玉川な日々

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「現代人の悟り」-(8) 経典が示す悟り - その2

2013-05-10 16:24:41 | 日本人の悟り
もっとも短い経典といわれる「般若心経」をみてみましょう。

摩訶般若波羅蜜多心経
観自在菩薩 行深般若波羅蜜多時、照見五蘊皆空 
度一切苦厄 舎利子 色不異空 空不異色 色即是空 
空即是色 受想行識亦復如是 舎利子 是諸法空相 不生不滅 不垢不浄 不増不滅 是故空中無色無受想行識 無眼耳鼻舌身意 無色声香味触法 無眼界乃 至無意識界 無無明亦 無無明尽乃至 無老死亦 無老死尽無苦集滅道 無智亦無得以 無所得故
菩提薩埵 依般若波羅蜜多 故心無罣礙 無罣礙故 無有恐怖遠
離一切顛倒 夢想究竟 涅槃三世諸佛 依般若波羅蜜多
故得阿耨多羅 三藐三菩提 故知般若波羅蜜多 是大神呪
是大明呪 是無上呪 是無等等呪 能除一切苦真実 不虚故説
般若波羅蜜多 呪即説呪日 羯諦羯諦 波羅羯諦 波羅僧羯諦
菩提薩婆呵
般若心経        

・・

重要なところは最初の二行、経典名-「摩訶般若波羅蜜多心経」と最初の一行、観自在菩薩 行深般若波羅蜜多時、照見五蘊皆空 です。

くわしい解説は参照1)をみていただくとして、経典名である「摩訶般若波羅蜜多心経」は、

摩訶 (偉大な) 般若(智慧の) 波羅蜜多(完成 *) という意味で、波羅蜜多はもうひとつ波羅(彼岸)蜜多(度す)という「彼岸に到る」という意もある。

つぎに、観自在菩薩 行深般若波羅蜜多時、照見五蘊皆空 は、
観自在菩薩 行深般若波羅蜜多時 (偉大で聖なる観自在菩薩は、深遠な智慧の完成の行を実行しつつ)
照見五蘊皆空(存在するものの、五つの構成要素(色、受、想、行、識)、それらはもともと空である と見通された。)

 釈尊の教えの基本である「空」を示し、以降の教文はその説明といってもいい。

・・

私がいつも利用している市立図書館では仏教と検索すれば9500冊がリストされ、「般若心経」だけでも169冊がある。僧侶の方や大学で哲学科で東洋哲学を専攻すれば、詳しいとおもいますが、インド哲学の特長である、-おなじ言葉の反復-にたする忍耐がないと読むのに骨が折れるのが仏教経典だ。そして、サンスクリット語から日本語訳と漢訳からの日本語訳の二通りが並べてあるので比較すると良い。サンスクリット語から漢訳されるとき儒教、道教の考えが、意味から漢字をえらぶ作業を通して仏教経典漢訳書に反映されていることにも注意する。

長々と書いたが、一般ビジネスマンが学ぶ教えを選ぶとすれば、

五蘊皆空、六波羅蜜、三世心不可得、
の三つをあげたい。次回以降、すこし掘り下げていきましょう。

・・

堅い話がつづきましたので、瀬戸内寂聴さんの「般若心経」をリンクしておきます。




参照
1)「般若心経」- テクスト・思想・文化- 、 渡辺章悟著、大法輪閣
2)「浄土三部経」(上、下) 中村元、早島鏡正、紀野一義 訳註