たそがれオヤジのクタクタ山ある記

主に北関東の山を方向音痴で歩いています。山行計画の参考にされても責任は負いかねます。深慮せず軽く読み流してください。

飛駒三山の縦走をやってはみたのだが…

2011年10月04日 | 近所の栃木県の山
◎2011年10月2日(日)

<根古屋森林公園駐車場(9:45)……要谷山(10:07)……永台寺(11:00)……のこぎり山(11:50)……鉄塔(12:30)…624.5m三角点(13:20)……鉄塔(13:03)……585mピーク・県境分岐(13:55)……多高山(15:15)……ゴルフ場(15:55)……公園駐車場(16:20)>

 あにねこさんが行かれ、その後ハイトスさん、野球親爺さんと続いた飛駒三山の縦走を自分も真似してみたいと思っていた。コースは、創造性もなく、ご三方の丸写しコピー歩きだ。違いは、暑さの続く、超マイナー山行には確実に不適な時期での歩きというだけのことだろうか。元々、出張帰りが土曜日の深夜であったため、日曜日歩きをする予定はなかった。しかし、生活習慣で早朝に目覚め、手持ち無沙汰な休日になりそうな予感もあり、急遽行くことにした次第。思いつきのため、各方面の山を深慮する時間もなく、すっきりしない寝不足の頭の中の候補リストからは、このコースしか出てこなかった。その割には、家を出たのが8時半過ぎ、歩き出しは9時45分と、かなり遅いものになってしまった。そのため、絶えず、5時半までに駐車場に戻れるだろうかと気にしつつ、我ながらクタクタの急ぎ歩きになってしまった。ちなみに、後でブログを見返すと、野球親爺さんも同じような時間で悠々と歩かれている。この方も自称・鈍足の早足さんだろう。

(公園から多高山)

(金比羅宮)

(要谷山山頂)


 まずは要谷山。駐車場から真上に見えていた。何となくこっちからだろうと歩き出す。天気はぼんやりしていて、午前中が晴れ予報にしては、えらく期待外れ。このままでは雨が降り出すのも時間の問題といったところ。広場では、早々にバーベキューをやっている一団がいた。これに気をとられていたら、道を早速間違えてしまったらしい。道標には「こんぴらの道」と記されていた。この部分は「いけづきの道」を歩くのが正解。いずれ合流するだろうとそのまま行く。やがて心許ない道になり(おそらく、ここでも間違ったのだろう)、「いけづきの道」に合流する。要谷山への道標はなく、「展望広場」となっている。荒れた小さな社殿と石祠に出会う。金比羅宮とのことだが、この時点では金比羅様とは知らない。木を埋めた道をしばらく行くと展望広場。ここが要谷山山頂。失礼ながら展望は悪く、一角が切れ、多高山が見えるだけだ。やはり、ここは緑のない時期に来るべき山だろうか。置かれた展望盤も、汚れがひどくて文字がかすれている。雰囲気的に湿っぽく、早々に退散する。

(こんな気持ちのいい歩きも束の間だった)


 「するすみの道」を北に下る。ここだけは明るく気持ちのいい歩きが短時間ながらできた。やがて植林帯に入り、また薄暗くなる。石祠を過ぎ、道は左に折れる。自然歩道とはいえ、作業道の感が強い道だ。ただ、石祠があるということは、昔からあった道なのだろう。すぐに林道。この林道は、左に行けば出発地点に戻るような錯覚になるのだが、公園の案内看板には、駐車場は右に行くようになっていた。公園をぐるりと周回しているようだ。林道を右に行き、次の分岐した細い道を右に行く。これは、ご三方のマニュアル通り。なにせ、GPS軌跡を25,000分の1地形図にマーカーでなぞってきた。間違うわけがない。やがて県道に出た。ここに至って、今日は何だかつらい歩きになりそうな予感がした。どんよりした天気、うす暗い植林帯、気分が乗らなかった要谷山、この先、同じような雰囲気が続くとしたらやるせない。次の目標地・のこぎり山の下にある永台寺に向かいながら、いっそのこと、雨が降ってくれないかという思いが浮かんだ。すでに、早々に打ち切りたい気分になっている。やはり、来る時期を間違えている。超マイナーの山も、時節に応じて素晴らしい歩きを楽しめるものなのだが。

(黒松の後ろにのこぎり山の前衛。左に永台寺)

(永台寺)


 森林公園に来る途中、この永台寺への道案内板が随所に立てかけられていた。何か催しでもあるのだろうか。寺は遠くからでもよく見え、迷いようがない。その上がのこぎり山になっている。佐野市天然記念物の黒松を眺めて境内に入ると、寺ではやはり、大きな葬儀があるようだ。幕が張られ、献花の数も半端ではない。寺の方が掃除やらで忙しそうに立ち動いている。ずかずかと入り込むのも気後れし、住職氏の奥方だろうか、箒を持った女性に「すみません。中に入ってよろしいですか」と聞いてから入る。「えぇ、どうぞ」と返答をいただく。お上品な方だ。永台寺はなかなかの古刹だ。奈良時代に行基によって開山されたとのこと。行基にも、弘法大師にも似た漫遊伝説がある。葬儀がなければゆっくりと見学したいところだ。ちらほらいらした喪服の方に交じっての薄汚いリュックサック姿はいただけない。左から本堂の裏に回る。薄いヤブをかき分け林に入り、適当に歩きながら尾根を目指す。すぐに大きな岩にぶつかり、左に巻く。岩の間に大きな穴があった。覗いて見たが、かなり深い穴だ。そのうちに尾根に乗った。さてここで、石灯籠と石祠に出るはずなのだが見あたらない。尾根に合流したのがかなり上だったためか、見ることは出来なかった。

(飛駒の里。中央低い山が要谷山)


 高く上がると、飛駒の里がよく見える。要谷山よりも展望はいい。望む山の名前がさっぱりと特定できない。多高山しか分からない。この後も、かすかな展望スポットで、北方面の山々は見えたが、どれが野峰、丸岩山、熊高山なのか、いずれも歩いた山なのに識別できなかった。かろうじて、奥に控える高いのが根本山だろうかといった程度。あるいは氷室山だったかも。ここから進行方向左後ろに見える多高山までグルリと歩くのか。まだ全行程の1/7程度だろう。意気消沈。飛駒三山が飛駒散々になったりして。雨は降りそうもない。相当に奥に入ってしまってからでは遅いが、幸いにも、地形図を見ると、このコース、下からの尾根が入り乱れ、どの尾根を下っても、コースの間を南北に走る林道には下りられそうだ。逃げ道だけは大丈夫だろう(実はこれ、甘い地図読みで、大半が急峻な尾根になっていた)。

(山神宮)


 のこぎり山という名称だけあって、アップダウンが相当に多い。尾根は北西に向かいながらも、右に行ったり左に行ったりする。本コース、ハイトスさんの記録には、「累積標高差±1620m」と記されていた。にわかには信じがたい数値。体感として、そこまではなかったような気もする。本当なら、やはりな、だろうか。実際、のこぎり山が終わっても、アップダウンはずっと多高山まで続く。大きな露岩まじりの、嫌らしく、危なっかしい箇所が連続する。これに倒木も加勢する。この状況が続くと、地形図を見ても、自分の居場所がどこなのか特定できない。のこぎり山のピークはどこなのだろうか。地形図上の626mポイントがピークとも言えるが、その手前の「山神宮」の石祠が置かれた場所がピークなのかもしれない。信仰の山らしいし、3つの集落で合同寄進した石祠になっている。標示の類は皆無。テープを散見するだけ。

(相変わらず、北面の山は特定できず)

(こんなとんがった岩場もあった)

(太い倒木も。完全に崩れている)

(それでいて、陽春の頃ならさぞ気持ちもいいだろうといった雰囲気もある)


 山神宮の先にはつぶれた石祠があった。やせ尾根になり、鋭利な岩場が出てきた。ここを下り、また登る。この繰り返し。やがて不恰好な石祠を目にする。のこぎり山はここまでという意味合いだろうか。その先に、ようやく送電鉄塔が見えた。自分の場所を特定でき、ほっとした。しかし、長い。まだ半分も辿っていない。鉄塔で休憩する。いい加減、嫌になってきた。途中放棄してもかまわない。

(三角点)


 陽が出てきた。雨の心配はもうないだろう。気を取り直し、先に進む。しかし、すでに気分はへこんでいる。このルートはとてつもなく渋すぎる。植林帯に入り718mポイント手前で南西に折り返す。ようやくコース半分に至る。しばらく下る。「飛駒村有林」の石標があり、コースを南北に道がまたいでいる。おそらく、これは林道に続いているのではあるまいか。その林道、送電線の巡視路にもなっているのだろう。右が自然林、左は植林帯になる。平坦なピークっぽいところになった。624.6m三角点をさがす。途中にある唯一の三角点だ。発見までしばらく時間がかかった。さっきの十字路で林道に下りてもいいかという誘惑が気分をさらにだらだらとさせる。

(屋根だけ。母屋は地震で崩壊か)


 第2の鉄塔に到着。おもしろいもので、第1のそれと周りの雰囲気、植生がまったく同じ。ここには大型獣がいるらしく、「新栃木線」の塩ビ製の標柱が根元から破壊されている。しばらく休み、重い腰を上げて出発。頭の中はもう空っぽ。何だか、ずっと同じところをエンドレスにぐるぐると歩いているような錯覚に陥る。こんな状態で歩いているから、何度も道を誤った。曲がるべきところを直進したり、尾根を一つ間違えたり。明るくなった木の間に、ちらちらとどこかの山が見える。屋根だけの石祠があった。今、栃木と群馬の県境を歩いているようだ。しかし、これまでの延長でしかない。県境から離れるところには、535mの手書き標示板があり、裏を見ると「県境歩き隊yamaga1ban」と記されていた。時々、「県境踏破シリーズ」のホームページを拝見することがあるが、この方が置かれた標示だろうか。なかなかおもしろい歩きをされていると感心している。

(ホタテ岩)

(多高山山頂)


 次第に、多高山が迫ってきた。この長いコースも、ようやく終盤を迎えようとしている。この疲れた心身には、とてつもなくでかい山に見える。また、どんどん下って、しんどい登りになるだろうな。また、岩が多くなる。あれが、あにねこさんが名づけた「ホタテ石」か。確かに言い得て妙だ。やはり、先日の、宿堂坊山の登り返しをここで追体験した。応えるわ。何とか山頂。くたびれた。こんな時間にだれもいない。今日とて、だれかが来たとは思えない。狭い山頂に石祠と石灯籠。楽ちんコースでこの山に来たのはもう何年も前になる。夫婦喧嘩の末に、家を出て、発作的にこの山に来た。

(ここで四苦八苦)


 時計を見る。何とか5時までには駐車場に戻れるだろう。ここから南東の尾根を下る。登りがないから安心だが、岩場のやばいところが連続する。ここでも石祠を見かける。しっかりした踏み跡を追って下る。心なし、尾根から外れていくのが気にかかる。真下にゴルフ場の駐車場が見えた。きっととんでもないところを歩いてしまったのだろう。目の前には鹿よけの金網が張り巡らされていた。しばらくネットに沿って歩いてみたが、出口が見あたらない。高さ1m50cmはあるだろう。無論、跨ぐだけの足の長さはない。駐車場にはゴルファーや掃除している職員の姿が見える。大胆なこともできない。『大脱走』のスティーブ・マックイーンのなれの果ての姿のシーンが浮かぶ。駐車場が切れるところまで行った。金網はしつこくあった。金網の接続部分は針金で細かく結わえている。これを外そうと試してみたが太い針金でビクともしない。最後の手段しかない。荷物をまず向こう側に置き、金網の目に足をかけて跨いだ。左足を突っ込み、右足で跨いだ。その瞬間、金網はバネのようにゆがみ、向こう側に傾いでしまった。同時に、ズボンが尖っている金網の先端部にひっかかり、崩れるように向こう側に落ちてしまった。幸いにもケガもなく渡れたものの、ズボンの股部分がカギ裂きになってしまった。とてつもなく地味で渋い山歩きのフィニッシュは何とも派手な形で終わってしまった。そういえば、フィニッシュで金網のバリケードに悩まされた山があったなぁ。これでは、後ろから大型獣に追いかけられたらアウトだ。

(ようやく終点。正面に要谷山)


 車道をテクテク歩く。本日歩いた三山の尾根が見えてくる。何の因果か今日は本当に散々になってしまった。精神的にも肉体的にもかなり応えた。日曜日の軽い山歩きのつもりでいたのに。公園が近づくと、警備の人たちの姿を見かけるようになった。公園の駐車場に車を誘導している。だが、公園の駐車場には車が数台あるだけ。看板が置かれていた。今日は永台寺の臨時駐車場になっている。あの葬儀、もう終わったのだろうが、かなり大がかりなものだったみたい。どなたの葬儀だったのだろう。調べようにも、栃木版の新聞を見ないと分からない。何とも長い一日がようやく終わった。ため息が出た。

※詳細なルート図はご三方のブログ、ホームページをご参照ください。ほとんど同じ歩きをしております。

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8 コメント

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飛駒三山 (ハイトス)
2011-10-05 01:25:51
やはり出張は土曜帰着だったのですね。
今週はお休みかと思っておりました。
しかし飛駒三山を巡る人4人目発見です。
それに短時間で廻られているので私以外の3方はやはり快速ですね。
春に周回したときはツツジが満開で綺麗でしたよ。それと藤の花も。
自分が見逃したホタテ岩はこんな感じなのですね。
自分の記憶に有るのは最後の多高山への下りと登りではへとへとになってしまっていたことです。
確かに長くて疲れた・・・何しろたそがれさんより2時間近く余計に歩いていたのですから。
お疲れ様でした。
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ハイトスさん (たそがれオヤジ)
2011-10-05 06:29:34
おはようございます。
ハイトスさんは典型的な深夜型ですね。平日に1時半過ぎまでよく起きていられますね。感心しますよ。
さて、飛駒三山はハイトスさんの記事がきっかけです。GPSの馬蹄形のトレースを拝見し、何やらおもしろそうだと思っておりました。以来、わだかまりのようなものがありました。
ハイトスさんが行かれたのは確か、5月の連休の頃でしたでしょうか。そうですか、その時期は藤やらツツジですか。いいですね。
私なんか、しおれたわけの分からない花や異様な風体をしたキノコを見ただけですわ。
今回は、雨の心配がありましたので、全体的に早足で歩きましたが、そのせいで、三角点から多高山にかけてはバテバテでした。多高山に至ってようやく解放されたようにほっとしました。
もう、行くことはないでしょうね。
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ノコギリ山だけなら私も行ってます (ノラ)
2011-10-06 21:34:20
たそがれオヤジさん こんばんは。2009.2.15にノコギリ山だけ行ってます。それなので,たそがれさんみたいにぼやかないで済みました。やはりこの辺りは冬か春ですね。倒木はこんなに多くなかったようです。似たような閑馬の岩峰群に冬に行かれると楽しめると思いますが。もう行かれてるかもしれませんが。
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ノラさん (たそがれオヤジ)
2011-10-06 21:50:08
こんばんは。
ノラさんものこぎり山に行かれたことがあるんだ。改めてブログを拝見いたしました。2月なんですね。下ではセツブン草ですか。5月はハイトス氏記事ではツツジがきれいだったとか。
やはり、私の場合、何もない季節に行ったと言うことですよね。悲しくなりますよ。
閑馬の岩峰群ですか。行ったこともないし、正直のところ初耳です。自分の住まいからは近いエリアなのですが、研究不足ですね。これからの旬の時期に合わせて、下調べをしてみます。アドバイスありがとうございます。
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閑馬の岸峰群とは (ノラ)
2011-10-07 21:24:57
たそがれオヤジさん こんばんは。
林道長谷場-閑馬線の峠から金原山とは反対に向かって下から上がってくる林道を突き当たって最初のピークから先にある7峰の事で一時WEB上ではやりました。今は忘れられているので静かと思います。初冬に行くのがいいでしょうか。ちょっと真冬は怖いと思います。鳥屋山まで行くと結構充実の山行になります。
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飛駒散々 (野球親爺)
2011-10-07 21:39:35
たそがれオヤジさん お疲れ様でした。
この時期歩くと疲れが倍加しますね。
私の場合は水がいくらあっても足りないところです。歩行時間も5割増しになりそうです。
ハンターさん方がいないことだけはいいと思いますが。
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のらさん (たそがれオヤジ)
2011-10-08 19:59:55
こんばんは。重ね重ねありがとうございます。
閑馬の岩峰群、今回のコメントで分かりました。ネクラハイカーさんの記事にあった金原山北西の岩峰群のことでしょうか。自分には手強いところのように感じておりましたが。
あらためてノラさんの記事を後で拝見させていただきます。
アドバイスありがとうございました。
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野球親爺さん (たそがれオヤジ)
2011-10-08 20:05:36
ありがとうございます。
野球親爺さんのブログを拝見している限り、いつも、かなりの水を摂取されているようで驚きです。私はあまり飲みませんね。今日も谷川岳に行ってきましたが、500mlだけでした。新陳代謝的によろしくないことはよく知ってはいるのですが、どうも身体が欲しないものですから。
飛駒の山もかなり鹿がいますね。だからハンターが入るのでしょうが、熊のような黒い大型もちらっと見てしまいました。錯覚ではないような気がしていますが。
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