英国紳士、ガイ・ホリングワース氏(本業は弁護士)のカップ&ボールです。先日20年以上前の本である「Drawing Room Deceptions」の日本語訳本が出て、その凄さを改めて感じるガイ・ホリングワース氏ですが、これまでの本やビデオからはカードマジックが多い印象で、カップ&ボールをしているのを見たことも聞いたこともありませんでした。
しかし、2018年箱根クロースアップ祭のゲストとして来日した際、氏はカップ&ボールのレクチャーをされて、その日本語冊子がマジックランドさんから発売されました。商品説明に「レクチャーされた彼のカップ&ボール・ルーティンを日本語訳として世界に先駆け発表したレクチャー・ノートです。」とありますので、やはり昔からあった手順ではなく、2018年ごろ完成した手順なのかもしれません。
う~ん、氏はカードのイメージだしなぁ~どうなんだろう…やっぱ難しい技法とか使うのかなぁ~と思いつつも冊子を購入しました。冊子のタイトルは「A Cups and Balls Routine(カップ&ボール・ルーティン) by Guy Hollingworth in 新・箱根クロースアップ祭」です。
当初多くのお店で取り扱われていましたが、現在は売り切れが多いです。でもマジックランドさんにはちゃんとあります。
I-Magicさん
マジックランドさん
BOOK :: クロースアップ :: A Cups and Balls Routine(カップ&ボール・ルーティン) by Guy Hollingworth in 新・箱根クロースアップ祭
購入したとき、パラパラっと中身を見たものの、その後深く読まず本棚で眠っておりました。ガイ氏のマジックは自分には難しすぎると思い込んでるのもあったかもしれません(;^ω^)(実際そうですが(笑))。
そして、先日、Vanishing Inc.である商品を購入するのに1品だけでは送料がもったいないなぁと思い、何かいいものないかなぁと思いいろいろ見ているときに見つけたのがVanishing Inc. MasterclassのGuy Hollingworth氏のレクチャーでした。なんと、そこにカップ&ボールとあるではないですか!インターネットで検索しても出てこない彼のカップ&ボールの動画を是非見て見たいと思い購入しました(でもダウンロードだったので結局送料とは関係なかったのですが、、、)。
Guy Hollingworth Masterclass
そして、氏のカップ&ボールの演技と解説を見て、面白いと思い、冊子を再度読み直しました。
日本語冊子の手順では、3つのカップからはじめ、2つ、1つへと減らしていき、最後に再度3つにしてフィナーレといく感じなのですが、Vanishing Inc. Masterclassのレクチャーでは、2カップの演技でした。2カップですが、歴史の話から入って、しっかり時間をとった手順で、解説を含めると30分以上ありました。氏曰く、自分はゆっくりしたカップ&ボールの手順をしたかった、そして、ボールを手から消したとき、本当に消えているところをしっかり見せたかった…かなり前からこれらの壁があり、カップ&ボールを好んで演じることが無かったようです。デビッド・ウィリアムソン氏のカップ&ボールは素晴らしいが私のスタイルに合いませんでしたとも言っていましたが、確かにパフォーマンス特徴としては真逆にいる気もします(笑)。しかし、新たな技法を開発することで、完全に両手からボールが消えていることを示せるようになり、そこからカップ&ボールを演じるのが好きになったとのことです。
確かに氏の手順を見たとき、あれ?完全に消えてる!と驚きました。この技法を使っているのでウォンドも必要ありません…素晴らしい技法で今度自分の手順の中でも入れれないか検討してみたいとは思います…しかし、カップ&ボール1000年以上の歴史の中で、ウォンドを使う方法が使われ続けてきたことを考えると、カップ&ボールのバニッシュがウォンドを使わずこの技法に置き換わることは難しいかなぁと思います。でも、どこかでこの技法を1回入れるだけで、完全な空の手を見せることができ、ウォンドが必要だと思っていた人たちを驚かせることはできると思います(私がそうですし(笑)、箱根でも歓声が上がったようですし…)
手順は、単にボールが消えた、移動した、大きいものが出たというものではなく、歴史の話やカップの話、ボールの話などいろいろ話しながら、最後に出現するものは、唐突なものではなく、はじめに見せていたものという流れになっています。氏の雰囲気に合った手順だと思います。話が多いので英語の苦手な私にはその良さを真に体験できていませんが…
最後に少しカップについて書きます。冊子で氏が使っているカップを見たとき、「変わったカップだな」と思いました。違和感がありました。氏も演技の中で話していますが、以前このブログでも紹介したエジプトの壁画(バケト3世の古墳)に描かれているカップのような形です。なぜ違和感があったかというと、通常マジックのカップ&ボールで利用するカップはスタックしたときに間にボールが入る空洞が確保できるよう、また安定してスタックできるようなデザインになっています。しかしガイ氏が使ってるカップは完全な曲線でそれが無いのです。
日本語レクチャーノートにはさらっと「私はジェファーソンカップを使っています」と書かれていて、はじめ見たときは「変わったカップだな?「ジェファーソンカップ??そんなメーカーやマジシャンって聞いたことないなぁ…」と調べることなく流していたのですが、実演映像でどんなカップか、その歴史的なことも含めて話しており、マジック用のカップでないことを理解しました…。このブログを読んで頂いている方の中には「え?知らないの?」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、お恥ずかしながら知りませんでした(;^ω^)。
ジェファーソンカップというのはアメリカ3代大統領のトーマス・ジェファーソンが1810年に自らデザインして銀で作った(作らせた)とされるカップです。現在では、ピューター製が多く、アメリカではデザインが好まれて昔から人気があるようです(と言ってもどのくらい人気があるのか正確に知りません…)。贈り物などにも使われているようです。アマゾンでも扱ってますし、メルカリやヤフオクなどでも出品されています。
というわけで、2個セットを購入してみました。同じジェファーソンカップでどのくらいの大きさがあるのか(どれくらいのメーカーが忠実にジェファーソン大統領がデザインしたカップと同じサイズのカップを作っているのか)不明ですが私が購入したものは高さ6.5cm 、直径 7.5cmのカップです。底には文字が彫られてます(多くのジェファーソンカップでそのようです)。また底が少し窪んでいるので、ボールを乗せたとき安定するとガイ氏も話していました。ただ、ガイ氏はスタックしたときにマジック専用のカップ同様ボールを保持するスペースができるところもいいと話していますが、私が購入したジェファーソンカップではスタック時にカップ間にスペースはあるものの、1インチのボールでは入らず、5/8インチなら行けるかなぁという感じです。ただ、導入時に中に入れて取り出すだけであれば、完全に中に入れ込む必要は無いので7/8インチや3/4インチでもいけるかもしれません(未確認です)。
まあ、さすが英国紳士ガイ・ホリングワース氏が選んだカップという感じです。お洒落ですね…
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