たそがれオヤジのクタクタ山ある記

主に北関東の山を方向音痴で歩いています。山行計画の参考にされても責任は負いかねます。深慮せず軽く読み流してください。

登ってがっかり富士登山

2007年07月07日 | 富士山見物
◎2007年7月6日(金)―1人

 富士山には行ったことがない。いつかは行ってみたいと思っていたが、機会もなかった。折良く先月末に圏央道が延長され、八王子で中央高速に乗り入れ出来るようになった。霞沢岳以来、高校の同窓会だのフレッツ光の工事やらで土曜日が連続してつぶれていたので、いささか欲求不満状態。6日は晴れそうなので、代休をとって早速出かけた。念のため、高木にメールし、6日の夕方に出かけ、7日の0時から歩き始めないか?と誘ったが、結局、返信は無く、6日の早朝立ちとなった。もっとも、7日の天候は崩れそうな案配だったが。

 4時10分に家を出る。この薄暗い中、もう年寄りの散歩者がいる。いつも、5時半に犬の散歩をするのだが、住宅街のためか、年寄りの散歩が異様に目に付く。どんどん増えている。4時40分東松山IC。圏央道はガラガラ。5時10分八王子JCT。天気は良好。談合坂SAでトイレを使うが、不満足な結果。都留ICの手前から富士山を望めたが、頂上付近にはレンズ雲のような、いや~な雲が停滞している。5時50分、河口湖IC。3,650円。昨夜、通勤割引の距離計算をしてみたのだが、河口湖ICは5時30分前到着を予測していたから、割引対策は敢えてしなかった。ちょっと痛い。6時にスバルラインに入るが、大型バスが3台、前をチンタラ走っている。イライラしたが、抜こうにもぴったりとくっついて走行しているので無理。料金所を抜けたら路肩に停車してくれたので助かった。ちなみに往復で2,000円。高い。6時25分、五合目駐車場に到着。ここまで自宅から165km。時間的には2時間15分だから、日光の中禅寺湖に行くのとさして変わらない。

 五合目は気温13度。半袖歩きの予定だったが、長袖に着替えた。見上げる富士山はやはり山頂が見えない。雲に覆われ、次第に雲が下がりつつあるような感じがする。ここの標高は2,300~2,400mだろうから、今日の標高差は1,400m前後。標準コースタイムは上り5時間+下り3時間といったところ。この時点では、老若男女が集まる富士山をかなり甘く見ている。6時35分から歩く。いきなりとんでもない所に入ってしまってはどうしようもないので、一応、土産屋の店開きをしているお兄さんに登山口を確認してから歩いた。同時に、例のバス3台が到着し、そこから降りて来た人たちは自衛隊。例の迷彩色の訓練服を着ている。車が通れるような登山道。いきなり馬糞の臭い、そして馬糞。馬である程度までは行けるらしいが、そこから先は自らの足。馬の姿はどこにも見えない。これから登る外人高校生らしいグループ8人。下りてくる疲れた顔をした方々は、ご来光組だろうか。腰が曲がった80歳くらいのオバアチャンが先を歩いている。賢そうな犬にむしろ引っ張られながら歩いているようだ。あのスピードでは、3日かがりで富士登山だな。その先も犬連れ。降りて来る人が結構いる。大半が外人。今日一日で、自衛隊集団を除けば200人位の方々と行き交ったが、そのうち、外人が6割はいた。ほとんどが外人専用のツァー参加者のようだ。しかし、この外人にはまいった。臆面もなく、そこら中で抱き合ったり、キスしたりしているから、側を通るのがいやになる。向こうにとっては、ただの愛情表現だろうが、こっちにとっては、延長線上に性的なるものを設定してしまうから、つい、富士山に来てまでもと思ってしまう。日本人のカップルだったら、きっと、そんな気持ちの余裕もなくなるのではなかろうか。

 7時、六合目。安全指導センターのオッチャンにルートマップを渡される。「必ず、白雲荘まで下りて来るように」と念を押された。白雲荘からは下山専用道に入れということのようだ。その上にも下り専用道は続いているのだが、工事中だから歩けないということだろうが、そうなら、はっきりとそう言ってくれれば分かりやすい。結局、これを分からない人が大分いるらしく、このセンターから先は上り専用のはずなのに、やたらと人が下りてくる。そのほとんどが日本人。狭いところでは、こっちが待つことになる。しかしながら、富士山を歩く人のマナーは悪い。気を利かせて待っていても、掟を破る方々は、それを当然のように思うのか、「スミマセン」「コンニチワ」の一言も無い。外人含め、スニーカー履きが多いのには驚く。

 雲の上を歩いている。下に雲海が広がる。上を見れば、延々と続くクネクネした登山道と美観を損ねる土砂止めの柵。そして、山小屋の多さ。山頂はやはり見えない。七合目の手前、2,600mくらいまではきつかったが、体調が本調子になったせいか、比較的楽に進む。しかし、持病のケイレンの前兆が起き始めている。石をまたぐと、ふくらはぎの付け根がぴりぴりし始めたので、無理をせずゆっくり行く。各小屋に連絡書を配っているお兄さんがいて、このお兄さんは富士山を歩き慣れていて速いのだが、離れずに歩けた。とはいっても、彼は小屋に着く度に小屋の管理人と話しをしたり、ポカリをもらって飲んだりしているから、実際は、待ってもらっている感じ。七合目7時30分、八合目8時15分着。八合目を称する小屋がやたらあって、どこが正式な八合目なのかよく分からない。さらに上には、八合五勺というのがある。

 外人登山客の多くが杖を持って歩き、その杖には日の丸が結わえてある。杖を欲しかったが千円もするのでやめた。無垢の杖だけでは意味が無く、各小屋を通過する度に焼印を押してもらっている。この焼印代が200円。下山した時点で、一本の杖に2千円を超える投資したことになる。決して安くはない買物。小屋の景色はどこも同じ。登る前は、狭い登山道の両側に山小屋が並んで立っている光景を想像したが、実際は段々畑状のテラスに建てているようなもの。どの小屋もカーブして上がったところにあるから、そのうち、同じところを歩いているような錯覚になる。八合目の小屋で休んでいたら、小屋のバイトのお兄さんが出てきて、退屈だったのか、いろいろと説明してくれた。昨夜は夜景がきれいだった。ここから後一時間。この小屋からのご来光は絶品だ。……。最後は「ウチのウドンはおいしいですよ」「ウチでしか扱っていない土産もありますよ」と店のPRは忘れない。焼印押しの外人が来たのを潮に休憩を終える。ウドンに釣られても、帰りにこの小屋を通ることはない。下山専用道を下る。

 やはり次第に疲れて来た。カーブする度に立ち止まっては休憩する。そういう連中がいっぱいいる。空気が薄いためか、口を開けて呼吸するようになった。何となくふらつく。高山病の症状か。風が出てきて寒い。カッパの上着を着て、手袋も履いた。指先がかなり冷たい。まもなく山頂。ガスっていて、視界が悪い。鳥居の下の狛犬の前で、また外人が抱擁している。10時24分、山頂。気温5℃。ここまで3時間50分。まずまず。「頂上浅間大社奥宮」の碑が立っている。神社は閉ざされていて、土産屋などの建物も開いているところは無い。少し休憩して、お鉢巡りでもしようと歩き始めたが、強風で身体がふらつくし、20m先が見えない。歩いている人もいない様子で、致し方なく断念。評判の店にせっかく期待して遠路はるばる出かけてみたら、本日定休だったといった感じ。

 パンを食べて下山する。パンの袋は見事にパンパンになっている。中身はかなりしぼんでいた。10時45分下山。途中までは共有道。自衛隊のご一行が上がってくる。バスの台数に合わせて3部隊のようだ。高校生のような部隊。富士山遠足ではあるまい、訓練の一環だとしたら、山頂から北富士演習場までの行軍か。第一隊は精神的な訓練も行き届いているのか、下りの者に道を譲り、脇にそれて並び、コンニチワを連呼するが、第二、第三隊になるにつれて躾けがひどくなる。第三隊に至っては、足を投げ出して食事をし、通り道の邪魔になる。それどころか、「オレのグミ、返せよ!」なんて言い合っている。遠足気分でいるのも微笑ましくていいが、これじゃ、仮想敵国が攻めて来たら、真っ先に逃げ出すのではなかろうか。

 下り専用道に入る。上り路よりもジグザグは長い。砂礫で歩きづらい。前を歩く人の砂ぼこりが下からの風に舞い、もろ飛んで来る。ある程度の距離を開けないと、頻繁にうがいする始末になってしまう。下りの距離は長すぎる。ウンザリしてくる。6合目のセンターで本道と合流。ここからがまた長い。山頂の天候は悪いのに、雲が切れるとたちまち暑くなる。靴は火山灰でもう赤くなっている。ただの砂かと思っていたが、帰宅してからブラシでこすっても落ちない。ついにタワシで水洗いしたが、きれいには落ちなかった。

 終点は間もないのだが、最後のこの平坦な上り坂がつらい。この時間に登って来る人も随分いるけど、小屋泊まりだろう。外人の集団がまた来る。あの重そうな胸では、歩くのにじゃまだろうなぁ。トドみたいな感じの女性はどこまで行けるだろうか、もうすでに顔を真っ赤にしている。外人といってもほとんどがアメリカ人だろうが、中国人ツァーグループ25人もいた。なかなか国際的な山だ。登山口着12時50分。下り時間は2時間少々。今度は馬が5~6頭いた。観光客も多い。こんな所に、梅宮辰夫のマネキンを並べた店があった。山頂を見上げたがやはり何も見えない。それどころか、雲が下りてきているような気配。明日は今日以上にガスが濃いのではなかろうか。トイレで顔を洗う。水は冷たくない。ぬるい。すっきりしなかった。高木から今頃メールが入った。「女房が旅行に出かけるから留守番だ。来週の聖岳は何時出発だ?」。13日の約束をした覚えはなかったが、なぜか、他の山に比べて、時間的にも楽な富士山だったはずにもかかわらず、疲労困憊してしまっている。今、高木のメールに返信出来る状態ではない。

 風呂にでも入って帰りたかったが、面倒になってそのまま帰ってしまった。途中、谷村PAで特製煮干しラーメンを食べた。麺は固かったがうまかった。熊谷に着いたら気温は33℃もあった。今日体験した寒暖の差は28℃。半端な富士山行ではあったが、おそらく、もう二度と行くこともあるまい。晴れていても同じ気分だったような気がする。しかしながら、富士山の大きさには感心してしまった。

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4 コメント

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Crowded Mt.Fuji (Yossy)
2007-07-07 16:35:04
人気の場所はたとえ富士山でも混雑しているとは・・さらに外人にも人気があったのですね。外人用はとバスツアーにあったようね。でも、海外に行っても、やはり富士山の形はきれいですよ。4年ぶりに日本に帰って来たときは、外国の山は険しさはあるけど、あの裾野の広がりの優雅さにほれぼれした事がありました。馬と犬の糞(人間のはなかった?)も悲しいね。
雲海を見ると歩けるような気がしてしまうのは私だけかな。ふと吸い込まれそうにならない??

とりあえず、欲求不満は解消しましたか。
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性急登山 (俺だ)
2007-07-07 18:19:45
いささか性急な計画だったな。まあ、いつものことだが。二度とは行きたくないだろうが、雪が来る前の秋晴れの日に登ってみたい。覚悟しておいてくれ。
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いつもどうも。 (mailaddress-1234)
2007-07-08 10:59:24
Yossyさん、「俺だ」さん、どなたか存じませんが、いつもご愛読ありがとうございます。Yossyさん、
Crowded Mt.Fuji ですか。海外生活が長いと英語もご堪能なようで、富士山歩きには不自由しませんね。俺ださん、聖の件はどうなりましたか?それっきりですが。
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聖岳 (俺だ)
2007-07-08 22:26:07
今夜、Y美からメールが来た。13日夜9時俺だ宅を出発としておいた。荒天が予想されるばあいは、乗鞍岳にするとした。
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