京から山梨にやってきて、休みの度に家には帰らずに山に登っている。ついては、ここの近くに温泉はないかと、地図を広げて聞いている。初対面のようだが、ここに、コンビニ袋をさげたオッサンが加わって、温泉の話が続いている。疎外されたオヤジ連。オレと同類か。

 今回は3時間程度の行程だったが、結構、満足の山歩きだった。下に降りたら、ガソリンがいっきに170円台に跳ね上がっていた。どんな世の中になるのやら。これからは、山に行くにも軽を使うしかないなぁ。

コメント (1)    この記事についてブログを書く
« 調教山歩き、第2弾。篭ノ登山... | トップ | 四郎岳~燕巣山 »

1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
雨の間の天気 (Yossy)
2008-06-03 21:07:58
日曜日はめずらしく晴れたので、ひょっとしたらと思い覗いてみたら、やはり山でしたか。個性のある人間達が花を添えているみたですね。急な所もあり、写真のような滑らかな感じの所もありと結構良い所ですね。富士山は本当にどこからも見ることの出来る大きな山と改めて感じています。
“充実の景色には満足した”の一言はうらやましいな、見に行ってみたくなりました。
返信する

コメントを投稿

山梨県の山」カテゴリの最新記事