たそがれオヤジのクタクタ山ある記

主に北関東の山を方向音痴で歩いています。山行計画の参考にされても責任は負いかねます。深慮せず軽く読み流してください。

1000円高速で行った荒島岳

2009年05月03日 | その他歩きの山
◎2009年5月2日(土)―1人

 1,000円の休日割引が無かったらおそらくは行かなかったろう。通常なら、高速代に往復21,000円もかかり、ガソリン代は10,000円か。これが、トータル12,000円となると話は別だ。この政策を云々言うつもりはない。受益者として利用しまくらないと損であることは確かだ。制度があるうちに、残りの百名山くらいは行っておきたいというのが素直な気持ち。百名山も、「腐っても鯛」のような山が多いが、どうしても遠出して行く山となると、百、二百、三百を基準に置くしかない。それぞれの地元の方にとっては、「あんな山よりもこの山がいいよ」となるだろうが、近場の山以外に情報が疎けりゃ致し方ない。急に思い立っての山行となった。木を誘ったら、仕事で連休は忙しいとの返事。予測はしていたことだが、彼はキャンプだの、花見になると、急に暇になる。それでいて、飲むと、鋸岳やらキナバル山に行こうと言い出す。なかなか奥深さを持ち合わせた方だ。さて、急遽、金曜日の午後に半休をとって出かけることにした。世間は連休の最中だから、休暇をとっても目立つこともない。

 普段は伊勢崎か前橋インターから高速に入るが、お金のことを気にしなくてもいいから、太っ腹な運転を楽しめる感じで、最寄りの太田桐生インターから入る。17時。かなり早いが、目的地までの距離は525km。途中のPAで仮眠して時間を調整し、0時過ぎに白鳥インターから出て、登山口のスキー場で本気で寝る予定。更埴から長野道、中央道、そして東海北陸道に入る。中央道には21時近かったが、渋滞ではないものの車の流れは悪い。大阪、京都ではすでに渋滞が始まっている。連休が重なっているから仕方がない。飯田を過ぎ、岐阜に入ると、もう地理感覚が分からなくなった。SAに立ち寄って、地図を探すが、気の利いた地図は置いていない。SAのグルメマップはあっても、IC表示が記されていないから、縁遠い地名が付いたSAでは、どこをどう通過していけばいいのか分からなくなる。結局、ナビに頼って運転するしかない。途中でソバを食べ、美濃加茂で給油し仮眠とする。22時30分。うつらうつらしながら時間稼ぎをするのだが、本当に寝てしまったらしく、2時に寒さで目が覚めた。白鳥ICに向かう。深夜なのに車の量が多い。料金所では間違って現金払いのゲートに入ってしまい、オジサンに呼び止められ、バックでETC出口に入り直す。表示は1000円。九頭竜ダムを抜け(とはいっても真っ暗で何も見えない)、勝原スキー場に着いたのは4時近く。車が1台あった。寝酒をする時刻でもないので、トイレに行き、シュラフに入り、うとうとしただけで5時になってしまった。

 車は4台になっていた。隣の熊谷ナンバーもある。起き出してトイレ。出発前に2回も行ったのは例がない。酒を飲まなかったのが良かったのかね。外で歯磨きをしているのがいる。オレもしたいところだが、面倒なのでガムをかんで我慢する。昨日の昼に籠原駅近くのラーメン屋でネギミソラーメンを食べたのだが、そのネギが固くて、口の中に臭いがずっと残っている。失敗した。この時期のネギはだめだ。登山案内の看板があった。それには、上り3時間10分、下り2時間とある。昭文社版には、それぞれ10~20分プラスで表記され、「初級」と記されている。最近のネット情報では、1時間50分+50分というのがあったけど、この方はランニング登山をしているようで、これでは参考にならない。時間は地元看板を基準にする。雪は無いようだが、ランニングの方のブログには29日時点で残雪はあるようだったから、6本アイゼンだけは持って行くことにする。

 5時25分、スキー場のゲレンデを登りはじめる。リフトが1基だけのファミリースキー場。ゲレンデの上から下を見下ろすと、まだだれも上がって来ない。オレが最初のお客さんか。ここから石でゴロゴロした急坂になる。歩きづらい。何回かのジグザグで登山口の標柱のあるところに着いた。6時。もう息も上がり汗でびっしょりだ。冷たい風が音を立てて流れている。北西方向に白い山が見える。地図を広げたが、石川県の大日山だろうか。「大日」の名前が付く山が多いが、これは大日如来信仰から来ているのかね。北陸は浄土真宗が盛んだったから、信仰の対象となった山も多いんだろうなと、一人で納得したりして。ここに放置された大きな機械の一部らしきものは、リフトの残骸だろうか。

 ブナの林に入る。いいもんだなぁ。空気もうまい。ウグイス。木漏れ日。故郷の森吉山の中を歩いているような感じ。キリンの姿に似たブナなんかもある。もっと、じっくりとこの情緒に浸っていたいが、急坂が続く。ロープも出てきた。これが「初級」のレベルかね。福井の方はえらく足腰が強いね。雪は今のところないが、ところどころ泥状になっているところがある。雪解けも最近だったのだろう。左手前方に荒島岳が見えてきた。後で分かったことだが、実際の荒島岳のピークはさらに奥にあり、見えたのは、いわばニセ荒島。下りの時、ゼイゼイしながら登ってくるオバチャンに、同じ場所で「あれが荒島岳ですか」と聞かれ、「山頂はここからは見えません。さらに奥ですよ」と教えたら、深いため息をついていた。右奥にもピークが見えるが、あれが小荒島岳だろう。ちょっと休憩して朝食代わりサンドイッチを食べる。その間に髪モジャのオッチャンが追いついて来た。これでようやく隣人が出来た。

 急な階段状の坂を登り詰めてシャクナゲ平。7時20分。標示を写真に撮りたかったが、さっきのオッチャンがどかりと腰掛けていて、邪魔で撮れなかった。どんどん暑くなってきている。林の中を歩いているうちに、日もすっかり上がってしまっていた。いよいよ荒島岳への上り。休んでいるオッチャンに先行して行く。この先もニセ荒島岳が多い。あそこがピークだろうと思うところが2つ程あった。北東には白山、そして南西には能郷白山。この山もいい山みたいだな。いずれもまだ白い。荒島岳の北面には雪が残っている。後で知ったことだが、この雪渓がY字形の「鹿の角」の形になれば、地元の人はアユを取りはじめたそうだ。田植えを始める白馬の雪渓みたいな話だね。

 登山道に雪が多少残っているが、歩行に支障は一切無い。ただ、5m程の泥地は避けられない。ようやく本当のピークが見えてきた。オッチャンは何をしているのか、なかなか上がって来ない。8時10分、山頂到着。歩き出しから2時間45分。標準タイムよりも25分ばかり早かったか。やはりだれもいない。360度の展望。ただ、名前を知っている山は白山と能郷白山だけ。大野盆地が下に広がっている。写真は山頂からの白山。後から来たオッチャンが「ここからは白山しか見えないんだね」と言っていたが、霞がかかっていなかったら、北アルプスとかは見えるのだろうか。荒島岳は山岳信仰の山だけあって、神社(といっても祠)や地蔵がある。そして一等三角点の標石。オッチャンが写真を撮っていたから、「撮りましょうか」と言ったが、断られた。せめて気を利かせて、オレの写真くらい撮ってくれればいいのになあ。

 やがて単独の青年。物珍しそうにあちこち落ち着き無く広い山頂を徘徊している。もう風も微風で心地よい。羊羹を食べて8時35分下山。シャクナゲ平までの間に単独4人。以降はほとんどが2人以上で登って来る。下まで100人とは行き合ったろうか。ある種の傾向があるようだ。単独は早朝出発。複数になるとやや出立も遅いか、もしくは歩きが遅くなる。さらに遅いのが年齢不問でカップルといったところ。10人くらいの高校生グループも4組くらいいた。80リットルくらいの大きなザックに荷物を満載して登ってくるのは、あれは何かの訓練か。テント泊だと早いような気もするし、山頂にはトイレの施設は無かったように思える。何人かに聞かれた。「上は雪がありますか?」。この時期、やはり、気になるのは登山道の雪だろう。自分ですら、用心でアイゼンを持って来ている。雪は無いと返答すると、皆、ほっとした顔になった。木ならこう答えるだろう。「いやぁもう、ラッセルで参ったよ。だけんど、もう心配はいんないよ。オレ達がきれいに除雪して道つくって来たかんねぇ」と。まっ、男女、年齢で千差万別な表現をするが、オレにはこういった芸当は出来ない。感心する。ところで、雪の有無の反応で、こんなジイサンがいた。びっくりした。孫の前でこう言い放った。「あ~あ、重いアイゼンなんか持って来て、荷物になるだけで、損したなぁ」。率直な思いかもしれないけど、何だかおかしいな。

 ブナ林を抜け、登山口の標柱のある所には、まだ5人くらいの高校生が休んでいた。もう9時半を回っている。ここからのガラガラ道がいやな道。途中で石を避ける際に足をくじく。その時は何ともなかったが、翌日になってから痛み出した。スキー場の上部に到着。ここから見上げるガラガラ道はかなりの急だ。ここでしばらく休む。高校生のグループと、後ろを離れてカップルがゲレンデの中を登って来る。駐車場10時10分。やはり、駐車場にはかなりの車があった。自分の車の隣には、ちゃっかりと群馬ナンバーが置かれていた。短時間とはいえ、かなり疲れた。余裕があったら伊吹山か永平寺見物にでもなんて、情況無視の甘い考えは抜け切っていた。とにかく、この汗びっしょりで不快な身体をどうにかしないと。登山口には、親切にも風呂の案内があった。そのうち、帰り道なら九頭竜温泉・平成の湯か。車で10分と書いてあった。実際にはもっとかかったが、このお湯はアルカリ性でしっとりして、気持ちが良かった。500円。だれもいなかったから、さらに気分もいい。

 用事もないからさっさと帰ることにするか。九頭竜ダムはすごい大きい。草木ダムの何倍もある。これを見られただけでも良かったか。帰りの中央道、見事に30km近い渋滞に巻き込まれた。どうせ1,000円だから、こんな代償は我慢して払わなきゃいけないか。

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2 コメント

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ひっかかる (俺だ)
2009-05-03 19:15:22
ことを言うなあ。コース的には北陸道経由のほうが時間短縮でねーか?
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早速反応したねぇ (オレ)
2009-05-03 22:36:04
行く前に調べたよ。距離的に一番近いのは松本ICから安房峠越えして高山ICから入り直すルート。距離は100km短い。これでは時間がかかるし、1000円割引がきかない。富山経由では15km程長い。どっちも同じようなものかもしれないが、北陸道のトンネルの多いのがどうも抵抗がある。だけど、渋滞を考慮すれば、北陸道経由が早く着いたかもな。きっと、寝酒も楽しめたはずだ。ところで、鋸岳はいつ行く?
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