京都府立笠置山自然公園マップに描かれた穴の開いた石と「甌穴」の二文字がずっと気になっていた。
それを解消すべく現地をめざす。
JR笠置駅近くの児童公園から歩くのは、笠置寺に続いて三度目だ。
木津川左岸に沿った東海自然歩道「銀の帯コース」を上流へと進む。
巨岩がゴロゴロと連なりを見せる。
何が原因かと考えさせられる程の巨大なものもあり、木津川の流れとはちぐはぐな感をいだく。
しばらく行くと、線路沿いに出た。
鉄道の歩道を歩くような感じで、列車にすぐ手が届きそうな気さえする。
残念ながら、列車との遭遇は叶わなかったが。
木津川と別れ、支流の布目川を眺めつつ緩やかな上り坂をゆく。
布目川渓谷は「京都の自然200選」に選ばれただけあって、とても自然豊かな遊歩道が続く。
川の流れは、せせらぎから徐々に激しさを増し、次第に荒々しくなる。
バシャバシャと跳ねる音も混じりかけた頃、甌穴群の案内版を見つけた。
整備された階段に誘導され岩場までおりる。
水に磨ぎ続けられた花崗岩は、すべらかな岩面を見せていた。
代表的な甌穴の全ては確認できなかったが、探し当てた幾つかの穴底にボール状の石が沈んでいた。
自然の偉大さを目の当たりにする。
しぶきを上げる激流は鳥のさえずりのみならず話声まで打ち消す。
だからと言って、耳障りと思うなどとんでもないこと。
勿体ないの一言に尽きる。
この際だから、轟音も会話仲間に呼び入れて、誰にも気がねなく声を張り上げて話せばいい。
大声を出せる場所など限られているのだから。
余分な気持ちもザブザブ洗われ快い。
磨ぎ磨がれ、移し込んだ太陽のようにまあるく変貌を遂げるのは、気が遠くなる歳月の果て。
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