たそがれオヤジのクタクタ山ある記

主に北関東の山を方向音痴で歩いています。山行計画の参考にされても責任は負いかねます。深慮せず軽く読み流してください。

石倉山から勝雲山まで歩いてみた。

2010年04月04日 | 足尾の山
◎2010年4月3日(土)

 ここ2回連続で、鹿沼と足尾の境をうろついていた。もうそろそろコースのネタも切れかかっているし、他の山域に移動したいところだが、どうしてもひっかかっているルートがある。そのルートとは、石倉山の北尾根。一年前、西の尾根から石倉山に登り、山頂から北の尾根を覗いてみたら、心地のよさげな尾根がずっと続いているような気配。地形図でも、確かに、歩き出しはつらそうだが、後はのんびりした尾根続きの印象は受ける。西も北も、点線すら記されていず、まさにマニアックなルート。ついでに、勝雲山という山も、実のところ行ったことがない。勝雲山も、車道からちょっと入れば山頂といった山だが、それだけが目的で行くには難がある。今回の予定コースセットに加えて歩いてみたい。マニアック歩きに欲張りも何もないものだが、ちょっときつかなと思いはしつつも、この辺で、ある程度のコンマなりピリオドを打っておかないと、気になって他の山域に出かけられない。

(取り付き)

(こんな尾根)


 上りのポイントは足尾の向原。先日の尾根歩きの反対側。前回は左で今日は右。駐車地は同じ国道沿いのパーキング。7時5分、歩き出し。鹿沼に向かう県道の旧道と新道の合流点から取り付く。林の中の急登。すぐに尾根に合流するが、地形図を見て覚悟はしていたものの、やはり急。最近まで雪があったため、土が水分を含んでいて、ずるずると滑って歩きづらい。木はもろく、つかむと折れる。町並みの風景がどんどん小さくなる。植林地のためか、人が入ったような形跡はあるが、コース上の踏み跡はない。忠実に尾根を登って行くしかない。意識してジグザグに歩く。30分ほど、ぜいぜいしながら登って、右からの尾根が合流し、傾斜もようやく緩やかになった。疎林になり、展望も少しは開ける。備前楯山、袈裟丸山の一角、横根山。そして、今日の予定に組み込んでいる地蔵岳。まだまだ遠い。

(広くなった尾根)


 獣の臭いが絶えず続き、獣道も縦横に走っている。熊のフンらしき新しい塊もそこかしこに置かれている。鹿の警戒音。尾根伝いに標石も出てきたが、何を意味するものか分からない。二種類あって、一種類は、その山一のマークから古河のものであることは分かった。足尾の山らしい風情。閉山はしても企業城下町。テープやヒモの目印の類は皆無。7時50分、988.6mの三角点。4等三角点。尾根幅も広がり、ちょっとした広場。ここでも、右から尾根が入り込んでいる。しばらく、快適な登りになるが、アップダウンが多く、汗もかなりかいた。尾根は蛇行している。絶えず、コンパスを見ながら歩かないと別の尾根に入り込む危険性がある。左手に樹林帯が見え、つい、変だなと思いながらも、そのまま直進して薄暗い植林帯に入ってしまった。これが下っている。しばらく行って間違いに気づき戻る。やはり、植林帯と接するところから、尾根はカーブしていた。左手に植林帯、右手に自然林の間が本尾根になっている。ここからは分かりやすい形状だ。右手前方に大萱山らしき山が見える。そのさらに奥に袈裟丸連峰。

(石倉山山頂)

(地蔵岳方面)

(袈裟丸連峰)


 繰り返しのアップダウン。いい加減に嫌になったところで、1,113mピークに8時40分に到着。昨年、反対側からここまで来て、今、来た道がなだらかで広い尾根道だと思っていたが、これは思い過ごしだった。石倉山には、西からも南からも入ったが、今日の北ルートは一番きつかったのは確か。決して期待した心地よい尾根とはいえない。ちなみに、東ルートもなくはないだろうが、地形図からすれば、距離は短いが難度が高いルートさがしになるだろう。ほどなく石倉山。8時45分。驚いたことに、山名板が一枚もなくなっていた。あるのは、三角点の標石と汚れて垂れ下がったテープだけ。1月に行った中倉山山頂にも標示がなかった。すごく気になる。狭苦しい山頂。袈裟丸、皇海山が見える。課題は達成したから、ここで引き上げてもいいのだが、ここまで来たからには先に進む。天気も持ちそうだ。次は県境尾根との合流点を目指す。いつ歩いても、ここは複雑な地形で迷いやすい。これまでなかったテープ類は多くなる。左手に地蔵岳が見えてきた。さっきよりも幾分大きくなった。

 テープが見あたらないなと思ったら、やはり尾根を外して、沢に下りてしまっていた。道迷いは慣れっこになってはいるが、やはり不安がかすめる。ここで慌てたらさらに泥沼状態になる。明るく、空が開けていることをいいことに、せっかくだからと、県境尾根にショートカットしようとし、見当をつけて這い上がった尾根は県境どころか、石倉山から続く尾根。しばらくそれに気付かず、県境尾根とばかり思い、歩いていたらどうもおかしい。コンパスを見ると、石倉山に戻っている。ため息をつきながら戻る。ようやく県境尾根に合流。9時40分。相変わらず薄暗い尾根。何度も通ったことのある尾根だが、あまり雰囲気のいい尾根歩きではない。ここもアップダウンがきついし、いくつも尾根が派生している。展望もぱっとせず、男体山がちらちら見える程度。1,143mポイント10時。しばらく休む。かなりしんどくなってきた。ここまで来てしまったからには、最悪、地蔵岳から粕尾峠に出たら、県道歩きかなぁ。弱音が出てきた。でも、あの県道歩きは長いなぁ。

(林道に合流)

(前地蔵岳から地蔵岳)

(地蔵岳山頂の祠)


 林道に合流。この林道は去年、氷室山から地蔵岳を歩いた際、県境に沿ってずっと続いていた林道の延長ではないかと勝手に解釈している。かなり荒廃している。この林道が邪魔をして、この先が分かりづらくなっている。斜面をトラバース。岩場のピークを越えると、日光社寺の標石が出て来た。去年はこの標石を辿って地蔵岳に登った。10時50分、前地蔵岳。下って上って地蔵岳11時。かなりくたびれた。まだ4時間程度の歩きだが、ずっと続いたアップダウンやらルートミスが響いた。横根山、左に方塞山か。まずいことに、雲が黒ずんできた。さっさと下る。ここからは道がしっかりしている。とはいっても、普通の山のハイキングコースのような整備状態ではない。踏み跡がしっかりしているといった程度のこと。

(首欠地蔵)

(粕尾峠)


 展望岩に上がってみるが、雲が多くなって視界も悪い。日光の山は見えない。さらに下る。ここで、オッサンが1人登ってきた。待っていてくれた。「こんにちは。ありがとうございます」に対して、「いや、すみません」という返事。何だかちぐはぐ。地蔵平、首欠地蔵。地蔵山の台座の石碑には、文化年間の字が彫られていた。このお地蔵さんから地蔵岳の名前の由来があるのだろうか。それにしても、もう一方の日光寄りの地蔵岳にはお地蔵さんがいらっしゃらないが。11時38分、粕尾峠。車が1台。先ほどのオッサンのだろう。茨城ナンバーのデリカ。何もここまで来なくとも、茨城には足尾山というのがある。そこで片付くような気がするが。天気もどんよりとしてしまった。もう大きな上りはないという安心感からか、精神的な余力が出てきた。勝雲山に行ってみよう。

(ヤブ歩き)

(キャンプ場?)


 県道を古峰神社方面に歩けばいいだけのことだが、それではつまらないと、テープを見つけ、笹ヤブに入る。しかし、テープを頼ったのがいけなかった。また県道に出てしまった。もうこの先テープはない。踏み跡もない。勝雲山にコンパスを合わせて適当に歩く。笹の背が低いので、歩行が困難なことはない。ただ、ここも地形が不明瞭で、地形図も読めない。尾根らしきものがない。地形図にない林道が何回か横切るが、どこに連れて行かれるか不安だし、無視して、コンパス通りに進む。やがて、キャンプ場らしき施設。何年も使われずに放り出されたまま。学校風の荒れ果てた建物。見ると、「横根高原ロッジ」と記されていた。夜は不気味だろうな。

(勝雲山山頂)


 結局、県道に出てしまった。少し歩くと、左後ろに石の階段がある。勝雲山入口だろうが、案内板は何もない。階段を上って行くと、勝雲山に着いた。12時35分。アンテナだか電波施設がある。そして防災無線の中継局。ここにも三角点。大休止とする。おにぎりを食べる。この山はどうも初めてではないような気がする。何十年も前、横根山に行った時、ついでにここも歩いたかもしれない。電波塔を見て、記憶が呼び起こされた。そんなことを思っていたら、チャリンチャリンと鈴の音。振り返ると、さっきの地蔵岳のオッサン。「またお会いしましたね」なんて挨拶をし、そのままおにぎりのほおばりに戻ったが、鈴の音は聞こえなくなった。先に行ったのかなと思いながら、下山の支度をして振り返ったら、さっきの位置のまま、三脚を立てて、カメラをセットしている。場所は三角点。三角点アタッカーなのかな。「では、お先に」と言って下山しようとしたら、また「すみません。すみません」の返事が返った。何だか、オレがこわいことをしているような感じになってしまった。

(波線入口)


 階段の下にはデリカが横付けされていた。粕尾峠から車か。えらいショートカットだねぇ。こちらは自慢にもならないがヤブこぎだった。ここからは波線ルートで都沢林道に下る。しばらく古峰神社方面に歩き出したが、左に分け入るような踏み跡がない。また戻る。そしたら、デリカの脇に踏み跡があった。こういう駐車の仕方は困るんだよな。見えないじゃないの。へたすれば、足を引きずりながら、また巴の宿を見物することになっていたよ。確かに「すみません」だよ。さて、踏み跡はすぐに消えてしまった。倒木が多くて荒れている。湿地のせいか、ぬかるんでいる。かすかに踏み跡らしいところを見つけては、どんどん北に下って行った。右手に沢が流れ出し、それに沿って歩いた。やがて沢は太くなり、踏み跡も復活した。逆の都沢林道から途中まで歩く人はいるということか。その理由もすぐに分かった。沢に釣り人がいた。この沢に入渓する人が多いのであろう。そして林道出会い。13時22分。前回目にした「歩道」のペンキのところ。天気も何とか持ってくれた。

(国道に合流)


 退屈な林道歩き。釣りと思われる車が数台。殺風景な風景の中を延々と歩き、ようやく県道。今日は行楽日和か、バイクも車も多い。道路に面して水場がある。先日歩いた時には、オバサンが水汲みをしているのを見た。飲んでみた。確かに柔らかい感じの水でおいしい。車がやって来て、ポリタンクを持ったオッサンが出てきた。名水らしい。駐車地に着いたのは14時23分。林道出会いからちょうど1時間。もうそろそろ、この界隈歩きも終わりにするつもりで出かけた山行だったが、こういうマニアックなオタク系ルートも、なかなか渋すぎていいものだ。クセになりそうだ。

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6 コメント

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Unknown (ぶなじろう)
2010-04-05 22:09:28
今晩は。
縦横無尽の歩きですね。ウォ地図を見て、ようやく大体の場所がわかりました。
精通者のみに働くであろう勘も冴えているようですね!ピリオドを打つのはもったいない。せめてコンマ程度でとどめて頂きたいなぁ。
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ぶなじろうさん (たそがれオヤジ)
2010-04-06 13:30:58
こんにちわ。
わざわざ地図でご確認いただきありがとうございます。それほど価値のある山域でもないのですけどね。
こんなマニアック山行は、別に足尾の山でなきゃ出来ないわけでもないし、今度、秩父あたりで試してみますよ。日光じゃまだ雪もあるだろうし。
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勝雲山もですか。 (ハイトス)
2010-04-07 12:16:01
こんにちは。
うぅーんと唸ってしまいました。
石倉山は西の原向から登って県境尾根にむかい、大萱山経由で原向に戻る周回ルートを廻りたいと考えております。
たそがれさんの今回のルートは途中まで想定してみたことはあるのですが、どうしても地蔵の後は粕尾峠に降りてからは長い長い車道歩きがいやだなぁと思っておりましたが、今回のように思い切って勝雲山に行ってしまうという手が有るとは。
でもやはり最後は林道歩きがどうしても残ってしまいますね。
やっぱりよく考えよう。
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ハイトスさん (たそがれオヤジ)
2010-04-08 05:53:24
おはようございます。
ハイトスさんの阿能川岳、拝見しましたよ。すごいですね。感心しました。確かにこの時期ですね。私も行ってみようかな。
さて石倉山。これでも1時間の歩きの林道・車道歩きは2時間にも思えましたね。去年、私が歩いたルートですが、原向の先にある墓地の上に車を置き、車沢林道を少し歩く。そこから尾根に取り付き、石倉山。割と短時間で登れます。帰りは、大萱山から原向駅に向かう西の尾根を下るというルート。車に戻るのに、私は線路を歩いてしまいましたが、探せば、駐車地にうまく下りられるルートがあるかもしれません。でも、これでも、雰囲気がいいのは大萱山の手前だけですね。
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山頂で会ったのは私です (デリカのオッサン)
2010-04-09 21:51:54
はじめまして。いつもブログよまさせていただいておりますが、貴兄と地蔵岳、勝雲山で2度も会えるなんて光栄です。デリカの駐車位置の件、すみませんでした。小生も栃木の山を彷徨っていますのでお手柔らかにお願いいたします。今後もブログよまさせていただきます。
*”すみません”は口癖なのでお許し下さい
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デリカのオッサンさんへ (たそがれオヤジ)
2010-04-09 22:57:08
いやぁ参りました。びっくりしました。そして笑っちゃいました。失礼な記載、平にご容赦ください。別に悪気はありません。おもしろおかしく表現しただけのことですので、そこいら辺は何とぞご容赦を。
私よりも年代の低い方に「オッサン」呼ばりはないものですが、私のブログには、少年、青年、オッサン、オヤジ、ジイサンの5種類しか呼び名がないものですから。その範疇から言えば、オッサンになってしまいました。
さて、いつもご拝読ありがとうございます。たいしたブログでもないのですけど、コメントもよろしく願います。
デリカのオッサンさんには、たそがれオヤジの面が割れてしまいましたね。これを気に、安蘇や足尾の山でお会いしましたら、気軽にお声をかけてください。
デリカのオッサンさん、ブログとかホームページのご公開がありましたらお知らせくださいよ。これもスミマセンのご縁ですから。
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